化学兵器使用による世論の反応

昨日、首都ダマスカスのメッゼ地区でハラキ(Wael Nader Al-Halqi)首相を標的としたテロが発生した。自爆テロなのか自動車爆弾なのか即席地雷なのか、手法は定かではないが、ハラキ首相の護衛を含む数人が死亡した。首相自身は無傷であり、その後に開かれた経済会議に出席、インタビューに答える姿が放映されている。

昨年の8月、アサド政権から離反し、ヨルダンに逃れたヒジャブ(Riyad Farid Hijab)元首相の後任として、ハラキ氏は首相に任命された。両首相共にスンニ派の家系である。メッゼ地区は政府関係者の住居や施設が多いため、警備が非常に厳重なことで知られる。1年前の滞在の際に僕も何度かこの地区を訪れた。当時は和やかなムードで、市内には活気が溢れ、ショッピングを楽しむカップルや家族連れで賑わっていた。今回のテロによる犯行声明は現在のところ出ていない。しかし、数ある検問を潜り抜け、しかも首相をピンポイントで狙ったことから、政権中枢に潜む内部犯行説が濃厚である。

化学兵器の話題で面白い記事を見つけました。アメリカのワシントンD.Cに拠点を置くシンクタンク、Pew Research Center(ピュー研究所)によるシリアに関するアンケート調査の結果です。4月25日から28日までに成人男女1003人に化学兵器使用後のシリアへの軍事介入についての電話を通じての意見をうかがいました。

政府側による化学兵器の使用がほぼ確定した現在、軍事介入への支持率は45パーセントに上っています。昨年の12月の段階では、シリアへの積極的な介入については、27パーセントの支持率しかありませんでした。約20パーセント近くの上昇です。ちなみに反対が31パーセント、無回答(無関心)が23パーセントです。共和党支持者と民主党支持者では若干の違いが見られたようです。共和党が少し多いです。どちらにしても半数近くの国民(アンケート対象者)が軍事介入に積極的な姿勢を示しています。

しかし、シリアへの関心は2年前と比べて国民意識としては低いままです。10パーセント後半を維持しているに過ぎません。やはりボストンでのテロが現在は国内での最も高い関心ごとのようです。シリアは18パーセント。辛うじてアフガニスタンの16パーセントに勝っている程度です。ちなみに北朝鮮が36パーセントと3位で表彰台入りです(ボストンが63パーセント、銃規制39パーセント)。

世論調査からシリアの軍事介入の是非が直接問われるわけではないのですが、アメリカ国民がどのように今回の化学兵器使用のニュースを見ているか、参考になります。日本はどうなんだろうか。トップはやっぱり北朝鮮かな。次に韓国や中国の領土問題、3番目くらいにシリア・・・は絶対にないだろうな。1パーセントにすら届かない気がする。

それと個人的な意見ですが、現在、国連がシリア政府に求めている化学兵器使用の有無を問う調査団の派遣について。失笑ものです。同じ轍を踏む気満々のようです。去年の4月、国連は停戦監視団をシリア政府の監視の下で行いました。結果、多くの民が殺されただけで何の成果も挙げられませんでした。成果を挙げるどころか政府軍に加担(これはいいすぎかも)、利用された感すらあります。シリアの大半の人々が国連への不満をぶちまけています。不信感どころか憎悪さえ抱いている有様です。イギリスやフランスやイスラエルがどのように化学兵器使用の証拠を掴んだかは正確には分かりませんが、彼らは政府の目をかいくぐる必要があった。そうしなければ、まともな調査報告書の作成など困難だと知っているからです。国連は避難民に手を差し伸べることだけを考えて、戦争そのものに関与することから身を引くべきだとマジで思う。

参考サイト

http://www.people-press.org/2013/04/29/modest-support-for-military-force-if-syria-used-chemical-weapons/1/

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-22335430

http://abcnews.go.com/US/wireStory/urges-syria-chemical-weapons-experts-19066265