ISが支配する町-ラッカ-

今月の17日にホムス東部のガス田(Shaer field)がISによって襲撃された件、当日だけで90名の政府側の人間が殺され、多数が誘拐されました。2日後、シリア人権監視団の報告によれば、死者の数は政府側が270名、IS側が40名とのことです。ガス田で働いていた労働者、警備兵、政府軍兵士、行方不明者は少なくとも90名以上いることが分かっています。アサド政権はこのガス田を奪還するため現在も交戦中ですが、詳しい報道はされていません。

http://www.reuters.com/article/2014/07/19/us-syria-crisis-attack-idUSKBN0FO05O20140719

http://www.washingtonpost.com/world/middle_east/syrian-troops-seek-to-retake-jihadi-held-gas-field/2014/07/19/8043e9ac-0f29-11e4-b0dd-edc009ac1f9d_story.html

NYTimesにラッカに限らずシリアとイラクのISの勢力図が掲載されていました。非常に分かりやすいです。よく耳する地名が地図上ではどの辺りに位置するのかが示されていて助かります。 http://www.nytimes.com/interactive/2014/07/03/world/middleeast/syria-iraq-isis-rogue-state-along-two-rivers.html

治安はアレッポとラッカでは雲泥の差があります。戦闘だけでなく、窃盗や殺人が横行し、食料不足に悩まされているアレッポと違い、ラッカは治安の乱れはほとんど確認されていません。しかし、その代償として存在するのがイスラム法です。

Al Rasheed Parkの町の象徴的なライオンの彫像は偶像崇拝に繋がるとの見解から粉砕されました。かつては男女のカップルが談笑を交わしていた公共の広場Al Amasy Squareは鉄条網で囲われISの黒旗がはためいています。窃盗を働いた人間は刑罰として公の場で手首を切断されます。

最近、NYTimesの特派員がラッカで6日間過ごしました。その際に幾人かの住民にインタビューしています。財務大臣の邸宅にはイスラム法廷と警察署が、交通警察署はイスラム法に照らした高校が設置されました。銀行に設けられた税務署では2か月毎に店の経営者から電気、水道、治安保全の名目で20ドルが徴収されます。レシートも発行され、料金はアサド政権当時(賄賂)と比べて安く設定されています。

ラッカのISの構成員の大半は外国人で移り気な暴力性を秘めた若者たちで占められています。ラッカにある3つの教会は全て閉鎖され、最も大きなArmenian Catholic Martyrs Churchには正面玄関に黒旗が掲げられ、ISのメンバーを募るため戦闘の様子を撮影した映像がスクリーンを通して流れています。キリスト教徒は毎月数ドルの税金を徴収され、彼らも礼拝を強制されています。

タバコや水タバコは禁止され、カフェは閉鎖。女性は公共の場では髪と顔を覆うのが原則です。ISは可能な限りでインフラの整備に努めていますが、電気や水道の整備は不十分です。医師も不足しており、ISのカリフAbu Bakr al-Baghdadiが医師とエンジニアの呼び込みをかけています。ムスリムの使命であると。

ISの戦闘員の国籍は多様であり、サウジアラビア、エジプト、チュニジア、リビア等々。電力を管理するトップはスーダン人。病院の経営者はヨルダン人。このヨルダン人はラッカに来る以前はモスルで病院の経営に乗り出していました。

ISが産声を上げました。彼らに生命を与えたのはこのラッカです。まだまだ試験的ではありますが、カリフ制イスラム国家が今後どのように構築されて成功を収めるのか、もしくは失敗に終わるのか、その判断はラッカの戦況を伺えば見えてくるでしょう。

http://www.nytimes.com/2014/07/24/world/middleeast/islamic-state-controls-raqqa-syria.html?ref=world&_r=1