カラモン攻防戦-追加-

http://www.reuters.com/article/2014/02/14/us-syria-crisis-homs-scene-idUSBREA1D0HR20140214

ホムスの反体制派支配地域から1500人近くが避難していますが、政府側が提示した条件から外れた避難者(15歳から55歳までの男性)が数百人拘束されています。容疑が晴れた者は解放されているようです。旧市街には依然として1500人の反体制派の人間と1000人近い市民が残っています。避難者の列に向かって居残り組みの住民がこんな言葉を投げつけています。「You’ve sold out Homs!」。また政府側は避難を促進するための甘言を垂れています。

“Those who have broken the law will answer to the law. But if you come to the state and say ‘I’ve made a mistake, I was wrong’, then that is it. It’ll be over. Don’t worry.”

「法を犯した者は法の下で裁かれるだろう。しかし、こちら側(アサド政権)に来て、『私が間違ってました』と自らの罪を認めれば、それで全て終わりになるだろう。何も心配することはない」。この「over」の意味をどう解釈すればいいのだろうか。「生」か「死」か。ホムスの住民は究極の選択を迫られています。

以前に「カラモン攻防戦」というブログを書きました。最近、またカラモン周辺の記事がいくつかのメディアで紹介されていましたので、「追加」で戦況を追ってみたいと思います。今回の舞台は「Yabroud」という町になります。まずはISWのサイトから地図を拝借します。

http://www.understandingwar.org/sites/default/files/Qalamoun-Map.jpg

カラモン攻防戦が本格化したのは2013年11月。レバノンとシリアと国境を接するカラモン山はアサド政権、反体制派にとって密輸ルートとして地理的に重要な要衝として知られています。そして、Yabroud(反体制派支配地域)はその真っ只中に立たされています。今週の水曜日から金曜日にかけて政府軍の激しい空爆に曝されています。

現在、カラモン山は政府軍に圧倒されていますが、Yabroudは未だに反体制派が優位を保っており、唯一、レバノンのArsalとを繋ぐ補給ルートを維持しています。同時にYabroudはダマスカスとホムスを結ぶ国道(M5)に脅威を与える拠点であり、政府軍は何とかしてこの町を陥落させようと攻撃を激化させています。さらにレバノンで頻繁に炸裂している車爆弾の製造もこの町で行われ、レバノンを棲家としてアサド政権を支えるヒズボラも頭を悩ましています。もちろんカラモン攻防戦にはヒズボラが積極的に参戦しています。

Yabroudで聖戦を掲げる勢力は地元民が大半ですが、装備が貧弱であるため、ヌスラ戦線やアハラール・アッシャームの力添えも指摘されています。しかし、ヒズボラとアサド政権の大攻勢により陥落する可能性は高いです。その一方で、Yabroudの陥落に憎悪を燃やすヌスラ戦線や反体制派組織がアサド政権に加担するヒズボラを敵視することで、レバノンにさらなる火種が拡散されることが予想されています。

今週に入り、政府軍はYabroudの住民は町から退避するように促しています。どうやら廃墟と化すようです。実際に小部隊がYabroudへの侵入を試みているようですが、ことごとく撃退されている有様です。カラモン攻防戦が始まり、各地の町々が崩壊している中で、Yabroudは反体制派の牙城として多数の避難民の拠り所でもありました。それが今、危機に瀕していることで、数は定かではなく、少なくとも数千、多く見積もれば数万の難民がレバノンに逃れようとしています。

和平会議が開始された1月22日から3週間足らずでシリア全土で命を落とした者は少なくとも4959人にのぼります。ダマスカス近郊のヤルムーク地区やホムスの旧市街での兵糧攻めに苦しめられていた住民への政府軍の包囲網の緩和や食糧支援の模様は伝えられていますが、Yabroudでは激しい空爆が開始されています。もちろんこれも氷山の一角。樽爆弾はあらゆる都市や町に投下され、それとは別に反体制派勢力の内ゲバで市民が犠牲を払っています。

Yabroudが注目を集めているのはレバノンとシリアを結ぶ反体制派の供給ルートの最後の砦だからです。クサイルが陥落して、その後もホムス県とレバノンを結ぶラインがアサド政権とヒズボラにより断ち切られ、カラモン山も死に際に立たされています。シリア情勢を見るに、周辺国の国境をいかにして押さえるかが戦局を大きく左右します。反体制派にとって有力視されていたトルコ側に広がるシリア北部はごちゃごちゃですし、イラク側はクルド人とISISでせめぎ合い、ヨルダンが辛うじて反体制派が牛耳っていますが、ヨルダン側が国境警備を強化していますし、イスラエルは・・・未知数ですし、レバノンは説明した通りです。やはりアサド政権に追い風が吹いていると見るべきでしょうか。

それより・・・都内の雪!何とかしてくれや。仕事で疲労困憊。ライフがゼロです。ブログやらアラビア語やら疲れてなかなかやる気が起きません。実家の高山と変わらない光景が窓の外に広がっています。実家・・・帰りたいなあ。

参考サイト

https://now.mmedia.me/lb/en/reportsfeatures/535217-new-qalamoun-offensive-may-further-destabilize-lebanon

http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/10634530/Syrian-forces-bombard-opposition-stronghold-of-Yabroud.html

http://beta.syriadeeply.org/2014/02/eye-battle-yabroud/#.Uv3oPXCCjIU