バニアス虐殺、化学兵器-追加-

さて今日もせっせとシリアのニュースを漁ります。日本にいる限り、ニュースを読み解くぐらいしか僕にはできないから。少しずつアクセス数も増えてきているので、時間があるときはできる限り、ブログを更新できたらなあと思っています。シリアに興味を持っている人がいるだけでもうれしい。もっと日本のメディアの人たちはシリアを取材してほしい。ただ僕は同業者同士の繋がりがほとんどないから、案外、いろんな記者やカメラマンがシリアを取材してるのかも。

以前にバニアスでの虐殺について触れました。詳細は過去のブログを参照にしてください。最近、しばらく報道を見かけなかったのですが、BBCが昨日、この虐殺に関する記事を掲載してました。反体制派の市民記者が今回の虐殺の全容を明らかにするため、生存者から聞き取り調査をしています。BBCも生存者の女性から証言を取っています。

「遺体をまたがずに歩けなかった。どの遺体も殺されていた。または焼死体だった。どこもかしこも血で染まっていた」

「村に侵入してきた正規軍は私たち、村人を大きな声でののしり始めた。彼らは『村の男たちを家から出して我々に手渡せ。さもなくば、お前ら全員を射殺する』と言った」

「突然、何かが焼けるような匂いがした。そして村一帯を覆うほどの男たちの叫び声を聞いた」

「私たちは逃げるために外に出た。20人から30人ほどの遺体を見た。全員、銃で撃たれていた。私の夫も舅も頭を撃たれていた。夫の顔は口も鼻も飛ばされて何も残っていなかった」

「殺された村人の遺体が至る所に横たわっていた。家には火が放たれ、中にいた人々は焼け死んだ。一家全員が室内で殺されていたり、血の海が辺り一面に広がっていた」

来月、シリアの暴力を停止するための話し合いが開かれます。体制派側と反体制派側がどのような協議を行うかは分かりませんが、虐殺の被害者である遺族の声を反映すべきだと思います。公聴会という形でもいいですし。氏名や顔がばれるのを怖れているのなら、匿名やスカーフで顔を覆うなりしてでも。ただ形だけの協議だろうから、会議が紛糾するような彼らの存在は必要とされないんだろうなあ。

 http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-22684359#TWEET770110

少し長くなりますが、化学兵器使用疑惑についても付け足したいと思います。まず海外メディアでは初だろうと思われます。フランスのルモンド紙が素晴らしいルポを発表しました。場所はダマスカス近郊のジョーバル地区です。ジョーバルはダマスカスの中心地と言っても間違いはないだろうと思われます。目と鼻の先にはアッバシーン広場があり、戦略的にも重要な地区であるため、連日のように砲撃と空爆にさらされています。そこにルモンドの記者が約2ヶ月間、自由シリア軍と行動を共にしました。この記事で目を引くのが、ガスマスクを装着する自由シリア軍はもちろん、第三者の目として存在するルモンドの記者が実際に化学兵器による被害を受けていることです。眩暈と呼吸困難に数日間見舞われています。化学兵器による症状として、呼吸困難、吐き気、難聴、言語障害、筋肉の弛緩があります。有毒性(toxic)と表現される兵器は今年3月頃からダマスカス郊外で使用され、4月にはジョーバル地区でも確認されました。彼らは化学兵器が使用された場所を見捨てるわけにもいかず、ガスマスクの装着や体の各部位の洗浄、衣類を定期的に交換するなどの処置をして撤退することなく対峙しています。医師はアトピンやヒドロコルチゾンといった医薬品で患者の対処を行っています。記者が訪れたグータ地域の8つの病院で6つが化学兵器による患者を治療したと述べています。

ルモンドの記事はフランス国内でも大きく扱われています。フランスの外務大臣であるファビウス氏も「化学兵器が使用された証拠として我々としても他国と共に具体的な措置を検討していきたい」と発言しています。化学兵器の使用はもはや疑いようはありません。アレッポを発端として化学兵器使用疑惑が大々的に報道されましたが、誰が使用したのか、体制派か反体制派かで意見が分かれ、調査団の派遣もままならず放置されていますが、ダマスカスは面が割れています。政府軍が使用したのがルモンドに限らず、多くの市民記者が撮影した映像からも確実です。これがシリアの現状を打破する転換期となるのか。諸外国の対応が待たれますが、あまり期待はできません。それより、ルモンド、すげー!記者は誰だろうか。僕が見落としているのか、クレジットがないんだよなあ。

追記、クレジットありました。記者はJean-Philippe Rémy。special correspondentに相応しい活躍、本当に命がけの取材、見習いたい。

http://www.lemonde.fr/proche-orient/article/2013/05/27/chemical-war-in-syria_3417708_3218.html

http://www.guardian.co.uk/world/2013/may/28/syria-medics-treat-rebels-symptoms-chemical-exposure?CMP=twt_gu