マーダミーヤ包囲網

数日前、トルコ在住の知り合いがマーダミーヤに現在も残る彼の友人とネット経由(携帯かもしれませんが)、話をしたそうです。その友人、いつからかはっきりとは分かりませんが、少なくとも1ヶ月以上は、まともな食事を摂っていないそうです。何を食べているのか。草とオリーブだけです。そのマーダミーヤに一筋の光?影?が薄っすらと差し込みました。

マーダミーヤはブログでも何度か取り上げましたが、ダマスカス近郊の地区です。化学兵器が使用された場所としても知られていますし、お隣のダーリーヤ地区と共にメッゼ軍事空港が目と鼻の先にあるため、容赦のない砲弾が雨のように降り注いでいます。去年、マーダミーヤはFSAの手に落ちました。以降、熾烈な戦闘が日々続いていましたが、陥落する気配が見られない。そこで政府軍は兵糧攻めに乗り出しました。町の周囲を軍で固めて、FSAだけでなく一般市民もろとも完全に孤立化させる。現在は、子供や老人が多数餓死しているほど状況は深刻です。数千人が閉じ込められていると一部では報じられています。

http://www.reuters.com/article/2013/12/26/us-syria-crisis-truce-idUSBRE9BP06U20131226

朗報というべきか。マーダミーヤが48時間の限定的な停戦に入ったようです。期限は水曜日から金曜日まで。ロイターによれば、停戦により食料の供給が一時的に政府側から許可されるようです。同時にFSAが所有している重火器を政府軍が買い上げるという現実的ではない計画も予定されているようです。「ようです」ばかりで現実味に欠けますが、活動家が指摘しているように、 “There are no guarantees from either side. This is war.”。この言葉に尽きます。甘い言葉の裏にはおどろおどろしいほど悪意が渦巻いています。

http://www.nytimes.com/2013/12/27/world/middleeast/deal-syrian-town.html?ref=middleeast&_r=0

NYTIMESにも同様の記事がありました。兵糧攻めは一年近く続いています。48時間の停戦は結ばれましたが、木曜日になっても食料が市内に運び込まれた様子はありません。またFSAと政府軍による散発的な衝突は停戦期間中にも発生しているようです。政府側は食料の供給ルートを再開させる代償としてFSAの武装解除が前提条件にあるようです。もちろんFSAはその要求を呑むことは許されません。そのため今回の停戦は形だけのものに終わる気配が漂っています。実際、停戦が成立したからと喜び勇んで市内を出たところで、政府軍によって強制逮捕されるケースが後を絶ちません。たった一枚のホブズ(パン)さえ手に入らない地区がダマスカスには点在しています。そんな話の後では、言い辛いんですが、とりあえず、、、よいお年を!

シリア一色で今年は終わりを迎えます。これまでいくつかの紛争地を巡ってきて、初めて人知を超えた場面に遭遇しました。人知とは僕の能力の限界を示します。シリアのドゥーマでの1ヶ月、常に疑問符が脳裏を過ぎり、その正当性を確立させるために必死で体裁を整えてきました。でも形のない空虚感だけが漂う貧相なものでした。シリアに限らず互いに殺しあう世界は複雑です。知識の蓄えが多少の氷解に繋がるかもしれません。来年、次なる取材先に目標を定めつつ、無職になる覚悟を前提に、35歳の中年オヤジ、旅立ちます。期待はしないでください。予定は未定なんで。