アサドの微笑み-追加-

BBCがアサドとの単独インタビューに成功しました。生のバッシャール・アル・アサドです。必見です。出来れば、テキスト化してほしい。リスニングだけだと聞き取れない箇所が多々あるから。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-31327153

インタビュアーはJeremy Bowen。冒頭からアサドに鋭い突っ込みをしています。シリアは国家が破綻(failed state)しているのではないか。もちろんアサドは否定します。外部からの勢力に土地を奪われているんだ。そして我々は国土を防衛するために戦っているんだ。さらに革命当初に話を移し、平和的なデモへの対処にシリア政府の過ちはなかったか。アサドは完全に否定はしませんが、デモ参加者にも問題があった(兵士や警察官を殺害していた)と述べています。

そして市民への殺害に政府軍が深く関わっているのではないかという問いに対してのアサド政権の責任問題に話は進みますが、かみ合っていません。反体制派とアルカイダ系武装勢力との区別に関して、アサドは一貫して穏健派も強硬派も根っこは同じ、つまり「テロリスト」だというスタンスです。

樽爆弾の使用に関してはアサドは頑なに「知らぬ存ぜぬ」で通しています。我々が使用しているのは「銃」「ミサイル」「爆弾」であり、樽爆弾だって?そんなの知らないよで貫き通しています。Bowenがかなり苛立っています。用意した資料や証言から「樽爆弾」が実際に使用されていると証明しようと必至ですが、最終的に「樽?cooking-potの話でもするのかい」と一笑されます。

飽きれたBowenがそれならと化学兵器の使用について問いただします。化学兵器を断念したはずだが、今でも塩素ガスによる攻撃を行っているのでは?アサドは答えます。塩素ガスは工場や家庭にもある一般的なものだ。我々だけが持っているものではない。それにもし化学兵器が使用されたら犠牲者が甚大なものになるが、そんな事例はない。すかさずBowenが反撃します。2013年夏に化学兵器が使用された。政府軍の仕業ではないか?アサドは完全否定します。さらにあれは化学兵器ではないと付け加えます。

周辺諸国、欧米とシリアとの関係について。サウジアラビアとの連携を一切否定した後、イスラム国を空爆するアメリカとの協調も否定、それではアメリカの戦闘機が誤ってシリアの戦闘機やヘリコプターを撃ち落とすこともあり得るが、そんな事例は見られないとBowenが突っ込みます。アサドは苦々しく答えます。直接アメリカとの連携はないがイラクやその他の国から情報がもたらされる。しかし、アメリカとの対話も戦略的な連携もない。

政府軍が反体制派地域を包囲し、物資の搬入を遮断して、餓死者が出ていることを戦争法に違反していると指摘するBowenに対して、アサドは我々のところに来ればいい、単純なことだと答えます。市民への医薬品や食料を積んだ車列が政府軍に止められるケースがあるがどうなのか。アサドはプロパガンダで片付けます。

退陣については「ノー」とアサドは答えます。シリアが廃墟と化して数十万の死者が出ていても、私はこの国を守る使命がある、絶対に逃げないと述べています。カーボーン地区(ダマスカス近郊)の政府軍による砲撃で破壊された学校の教師の発言をBowenはアサドにぶつけます。「大統領は子供たちをこの戦争に巻き込まれないようにする責任がある。テロと戦うのは許せる。でも、子供たちはテロリストではない。どうか学校に砲弾を撃ち込まないでほしい」。その教師の言葉に、アサドは「学校を砲撃したことはない。なぜそんなことをする必要があるんだ」と淡々と答えています。

あなたはこの戦争で犠牲になった人たち、最愛の人を亡くした家族の苦痛を考えたことがありますか。アサドは答えます。反体制派側にも我々の側にも最愛の人はいます。我々は人間です。私も家族や友人や同僚を亡くしています。苦痛の日々です。

Jeremy Bowen、さすがです。アサドを目の前にしても動じる様子を一切見せません。しかし、猫を被ったアサドの態度に憤りを隠せないのは表情を見ていれば分かります。今回のインタビューに反体制派の活動家やシリアウォッチャーは激昂しています。特に「樽爆弾」の使用云々のくだりはあきれるばかりです。

今週初めから、ダマスカス郊外の東グータ地域のドゥーマが政府軍の猛攻撃を受けています。それは現在でも続いており、既に100名以上の死者が出ています。アサドは何度となく言います。私がこの4年間、大統領の地位を維持できているのは、私一人の力ではない。国民が支持をしているからこそ私は大統領でいられるのだ。言い換えれば、アサドを支持しない者は国民ではないということです。だから殺されても仕方がない。彼らはテロリストなのだから。。。