シリア介入案

日本でもさらっとこの話題が触れられていますが、その中身を海外のメディアの記事からより深く見てみようかなと思います。すると、実行に移される前から形骸化している子供だましの介入案だとすぐに気がつきます。政治のことは分からないけど、シリアへの軍事介入を求める政治家の誰かが軍の背中を小突いて、嫌々ながら書かされたような内容に思えます。

マーティンデンプシー統合参謀本部議長が議会に提出したシリアへの軍事介入には5つの選択肢が用意されています。

・training, advising and assisting the opposition(反体制派の訓練、助言、支援)

・conducting limited strikes(限定された空爆)

・establishing a no-fly zone(飛行禁止空域の設定)

・creating buffer zones inside Syria(シリア国内での緩衝地帯の設置)

・controlling Damascus’ chemical arms(ダマスカスの化学兵器工場の制圧)

一つ目を実行に移すと、5億ドルの経費が必要となる。数百、数千人の米兵を派遣し、シリア国外の安全な地域で反体制派の訓練や支援を行う。ヨルダンには既に反体制派の訓練キャンプがあるが、CIAの運営によるもので、規模は小さい。しかし、より多くの反体制派を受け入れることで、アルカイダと徒党を組んでいる外国人勢力まで訓練の対象となる可能性がある。また今回の案を受け入れた国への政府軍の攻撃も想定される。

二つ目の限定的な空爆。これは戦闘機やミサイルを用いて、数百に上るシリアの軍事施設を爆撃する。それにより政府軍の士気を挫き、離反者を助長させる。しかし、そのためには数百の戦闘機、戦艦、潜水艦を派遣しなければいけない。また限定的な空爆を実行しても政府軍はそれに耐えうるだけの潜在的な能力が備わっている可能性がある。

三つ目の飛行禁止空域の設定。飛行禁止空域を設置することで反体制派の支配地域への空からの攻撃を抑え込むと同時に政府軍の供給ルートを絶つ。候補地としてはヨルダンかトルコが理想的だろう。しかし、これに際しても数百の戦闘機とそれを収容できるだけのスペースが必要となる。費用も1ヶ月で10億ドルはかかると見積もられている。また空域を制しても、地上戦がメインのシリアではそれほど大きな効果は得られないだろう。

四つ目が緩衝地帯の設置。緩衝地帯を設けることで、反体制派の訓練や人道的な支援をスムーズに行うことができる。設置場所はヨルダンかトルコの国境付近が相応しい。しかし、緩衝地帯を設置する条件として、数千人の米兵と限定された飛行禁止空域が必要であると同時に、やはり1ヶ月10億ドルほどの費用がかかるとされる。

最後の五つ目の化学兵器の制圧。制圧には戦闘機やミサイル、そして数千規模の特殊部隊が必要となる。それに加えて、仮にいくつかの重要な化学兵器の貯蔵庫を制圧したとしても、シリア全土にある全ての化学兵器を掌握することはできないだろう。

「反体制派を支援するための、アサド政権に強い圧力をかけるための軍事介入は現実的ではないように思える」

「仮に力強い反体制派勢力の不在時にアサド政権が崩壊することがあれば、過激な思想を持った原理主義勢力をより一層勢いづかせ、我々が制圧すべき化学兵器に大きな懸念が生じるだろう」

上記はマーティンデンプシー統合参謀本部議長の発言です。とにかく今回の介入案は5つのポイント全てに「But・・・」が盛り込まれています。こんなことができます!しかし・・・こんな問題があります。そして明らかにその問題を無視して実行できる案件は一つもなく、その問題を解決してまでシリアに軍事介入する意義も見出せない。自助努力しかないけど、政権を倒す努力よりも、自らの命をどのようにして守るか、そんな世界が今のシリアだから・・・今回の記事を目にしたとき、ちょっと期待したんだけど。

参考サイト

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-23414906

http://www.guardian.co.uk/world/2013/jul/22/us-military-intervention-syria

http://www.latimes.com/news/nationworld/world/middleeast/la-fg-syria-options-20130723,0,4439226.story