シリア和平プロセス

和平への道筋を示したシリアのロードマップが国連安保理で全会一致で採択されました。民衆蜂起が大規模に始まった2011年3月以来、国際社会が足並みを揃えて、和平プロセスに賛同の意を示したのは初めてになります。

ケリー国務長官はこう述べています。「今回の安保理は全ての関心すべき事柄に対してはっきりとしたメッセージを送った。関心すべき事柄とは暴力の停止と長年に渡り被害を受けてきたシリアの国民が支持できる政府の基礎を形作ることである」。

ロシアとアメリカのシリアへの見解には食い違いが見られます。欧米諸国はアサド大統領の退陣を求めています。ロシアはアサド政権を支持しています。そのため今回の決議案ではこの両者の対立を避けることで一致をみました。つまりアサド大統領の今後については触れないということです。

ケリー国務長官はそのことを踏まえて、こう述べています。「今回の決議で各国との間に障壁が存在しないという幻想的な考えなど抱いていない。特にアサド大統領の進退については、国際社会の間でも大きな相違が見られる」。

ロシアのラブロフ外相は今回の決議案について、こう述べています。「アサド大統領の今後も含めたシリアの問題の解決を外部から試みようとするはっきりとした返答だ」。フランスのファビウス外相はアサドの退陣を保障するのであれば、政権側、反体制派側との話し合いは成功し得るだろう。「虐殺を行っている張本人がシリアの国民を一つにまとめ上げられるだろうか。彼が再び選挙に立候補することは我々は受け入れられない」。

決議案の採択を受けて1ケ月以内に停戦を監視するための協議会の設置が求められています。また過去にウィーンで合意された政権側と反体制派との話し合い、最終的には選挙を行う合意を今回の決議でも支持されました。来年1月初旬には政権側と反体制派側との対話が開始される予定です。さらにISIS掃討作戦は継続することで一致しました。

イギリスはアサド大統領が一時的に移行政府に留まる余地を残しつつ、あくまで一時的であり、長期的には認めていません。ハモンド外相はこう述べています。「今回の決議案はシリアの内戦を終結するための大きな一歩だ。ただそれは長い道のりになる。この和平プロセスに必要なことはアサド大統領の退陣である。それは国民を殺戮している彼のモラルの問題だけでなく、彼が大統領の座に留まる限り、決してシリアは一致することなく、平和も訪れる可能性はない」。

今回の決議案でシリア人に現実的な選択肢が与えられました。それはアサドかダーイシュではなく、戦争か平和かの選択肢です。ケリー国務長官は言います。「アサドは国をまとめあげる能力を失った。もし戦争を終わらせるのであれば、シリアの国民はアサドの退陣に賛同しなければいけないことは避けられないだろう」。

という記事でした。日本でも報道されています。アサドに関する文言が避けられているのは仕方がないでしょう。彼の進退に議論が及べば、絶対に採択されることがなかった決議案ですから。それでも今回の決議案で少しでも何かが改善されればいいなあと僕は思います。一人でも命が救われればと願います。

http://www.theguardian.com/world/2015/dec/18/un-security-council-agree-resolution-on-syrian-peace-process