アレッポ北部の攻防戦

和平協議による事態の打開は虚しくも崩れ落ちました。日程がずれ込み、誰も期待していない最中で開催されましたが、数日後には一時中断を宣告されました。今月末に再開されるようですが、シリアでは戦火は衰える兆しは一向に見られません。

http://www.theguardian.com/world/2016/feb/05/syrian-refugee-numbers-continue-to-build-on-turkish-border

数万人のシリア人が難民となってトルコとの国境に押し寄せています。しかし、トルコ側は国境を封鎖したまま、難民は行き場を失っています。和平協議が行われている最中に、アレッポではアサド政権とその協力者、ヒズボラ、イラク、イランのシーア派民兵が地上から、空からはロシアが尋常ではない空爆を行い、反体制派の支配地域の奪還に乗り出しました。特にロシアの空爆は数分置きに無差別に爆弾が投下され、町や村を薙ぎ払いました。多数の死傷者が出ました。

http://www.syriadeeply.org/articles/2016/02/9495/pro-assad-militias-close-rebel-held-aleppo/

http://www.understandingwar.org/sites/default/files/Regime%20Campaign%20-%20Aleppo%20FEB%202016.pdf

今回の作戦はシーア派の町、Nubbulとal-Zahraaの奪還が目的です。この周辺を支配しているのが反体制派組織のThe Levant Frontになります。この組織は自由シリア軍に分類されます。ヌスラ戦線やアハラール・アッシャームとは連帯していないと僕自身は記憶しています。

Nubbulとal-Zahraaの町を奪還するためには、Marasteh Khanという町をまずは崩さなければいけないそうです。この町での戦闘は激しさを増しており、水曜日の早朝から夕方までに、ロシアとシリアの戦闘機による空爆が150回を超えました。この日だけで双方で数十人の死者が出ました。The Levant FrontはMarasteh Khanから撤退し、小さな町Mayerに移ります。

この戦いが引き金となり、今、アレッポは危機的状況に陥っています。未だに反体制派の支配地域には80万人の住民が暮らしていると見られ、アサド政権の進軍に戦々恐々としている状態です。

先日紹介したラタキアに続き、アレッポでも大規模な攻撃が行われています。映像を見ると、尋常ではないです。多くの子供が瓦礫の下敷きとなり、白いヘルメットの救助隊員が幼い命を救うため懸命の救出作業を行っています。和平協議が無駄とは言いません。それで戦争解決とはいかないまでも、難民への支援や一部で封鎖されている町に物資が供給されるかもしれません。ただ、協議に参加している人間が虐殺に加担しているのに、まったくそれを止める手立てがない。恐ろしいことです。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/a-powerful-visual-representation-of-the-human-cost-of-the-syria-conflict-a6855966.html

これはジャーナリスト、Kristian Jensen氏が作成したものです。2011年から2016年までの民間人の死者は92000人以上です。この数には各機関によってばらつきはありますが。例えば、空爆で25人の一般市民が命を落とした。この程度であれば、何となく現実的な数字としてニュースを耳にした人はイメージしやすいですが、「死者25万人を超えた」とか「難民440万人、国内避難民760万人」とかはあまりにも数が大きすぎてイメージがわかない。それを実際にこれほどひどいのだ!と読者に分からせるための一つの手法になります。視覚に訴えかけています。一つの点が一人の人間です。