自信を深めるアサド政権と今後の行方

一匹のサソリが川岸を歩いていました。サソリは対岸に渡るため、一匹のカエルに声を掛けました。「俺を背負って、向こう岸に連れて行ってくれないか」。カエルは言いました。「嘘言うな。そんなこと言って、川の中ほどに来たら、刺すつもりだろう」。サソリは言いました。「そんなことあるわけないじゃないか。お前さんを刺したら、俺も溺れちまう」。カエルはその話を聞いて、それもそうだなとサソリの頼みを聞いてあげました。しかし、川の中ほどでカエルは激痛を感じました。「どうして、俺を刺したんだ。君も溺れるのに」。サソリは寂しそうに答えました。「本能だから仕方がなかったんだ」。

http://www.nytimes.com/2016/03/23/world/middleeast/bashar-al-assad-syria-russia-west.html?ref=middleeast&_r=0

記事の中で紹介されていた諺です。どうやらベトナムの寓話らしいです。シリアで言えば、サソリはアサド政権、カエルはロシアに例えられています。そして今、サソリを乗せたカエルは泳いでいる最中です。カエルは常にサソリに命を狙われているが、サソリはカエルを刺せば、溺れて死んでしまう。

先週、ロシアはシリアでの航空戦力を削減しました。ロシアが次に目指すところはアサド大統領を促して、シリア内戦を終結に向かわせるための、政治的解決をはかることです。その一方でアサド政権はロシアの半年に渡る航空支援により、支配地域を拡大、自信を深めました。地上軍の強化にも乗り出しています。

アサド政権がロシアを欲しているのか。ロシアがアサド政権を欲しているのか。互いに協力していますが、どちらがより必要としているのか。当初はアサドがロシアに頭を下げていましたが、現時点でアサドはその態度を改めつつあります。ロシアに土下座してたのが、今では軽い会釈で済ましている。そんな分析をしている学者がいます。

ロシアの撤退についてアサド政権はどう感じているのか。シリアの高官はロシアの撤退に驚きを隠せませんでした。動揺を隠すために外交官には「ロシアの支援は継続中だ。決して我々に圧力をかけるための撤退ではない」と釘をさしています。アサドの側近は「アサド大統領の地位を脅かす危険性は去った。そして地域的な指導者からシリアの大統領として蘇った」と信じています。しかし、ロシアへの猜疑心は消えることなく、アサド政権は保険として、イランとの結束を緩めていません。

プーチン大統領はシリアの政治的解決の中心人物として世界の舞台に戻ってきていることを実感しています。政治的解決とはこれまで西側諸国が決して成しえなかった「アサド大統領の退陣」を、ロシアだったら「できる」と確信しています。しかし、それにはアサド政権との交渉が必要になります。一方で、長年アサド政権を支えながらも、ロシアに主導権を奪われたイランは、ますますアサド政権との連携を深めています。

政治的解決において、アサド政権は退陣要求を呑むことは難しいとしても、何かしらロシアへの譲歩が必要だと考えています。しかし、ここで問題になるのが、シリアの政治システムです。一党独裁。一カ所に権力を集中させて統治するシステムでは些細な譲歩でさえもアサド政権を崩壊に追い込む可能性があります。譲歩より弾圧を選んだ結果がシリアの現在の姿です。

アラブの春が吹き荒れる中で、シリア内戦は5年目に突入し、アサド大統領は持ちこたえています。これは驚異的なことです。これまでアサド大統領の側近、いとこ、兄弟が重傷を負ったり、殺害されている中で、究極的な生還者がバッシャール・アサド大統領になります。交渉を絶えず拒否しながら、それでも時々、包囲されている町への支援物資の搬入を認め、化学兵器使用の際は、すぐさま化学兵器破壊に同意し、イスラム国が台頭すると彼らを利用し、戦況に応じてイスラム国と対決する姿勢を国際社会いアピールし、難民問題がヨーロッパに波及すると、かつての敵対者である欧米諸国はアサドの退陣には口を閉ざすようになりました。

アサド政権に懐疑的なシリア人は現在のシリアを取り巻く状況をこう分析しています。アサド政権はイランとは金銭的に、ヒズボラとは縄張り争いに、ロシアと戦略的にもめています。それでもロシアの軍事介入は歓迎されており、それは既存のシステムを保護することを強調し、なおかつ世俗的な面でアサド政権とは波長が合います。またイランは対イスラエルという側面から今後もアサド政権を長期的に支えてくれることが予想されます。

大雑把な意訳記事です。中途半端な内容になってしまいました。結構な分量の記事でしたが、理解できない箇所があり、何度かうーんと考え込んじゃいました。気になる方は原文を見ていただければと思います。