修復し難い両者の関係-FSAvsISIS-

自由シリア軍(FSA)の地盤が揺るぎ始めている。シリア北西部、FSAの生き残りがトルコとの国境沿いの町で息を潜めている。彼らの指揮官はアルカイダと繋がりがある別の反体制派勢力によって殺され、首を切り落とされた。アサド政権を共通の敵として互いに手を取り合う関係は終わりを告げた。直近の課題はアルカイダ勢力からどう身を守るかだ。

新しい指揮官に選任されたWalid Shawkanは状況の深刻さを語る。ダナの町で事件は起きた。武器の配分を巡り、「the Islamic State of Iraq and Syria(ISIS)」と彼らの部隊「the Hamza Lion of God」との間に対立が起きた。ISISは武器を奪い取ると、彼らを背教者であると批難し、攻撃を開始した。Shawkanは言う。「奴らは政府軍と戦うために来たんじゃない。俺たちと戦うために来たんだ。我々は政府軍と戦う前にまずはISISを叩く」。

戦闘が長期化するシリアで、ISISはその野望を急速に拡大しつつある。幾人かの反体制派勢力は米国の空爆はアサド政権と共にアルカイダ勢力をも標的にするのではないかと噂をしている。去年から台頭を始めた外国人勢力。FSAも当初は対アサドを掲げる陣営として彼らを受け入れた。しかし、彼らの暴走は止まらない。今年に入り、FSAだけでなく外国人勢力の巨頭として知られるヌスラ戦線とも袂を分かつことになる。

「奴らは新しい前線を開拓しようとしている。まるでアサドと結託しているかのようだ。奴らの存在があることで、FSAも政府軍との戦闘に専念できない」。ダナで同じくISISの被害を受けた「the Martyrs of Dignity’s Armor militia」の指揮官であるIbrahim Hananoは言う。

FSAはISISとの距離を置かなければならないと考えている。しかし、軍事的な領域での複雑さに頭を悩ましている。実際、北部での軍事空港制圧、ラタキアの進撃、これらの大規模な作戦にはFSAと共にISISの力が大きく働いている。しかし、FSAは連携を組んでISISと戦う意思を明確に打ち出そうとしている。しかし、これらのFSAの努力も徒労に終わるだろうと識者は予測する。「イラクで起きていることよりシリアの状況は複雑怪奇な様相を呈している。アサド政権が存在している限り、FSAが結束して彼ら(ISISI)に戦いを挑むことは非常な困難を伴うだろう」。識者の1人Al-Tamimiはそう訝る。

FSAの中には喜んでISISを含めたアルカイダ系の武装勢力と手を組む部隊もいる。アレッポ軍事評議会の将校であるAbduljabbar Aqidiは言う。「我々のスタンスはあくまで敵はアサド政権ただ一つだ」。彼は話し合いにより両者の亀裂は緩和されると考えている。軍事空港を制圧した際、彼は共闘してくれたアルカイダ系組織の部隊長に感謝を述べている。

アルカイダ系と言われる組織の性格も十人十色である。ヌスラ戦線に至っては市民から広範な支持を得ている。彼らは戦闘だけでなく、インフラの整備にも尽力している。水道、電気の修復からパン屋への小麦粉の支給、清掃業務などの慈善活動も行っている。それに比べると、ISISの慈善事業には未発達な部分が目立つ。ISISのメンバーの1人Abu Waqas Tunisiは子供たちが大勢集まる中で、ナイフを掲げる。彼の後ろにはカラフルな風船やビーチボールと並んで、巨大な黒いアルカイダの旗が吊るされている。

「メロンはどーれだ?」。彼は子供たちを前に言う。「このメロンを一番早く食べた者が一等賞だ」。2人の少年が「メロン早食い大会」に志願する。スピーカーから大音量で流される宗教音楽の中で、少年はメロンをほお張る。勝者が決まり、Tunisiは尋ねる。「ISISについてどう思う?」。少年は答える。「あなたに神のご加護がありますように」。「それだけかい?」。Tunisiの追加の質問に少年はしばらく考えて、答える。「神はあなたを勝利に導くでしょう」。Tunisiは満足する。「ここから今まさにISISの一歩が始まった。この少年もISISの一員だ」。

こうしたアルカイダ系の勢力の存在によって欧米からの支援が停滞しているFSAは世俗派であることを打ち出してのキャンペーン活動に乗り出している。Supreme Military Council(SMC)のスポークスマンSaad Saad Eddineは離反兵を含めた3大隊を設立し、その就任式をビデオで撮影した。撮影最後で幾人かの指揮官が「神は偉大なり!」と本能的に叫んだ。Saad Eddineは「違う!違う!もう一度最初からだ」と慌てて撮り直しにかかった。「神は偉大なり!アッラー・アクバル!」。この言葉は強硬なイスラミストを連想させる。FSAは政治や軍事に宗教を持ち込まない。その意思表示のための彼の配慮だった。

アレッポではFSAは世俗派を掲げて部隊を結成し、ISISを含めたアルカイダ系と日々格闘している。この世俗派部隊の指揮官の一人は名前を伏せることを条件にこんなことを述べている。「先のことについてはあまり考えたくない。なぜなら頭が痛くなるからだ。ただし、バッシャール打倒を掲げて立ち上がった市民は必ず第2のバッシャールが現れても戦えるだけの能力はあるだろう」。

http://www.latimes.com/world/la-fg-syria-fsa-alqaeda-20130912,0,25232.story

この記事の中ほどに書かれているメロン大会の話。これ映像を以前に見ました。何ていえばいいのか、幼稚?滑稽?ただこれを真面目に主催しているISISはマジで只者じゃねえって思いました。アサド政権による化学兵器使用から軍事介入の流れからの化学兵器の国際管理やら禁止条約への加盟なんかがスポットライトを浴びていますが、そっちじゃない別の形のシリアの現状も見てもらえたらと思います。読者にとってはすごく退屈なのは重々承知していますが。でもこのLATimesの記事、めちゃくちゃ興味深かったです。原文推奨です。