クサイル攻防戦-追加-

「Hezbollah leader Nasrallah vows victory in Syria」

昨日、体制派がクサイルを絨毯爆撃しました。三方面からクサイルを包囲し、迫撃砲と空爆で市内各所を蹂躙しました。政府軍を支援しているのはヒズボラで、正確な数は発表されていませんが、既に数十人を越える死者がヒズボラ側に出ているそうです。彼らの遺体はクサイルから国境を越えて、レバノンに運ばれ、市民により盛大な葬儀が行われています。ヒズボラの関与は指導者であるナスラッラーが公式に認め、クサイルでの戦闘での敗北は今後のヒズボラの命運を大きく左右することになるでしょう。そのため、さらなる戦闘員がクサイルに送り込まれることは確実です。

ヒズボラとイスラエルが衝突したのが、今から7年前の2006年。400人以上の戦闘員を失った彼らが、今、シリアを舞台に新たな闘争を繰り広げています。それがクサイルになります。2年以上続くシリアの内戦の影でヒズボラが暗躍していたことは噂以上の真実味を帯びて報じられていました。ダマスカス郊外にあるシーア派の聖廟であるザイナブモスクには多数のヒズボラが展開していることは周知の事実であり、アサド政権もヒズボラへの武器供与を試みようとして、イスラエルに空爆されています。ヒズボラの支援者であるイランの関与もクサイル攻防戦では疑われています。イランは公式には否定していますが、ヒズボラが本格的にシリアの内戦に足を突っ込んだからには、見て見ぬ振りというわけにもいかないでしょう。大きな枠組みでの大国同士のせめぎ合いがあり、中規模な形での周辺国の利害関係があり、さらに生死を賭けて戦いに臨んでいる個別の組織がある。そして、意見を汲み取る必要がある人間が実害を被っている組織であり、その犠牲者です。

来月、対話による「政治的解決」を図った国際会議が開催される予定です。国連が主催でロシアとアメリカが主導すると見られるこの会議、体制派と反体制派の代表団が出席して、「ワイワイ」「ガヤガヤ」と議論して、妥協点を見つけて、シリアの内戦を終結させるようですが、無駄です。反体制派側が求める絶対条件として「アサドの退陣」は欠かせません。体制派側はこの条件を呑むことは考えられませんし、反体制派も「アサドさえ退陣すれば、アサド政権の閣僚の幾人かは新政権に組み込んでもいいや」とかふざけたこと考えちゃっているようです。クサイルの状況を見れば、対話は無力です。力でねじ伏せるしか暴力の連鎖はとめられないでしょう。

クサイルでの犠牲者数は分かりません。イギリスを拠点に活動している人権団体が現場の市民記者の報告を基にしてカウントしていますが、現在も戦闘は続いています。犠牲者は増え続けるでしょう。上半身だけが残された幼い子供の遺体や瓦礫の中に埋もれる女性、迫撃砲が鳴り響く中、逃げることを諦めた老夫婦、映像は毎日のように更新されていきます。その映像を前にして、「対話」を掲げる神経が僕には理解できません。しかも、来月って・・・クサイルだけでなく、犠牲者は毎日のように数を重ねています。

参考サイト

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-22669230

http://www.nytimes.com/2013/05/26/world/middleeast/syrian-army-and-hezbollah-step-up-raids-on-rebels.html?smid=tw-share&_r=0

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5ijbagYbpDvm6qL8zJ6_FD-gyp7Hg?docId=CNG.829cfd26b6bd755b5b6aefe4459e512e.31