暗躍する大国ーイランー

シリアでの民衆革命から4年半が経過しても、事態は悪化するばかりで、沈静化する兆しが見られません。特に現在もアサド政権は健在です。そのアサドを影で支えているのが、暗躍する大国たちです。今はロシアがラタキア、タルトゥース辺りに滑走路を建設したり、戦闘機を配備して、話題になっています。イランについて書かれた記事を見かけましたので、紹介できたらと思います。ガーディアンです。

http://www.theguardian.com/world/2015/sep/21/irans-shadowy-influence-in-syrias-maelstrom-fuels-paranoia-and-wariness

ダマスカスのイラン大使館の一室でMohammed Reza Shaybani大使は「外国はシリアに関与してはいけない」とガーディアンの記者に言った。「我々はシリアの主権と領土保全を尊重しなければいけない」。イランの立場を大使はこう説明する。「イランはシリアに内政干渉をしているのではない。アサド政権との関係は歴史的、戦略的なものである。我々の役割はテロリストと戦うアサド政権に助言を行う程度の限られた関係、ただそれだけだ」。

「今のシリアの現実を見ればアサド政権に助言を与えるのは当然のことだ。それは、つまり、シリアにイランの兵士が多数駐留している、実際の戦闘に直接関わっていることを意味しない」。大使の発言とは裏腹に、多くのアナリストは控えめではあるがイランが軍事作戦にも加わっていることを認めている。イスラム革命防衛隊(IRGC)が数百人関わっていると推測される。さらに忘れてはならないのは、IRGCはレバノンのヒズボラやアフガニスタン、パキスタン、イラクから駆け付けているシーア派民兵とも強い繋がりがある。今年の6月にはQassem Suleimani司令官がイドリブに訪れていることは知られている。しかし、IRGCの役割は重要ではあるが、彼らの存在は見えにくく、影のように暗躍している。

「イランの兵士が特定の場所に展開していることは知っている。しかし、実際に彼らがそこで何を行っているのかまだはっきりと把握できていない」。国際戦略研究所の研究員は言う。「疑問なのは、どの程度までイランがこの内戦に関わっているか、作戦、戦闘、指導については分からない」。

しかし、シリアの正規軍の一部の将校はIRGCに対して不満を抱えているが、テヘランに依存している現状では、無理にでも愛想笑いを浮かべるしかない。1979年のイラン革命の直後から勃発したイラン・イラク戦争ではシリアはイランの側についている。しかし、厳格なイスラム教を唱えるイランよりもウォッカで乾杯をするロシアの方が世俗主義のシリアには心地が良い。ロシアもイランに頼るアサド政権には内心では快く思わない気持ちもあり、アサド政権への影響力をより強めるために支援を増やしている。決して、シリアを支える大国同士が手を握り合っているわけではない。

現在、レバノンとの国境付近の町ザバダーニでは政府軍・ヒズボラと反体制派のアハラール・アッシャームが激戦を繰り広げている。イスラエルの情報筋からはこの戦闘には数百人のIRGCが関わっているとされている。

シリア人はイランの影響力の増大には苛立っている。ダマスカスのメッゼ地区にはイラン人専用の住宅街を建設予定であるとされる。住人は「まるでイランに占領されているみたいだ」と憤る。アサド支持層の中にも懸念は広がる。「イランの影響力が顕在化すれば、国際社会やアメリカ、サウジアラビアと敵対することも考えられる。さらにシリアに強い影響力が行使できれば、それは外交カードにもなりうる。イランはアサド政権を支えるためではなく、自らの利益のためにシリアで動いている」。そう語るのはダマスカスで暮らす弁護士である。

アサド大統領が信仰するアラウィー派とは異なる小さなシーア派のコミュニティーがシリアには存在する。彼らはイラン国籍と彼らの戦略上の利益とシーア派の信仰とを区別すべきだと警告しているが、現在はそうした差異は混在化している。シリア人であるにもかかわらず、イラン人と同一視されることに彼らは懸念を示している。シーア派の記者は「イランのシリアでの役割を大げさに報じるあまり、シリア人はイラン人はシーア派を支援するためにシリアに展開していると思われがちだが、実際は彼らは自らの国家利益のためにシリアを利用しているのだ」と述べる。

ロンドンを拠点にしている記者は言う。「イランは口で言うこととは真逆のことをする。つまりシリアの主権を守れと言えば、主権を侵す。過去にシリアがレバノンをシリアの一部として扱ったようなことをイランは今シリアで行っている。イランは軍、ビジネスマン、エンジニア、土地収用を着々として、シリアをイランの都合の良い国に仕立て上げようとしているんだ」

イラン大使は今後のシリアでの外交姿勢の詳細を避けたが、一つだけはっきりとしたことがある。彼は言う。「バッシャール・アル=アサドは国民が選んだ大統領だ。彼を退陣させる権利は誰にもない。リビアでの経験が良い教訓だ。カダフィーが去った後、リビアがどうなったのか。現状を鑑みれば、テロリストを一掃するまでは今の政権が交代することはないだろう」

アサドはもはや単なるロシアやイランの操り人形なのかもしれません。だからといって、アサドのシリアで犯した罪は免れません。以前にBBCとのインタビューで記者が「たる爆弾」について激しく追及した際に、彼は「そんなの知らない。たる爆弾って何だい?cooking potのことかい?」と笑い飛ばしました。あれは冗談で済ませられる発言ではなかった。