飢えに苦しむ人々ーさらにさらに追加ー

“open-air prisons”。包囲された町は天井のない監獄と同等です。今週の火曜日、「Save the Children」が包囲網の中で苦しむ人々の様子を伝える報告書を出しました。いくつかのメディアでそのことに関しての記事が出ています。ここでは「independent」と「nytimes」から引用したいと思います。

http://www.independent.co.uk/news/world/europe/syria-civil-war-quarter-of-a-million-children-in-syria-at-risk-of-starvation-a6919761.html

http://www.nytimes.com/2016/03/09/world/middleeast/report-paints-dire-picture-of-besieged-syria-as-war-enters-6th-year.html

18の異なった地域でアサド政権、または反体制派によって包囲され、486700人の人々が飢えの脅威にさらされています。別の支援団体からの報告では190万人になるかもしれないという統計も出ています。しかし、停戦が発効した2月27日以降、いくつかの町や村に支援物資が搬送されました。15万人に食料や医薬品、燃料が届けられましたが、一時的なもので、支援ルートが完全に開放されたわけではありません。数週間分の食料が運び込まれただけで、その先は不透明です。

実際に包囲されている町の住民への聞き取り調査では、新生児の餓死者が何件か報告されています。離乳食が入手困難なのと、母乳を与える母親が栄養不足に陥っていることがあげられます。以前にもブログで取り上げたダマスカス郊外の町、マダーヤでは「independent」が現地の活動家から話を聞いたところ、300人以上の子供たちが飢餓に苦しんでいるそうです。2月27日の停戦の日には8歳の男の子が餓死しました。

東グータ地域(ダマスカス郊外)では医療品が欠如しています。常に戦闘が続くこの地域では、負傷者が発生しても、治療する薬がないため、重傷者は死を待つだけとなります。手術の際はロウソクで室内を照らし、人口呼吸器のチューブは古いホース、傷口を塞ぐ包帯には毛布、古い生地を煮沸して使用しています。

停戦により、救援物資が運ばれましたが、あくまで必要最低限のものであり、それも一時的なものです。ヨーロッパの経済コンサルタントの試算では今年、戦争が終わったとしても、シリアの再建には7000億ドルが必要であり、仮に2020年までに戦争が終われば、1.3兆ドルというとてつもない数字が叩きだされています。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-idUSKCN0WD1WR

来週の月曜日から再開される和平協議に反体制派が参加する意向を示しました。アサド政権からの返答は今日、土曜日に発表されるそうです。ただ、この反体制派を代表とする「The High Negotiations Committee(HNC)」の存在が不透明な気がします。サウジアラビアの支援により2015年12月に結成されたのですが、当初参加予定だったアハラール・アッシャームは辞退し、ジェイシュ・アルイスラムも直接は加わっていない。この二つの組織はシリアでは絶大な力を誇る反体制派組織です。

またクルド人は和平協議から外されています。今、シリアでロシア、アメリカの強力な支援を受けているクルド人が蚊帳の外では火種の除去にはつながりません。あとはイスラム国とヌスラ戦線は「テロリスト」指定されていますし。停戦中もイスラム国の支配地域のパルミラではロシアが激しい空爆を、そして数日前にはイスラム国の国防大臣になるのでしょうか、オマル・シシャニがアメリカの空爆で重傷を負ったようです。停戦の延長の先で、連邦制を模索するのが妥当な線なのかと思います。