シリアでの死者数の詳細データ

動画を一つ紹介します。

http://www.youtube.com/watch?v=foaQ5RdoY5Y&feature=youtu.be

これまで何度かブログでも取り上げたダマスカス近郊のジョーバル地区での出来事です。英訳が表示されていますが、一応、簡単な説明を付け加えます。政府軍の兵士が女性を拉致し、暴行を加えた上で、半裸の状態で銃弾飛び交う国道のど真ん中に放置。政府側の仕掛けたワナであることを承知の上で、果敢にも自由シリア軍の兵士が彼女に駆け寄る。しかし、彼女に近づいた途端に銃声が鳴り響く。それでも彼は諦めず彼女を抱きかかえるが、途中で銃弾を浴びて殉教した。彼女もしばらくしてその場で亡くなり、彼の他3名が同じように命を落とした。

シリアではよくある光景です。より多くの敵を殺傷するため、負傷した敵側の兵士を餌にして、他の兵士をおびき寄せる。しかし、政府軍は囮となる餌は反体制派のあらゆる人間を対象とし、「兵士」だけでなく「民間人」をも標的にしています。外道のやる手法です。仮に負傷した民間人が多少でも動けるのであれば、障壁となる建物の影からロープを投げて、救出することが可能です。しかし、政府軍はそれでは囮の意味がないと、餌にする人間を虫の息にするという徹底ぶりです。また比較的力の弱い子供、女性、老人を狙い撃ちすることも知られています。それでも、自らの命を危険にさらしても、助けようとする人々がいる。

昨日、ようやく国連がシリアで化学兵器が使用された形跡があることを発表しました。何を今更言ってんだ!?ふざけるな!国連はしゃしゃり出てくるな!と激戦地で暮らす人々の苛立つ気持ちを勝手に想像して書いてみました。化学兵器を「Red Line」と位置づけたのは過去の話で、反故にされているも同然です。何かしらの思惑が国連にあるのか、シリアの具体的な解決策が化学兵器使用と関係あるのか、特に何もないのなら潰された面子を取り戻すためのくだらない努力成果とかアピールすんなよって僕がシリアで暮らしてたらそう思うよ。普通にニュースを追ってたら、国連のシリアに対する無能さは誰の目にも明らかですから!ちなみにフランスの外相が「シリアでサリンが使用された形跡がある」と昨日、報告しています。国連の調査団とは別で独自の調査で明らかにされたものです。

米国の新聞「McClatchy」が詳しいシリアでの犠牲者数に関する記事を掲載していました。シリア人権監視団の報告をもとに犠牲者数を算出しています。現在までの死者数は少なくとも96431人。政府軍や治安部隊が24617人。シャビなどの民兵組織が17031人。両者を合わせると、全体の死者の約43パーセントが政府側となる。この数字には驚きです。民間人は35479人で37パーセント、反体制派武装勢力が16699人で17パーセント。そのうち、武器を手にして戦っている民間人が12615人、政府軍からの離反者が1965人、外国人武装勢力が2119人。身元不明が2460人。そしてヒズボラの死者数145人を含めて、合計が96431人となります。この団体とは別の組織 「Syrian Network for Human Rights」は死者数83598人。75992人が民間人、7606人が反体制派武装勢力との統計を出しており、両者で大きな隔たりがあります。

端数は切り捨てる手法でシリアの死者数はこれまで表示されてきました。全体の死者数だけでなく、一つの地区、例えばダマスカス郊外の「ジャデーデ・アルトゥーズ」の虐殺は250人~400人、バニアスも150人~400人といったように。それと比べると、これほど詳しいデータを導き出した人権監視団は死者の身元を正確に割り出しているのだろうか。国内の活動家から氏名を記した名簿が送られてくるらしいが、政府側の死者数の算出に関してがこの記事を読んでもいまいち分からなかった。

うろ覚えなんだけど、沢木耕太郎のエッセイで「象が空を飛んでいても誰も信じてくれないが、4257頭の象が空を飛んでいたと言えば、誰かが信じてくれるかもしれない」と書いてあったのをふと思い出した。正確に描写することで非現実的なことが現実味を帯びて伝わるみたいな意味なんだろうけど、象は実際には空を飛びませんが、シリアでは実際に人が亡くなっています。正確な死傷者数の算出なんてシリアでは不可能(非現実的)ですが、僅か2年と3ヶ月の間に10万人が命を落としていることは事実です。端数を切り捨てた大雑把な数字ですが。

参考サイト

http://www.mcclatchydc.com/2013/06/03/192881/assad-backers-reportedly-make.html#.Ua39dNLBqac