アルカイダを育てた肥沃な大地-ヌスラ戦線-追加-

現在発売中の「新潮45」8月号に記事を掲載しています。僕自身について書かせていただきました。フリーを始めてから現在に至るまでの経緯を振り返っています。読者の方には「誰だ?こいつ」と思われているかもしれませんが、このブログを見ていただいている方であれば、多少は僕のことをご存じだと思うので、もしよろしければ目を通していただければ幸いです。

http://www.huffingtonpost.com/entry/under-pressure-syrias-rebels-face-al-nusra-quandary_us_578bbd07e4b0e7c8735055e4

以前にも取り上げたCharles Listerからの記事になります。アレッポの反体制派の中心地へと繋がる唯一の補給路が遂にアサド政権の手に落ちました。内側に取り残されている人々は300000人以上であると推測されています。封鎖されてから数日が経過して、燃料や食糧が枯渇し始め、果物、野菜、肉が市場から消え、食料の値段も400パーセントの上昇率を見せています。シリア全土で600000人がアサド政権、反体制派、イスラム国などに包囲されていますが、今回の一件で一気に900000人に増加しました。兵糧攻めだけでなく、樽爆弾、ミサイル攻撃はなおも続いており、活動家、支援団体は緊急の援助を求めていますが、国際社会の反応は芳しくありません。

ケリー国務長官がロシアのプーチン大統領、ラブロフ外相と会談しました。シリアを巡る政策について両国は歩み寄りを見せています。米ロの共通の敵であるイスラム国はもちろん、ヌスラ戦線への攻撃も視野に入れています。しかし、イスラム国は単独で行動している面がある一方で、ヌスラ戦線は他の反体制派勢力とも共闘しています。その中にはアメリカが支援している自由シリア軍の組織も含まれています。アメリカは快く思っていませんが、自由シリア軍は言います。「もしヌスラ戦線との共闘を解消すれば、アサド政権は一気に支配地域を広げるだろう」。対アサド政権に対して、ヌスラ戦線は非常に重要な役割を果たしています。ヌスラ戦線の古株の指揮官は言います。「我々はシリアの大地に根付いている。どうやって我々だけを標的にすることができるのだ」。

ヌスラ戦線はアルカイダからの離脱派と残留派で分かれています。離脱派はヌスラ戦線を新たな組織「Al-Harakat al-Islamiya al-Souriya(the Syrian Islamic Movement)」に改編しようと試みています。この試みはヌスラ戦線の設立に関わったSheikh Saleh al-Hamawiが提唱しています。彼は2015年7月にヌスラ戦線から放逐されました。彼はヌスラ戦線の「ハト派」であり、アルカイダから距離を置くことで、反体制派の結束を図り、さらにトルコやカタールの感心を引くことを企図しています。ヌスラ戦線の三分の一が彼の試みに好意を示していますが、アルカイダに忠誠を誓っている組織、ジュンディ・アル・アクサは猛反発しています。またヌスラ戦線の総司令官、al-Jolaniへ誠意を打ち崩す可能性もあります。

この計画に反体制派の巨大組織、アハラール・アッシャームが一枚かんでいます。欧米からにらまれているヌスラ戦線がアルカイダから離脱すれば、悪い印象からちょっとだけ悪い印象に変わるだろうと微かな期待を抱いています。

水面下で進められているこの計画の実行可能性については不確かです。依然としてヌスラ戦線はアルカイダへの忠誠を公言していますし、シリアでイスラム国家の樹立を掲げています。しかし、ヌスラ戦線への軍事攻撃は限定的にすべきであり、一般市民の犠牲者を減らし、反体制派を士気を挫くことはあってはなりません。そして大切なことは国際社会がアサド政権の戦争犯罪を放置したことでヌスラ戦線はシリアで大きな力を蓄えてきたことを忘れてはいけません。

ヌスラ戦線を内部から崩壊させるより、反体制派による外部からの影響の方がより効果的です。しかし、ヌスラ戦線と反体制派との切り崩しには国際社会の力が欠かせません。飛行禁止空域の設置は重要です。ある程度の安全が確保されなければヌスラ戦線と本格的に袂を分かつことは難しいです。また強大な組織であるヌスラ戦線に立ち向かうだけの軍事援助も必要です。これがなければ、話にならないと反体制派は述べています。

http://www.cnn.co.jp/world/35086188.html

ヌスラ戦線の脅威だけに的を絞った議論はグローバルテロリズムを懸念してのことだと思います。しかし、ヌスラ戦線より反体制派の士気が乱れていることも軽視はできません。

http://www.cnn.co.jp/world/35086163.html

マンビジではSDFとイスラム国の激しい攻防戦が展開していますが、その中での誤爆です。ヌスラ戦線と反体制派とはまた違った地域ですが、市民を守るはずの空爆が市民の命を奪っています。