暗躍する大国-ロシア-

大国同士の足並みが揃わない。長期化するシリアの内戦を簡単に捉えると、アサド政権側にはロシアと中国、反体制派側にはイギリス、フランス、アメリカが味方?に付いています。中でもロシアのアサド政権に対する執着心は異常です。ストーカーです。気持ち悪いです。しかし、なぜロシアがこれほど積極的にアサド政権を支持しているのでしょうか。

http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/MID-01-100613.html

シリアにどっぷりと浸かる前、僕はパキスタンの情勢を追いかけていました。「Asia Times」のパキスタン、アフガニスタン関連の記事はずば抜けたものがあり、よく目を通していました。それとは別に「Long War Journal」なんかもタリバン関連には非常に強いメディアです。まあ、それはいいとして、その「Asia Times」からの引用になります。

ロシアが地対空ミサイルシステム「S-300」をシリアに供与するとかしないとか。既に配備されているかどうかは不透明で、まだ現物がシリアに届いていないというのが大筋の見方です。この記事を読んで、初めて知ったのですが、ロシアの外務副大臣ミハイル・ボグダノフ(Mikhail Bogdanov)が先々月末にヒズボラの指導者ナスラッラーと面会しています。彼は記者団を前にして、今回の訪問についてこう述べています。

“Our visit helped us develop a vision regarding the future of Lebanese-Russian ties,”

彼の訪問後にシリアのクサイルは戦火に包まれました。ヒズボラの関与は既にブログで示したとおりです。会談内容までは分かりませんが、シリア情勢に絡んでロシアがヒズボラとの協力関係を再確認したものと思われます。

ロシアはアサド政権を強固に支持することで、欧米諸国がシリア情勢に振り回されるのを熟知しています。冷戦崩壊後、欧州やアメリカの脅威に神経を尖らせていたロシアは、右往左往する欧米の慌て様を見て楽しんでいる感があります。ウォッカ片手に。しかし、本来の目的はもちろん別のところにあります。一つがタルトゥースにあるロシアの軍港です。地中海に面したロシアの唯一の軍港。欧州を睨んだこの軍港が反体制派側の許可の下に運行できるわけがない。憶測ですが、ヒズボラがクサイル総攻撃に乗り出したのは、外務副大臣との会談直後。クサイルはタルトゥースへと至る地中海ルートを握る要衝。ロシアがナスラッラーの耳元で何を囁いたのか。想像できます。

さらにアメリカに中東の治安を任せられないとロシアは懸念しています。現在のイラクを見れば、アメリカの中東政策がいかに愚かだったのかはロシアに限らず、誰の目から見ても明らかです。ロシア国内でも北カフカスの問題を抱えています。冷戦時代に遡れば、アメリカはアフガニスタンでソ連と対峙し、聖戦を掲げるムジャヒディーンに惜しみなく武器を提供しています。そのツケが今のアフガニスタンの混乱に見られます。そして、シリアではアメリカは反体制派に肩入れしようとしています。ロシアにはそれが許せない。もうアメリカに中東は担えないというわけです。

ロシアとアメリカはシリアを通してどうのようにして折り合いを付けるのか。選択肢がいくかあります。分割案が一つ。スンニ派、アラウィ派、クルド人と国を三分割する。アラウィ派の地域にはアサドが首領として存続し、タルトゥースのロシアの軍港もその一部に組み込まれる。しかし、クルド関連でトルコが猛反対するのは明白。また誰がこの分割案を取りまとめるのか、そんなカリスマ性のある指導者が不在。二つ目はシリアへの影響力があるトルコ、サウジアラビア、カタールを丸め込んで、強硬な外国人勢力を排除する。その条件として、ロシアは北カフカスへの暴力的な行為を一切禁じる。まあ、現実的ではない。三つ目はシリアの空爆を取りやめて、イランを空爆する。ロシアはS-300のイランへの供与を拒否していることから、シリアを空爆するより容易い上にシリアのイラン勢力を排除できる・・・が、、、カオスすぎる。

後半の記事はシリアの話題から逸れていたので、端折りました。昨日ですが、ダマスカスの心臓部であるマルジェ広場で大規模な爆発が二度ありました。どちらも警察署を狙った自爆テロです。14名が死亡、30名以上が負傷しました。マルジェ広場ですが、1年前に訪れた際にも一度だけ爆発がありましたが、それを抜けば、賑やかで華やかな市民に親しまれている広場です。円形状に商店街が軒を連ねて、両替屋や雑貨屋、レストランやカフェがあり、僕もよく利用していました。しかし、最近、ダマスカス入りした知人の話では、ここマルジェ広場にいても、銃声や砲弾が鳴り響くそうです。その度に広場を拠り所している鳩が群れを成して空高く舞い上がるそうです。しかし、市民はと言えば、「ああ、またか」と渋った表情をしながらも、何事もなくコーヒーを啜る日常が今のダマスカスだと言っていました。はあ・・・行きてぇぇぇーなぁぁぁ!

参考サイト

http://www.dailystar.com.lb/News/Politics/2013/Apr-28/215320-bogdanov-meets-nasrallah-concludes-lebanon-visit.ashx#axzz2VrYvCvi2

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-22852957