兵糧攻め-追加-

http://www.latimes.com/world/la-fg-syria-aid-20140205,0,6145120.story#axzz2sRHI6xGR

今週の火曜日、ヤルムーク地区の包囲網が一部解除されました。かつては200000人の住民が暮らしていたヤルムークの人口は18000人ほどまで減少。前回の限定的な救援物資の搬送を越えて今回は多くの住民がヤルムーク地区から別の地区へと避難しているようです。ただし、女性、子供、高齢者が大半です。

「小さな一歩だ。だが、ヤルムークをきっかけにして、より多くの人々に支援の手が差し伸べられることを願っている」

赤新月社のスタッフRazan Jaradehは述べています。現在も政府軍の包囲網によりシリア全土では約250000人の人々が過酷な環境で生きながらえています。しかし、事情は複雑です。政府側は反体制派が住民の避難を制止していると非難しています。「人間の盾」として利用しているわけです。

反体制派の武装勢力が「もしこの地区から出て行きたいのであれば、それは政府側の味方に付いたとみなす」と言われた。ある女性はこう証言していますが、彼女が1ヶ月前に避難をしようと検問所に向かうと、兵士に追い返された上に、彼女の旦那も含めた全ての成人男性が逮捕されました。

今回の避難は女性と子供と高齢者が対象です。成人男性は含まれていません。彼らは反体制派の武装勢力として仮に避難したとしても、政府軍に逮捕されます。記事の後半は家族と再会できた喜びを語る避難者やその家族の声が紹介されています。離散家族を彷彿とさせるほどヤルムーク包囲網は徹底的に固められていたようです。

http://edition.cnn.com/2014/02/07/world/meast/syria-civil-war/index.html?hpt=wo_c2

今週の金曜日、さらにホムスでも動きがありました。国営放送SANAによれば、包囲されていた旧市街から少なくとも200名の市民が避難することを許されました。ただし、対象者は女性、55歳以上の高齢者、15歳以下の子供に限られます。

和平会議では物別れに終わりましたが、どうやら水面下ではアサド政権と反体制派が交渉をしていたものと思われます。今回の停戦に関して、旧市街の反体制派の広報官Abu RamiはCNNのインタビューに答えています。

「我々はここで暮らす住民(家族)に与えられるものは何もない。食料と医薬品の欠如は我々の自由を奪った。特に女性、子供、高齢者への影響が著しく、彼らの利益のためには停戦を受け入れざる得なかった」

包囲網の外には救援物資を積み込んだ国連の車列が待機しています。避難者と入れ替わりでこれらの物資が旧市街に搬入される予定です。しかし、以前にもブログで指摘したように一時的では意味がありません。常に供給ルートが確保されなければ、同じ惨禍が繰り返されます。そもそも現代において兵糧攻めによって内部の人間を飢餓に陥れること自体が人道に対する罪に抵触する行為なのではないでしょうか。

また、これを一定の評価とみなすのは非常に危険です。完全包囲されている地区はほぼアサド政権の掌中にあります。反体制派が住民を人間の盾に利用しているから攻撃できない。政府軍はこう述べていますが、別に攻撃しなくても、供給ルートを遮断すれば、自然と内部から崩壊していくので放置していればいいだけです。

アレッポを見てください。ダマスカス郊外のダーリーヤ、ドゥーマ、その他の地区を見てください。一般市民が「樽爆弾」によって大量に殺傷されています。アサド政権の掌中から外れた地域は徹底的な破壊行為がなされています。包囲網の解放の次は樽爆弾の停止。交渉に有利な道具がまた一つ増えています。アサドの大罪には誰しもが気が付いているが、それに手を付ける余裕を与えない、もしくは大罪をさらなる罪で覆い隠して、付け入る隙を与えない。もうすぐ3年が経とうとしています。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/the-battle-for-homs-no-relief-in-sight-for-syrian-city-where-neither-side-wants-to-hand-the-other-a-victory-9107670.html

軽く目を通しただけなので詳細は避けます。ホムスの旧市街の様子が書かれています。政府軍に同行した記事ですが、旧市街はアサドの掌中からはまだまだ外れているようです。毎日のように火花を散らしています。30ほどの反体制派の組織がいますが、外国人勢力はほとんど存在していないみたいです。ぜひ一読を。面白いとは不謹慎ですが、現場から伝わる記者からの生の声はやはり重みがあります。