5年目を迎えた民衆蜂起-It’s a war on normalcy-

シリアの報道が過熱する中で、全ての記事に目を通すことは僕にはできません。なので、もしかしたら、僕が見落としていただけかも知れませんが、ここ1年ほど海外メディアからの現場報道がなかったのですが、遂にCNNがやってのけました。もちろん、アサド政権側からの取材はありましたが、そうではなく、反体制派エリアからのルポでは久しぶりです。

http://edition.cnn.com/2016/03/14/middleeast/syria-aleppo-behind-rebel-lines/index.html

Clarissa Ward記者。女性です。ニカブで顔を覆い隠して、拘束や誘拐の危険性を除去しています。場所はイドリブとアレッポ。イドリブはここ最近、自由シリア軍とヌスラ戦線が揉めています。アレッポはブログでも紹介したように、現在アサド政権が支配地域を広げ、唯一使える反体制派のルートは一つだけ。空爆で負傷する市民、憤慨する市民、戦闘員や医師、彼らはシリアの惨状を世界に伝えようと必死です。少し長文ですが、シリアを外からではなく、内から理解する非常に参考になる記事です。

http://www.nytimes.com/interactive/2016/03/13/world/middleeast/syria-control-isis-maps-cease-fire-civil-war-five-years.html

こちらは分析記事になるのかな。シリアで大規模な民衆蜂起が始まってから、今月で5年目を迎えます。2月27日に停戦が発効し、戦闘は各地で続くものの、停戦前と比べれば、落ち着いているようです。人道支援は一時的であれ、数千人の住民の飢えを多少和らげました。しかし、停戦から除外されたヌスラ戦線とイスラム国との戦闘は続き、一部、反体制派とアサド政権も支配地域を拡大させるため戦火を交えています。それでも、停戦後は反体制派のいくつかの主要都市で反政府デモが行われました。

ロシアとアサド政権による空爆はホムス、ダラー、ダマスカス郊外の東グータ地域で続いています。しかし、停戦前にアサド大統領が「全てのシリアを我々の手に取り戻す」と宣言したことについては、ロシアは不快感を示しました。さらに一部の穏健な反体制派をラタキアに呼び寄せ、新たな憲法の作成と政治的解決を「できる限り早く」行えるよう進言しています。

ヌスラ戦線、イスラム国と手を取り合っている反体制派の一部は戦略的なものです。その証拠に、停戦以降、自由シリア軍を支持するデモ隊をヌスラ戦線が弾圧するという報告が各地区から聞かれます。ロシアは、その一部(自由シリア軍)を懐柔することで、和平協議の進展を目指しています。このロシアの心変わりにアメリカからの反応は今のところないようです。

シリアの内戦で外すことができない勢力がクルド人です。アメリカの強い支援を受けて、イスラム国と対峙してきました。さらに、最近ではアレッポ北部でロシアの空爆の援護とアサド政権との共闘により、穏健派とされている反体制派からも支配地域を奪っています。これに対して、反体制派はクルド人がロシアとアサドと結託していると非難して、アレッポ市内のクルド人地区、シェイク・マクスードに無差別砲撃を展開しています。

イスラム国は勢力を減退しています。1年前と比べても、シリア北部、トルコ国境沿いがクルド人によって支配地を奪われ、アレッポでもロシアとアサド政権がイスラム国に対して有利に展開しています。世界遺産に登録されているパルミラもロシアの激しい空爆が行われています。

シリア国内だけでも、有象無象の集団が跳梁跋扈している状態であり、さらに周辺諸国の思惑も入り乱れて、シリアの情勢は不透明なままです。和平協議は予定通り再開しましたが、アサド大統領の進退を言及することなく、どこまで調整が行われるか疑問です。ただ、ロシアの主要部隊の撤退はシリアに何か動きをもたらすのか、気になるところです。NYTIMESは記事と一緒にシリアの勢力図も掲載されているので、分かりやすいです。