アメリカの行き詰まり-クルド人勢力とスンニ派勢力-

シリアで勢力範囲を飛躍的に拡大している組織があります。それがクルド人部隊、YPGとYPJです。YPGとはクルド語で「Yekîneyên Parastina Gel‎」、YPJとはクルド語で「Yekîneyên Parastina Jin‎」、その頭文字を取っています。日本語であれば、人民防衛隊と訳されます。YPGが男性戦闘員、YPJが女性戦闘員となります。

去年の4月、私はシリアの小さな町、コバニを訪れました。コバニはクルド人の支配地域です。イスラム教には寛容というより、宗教の匂いは一切なく、彼らを結び付けている民族の力強い連帯感を肌身を通して感じました。ただアラブ人と同じで外からの人間に対してはとても優しく、歓待されました。そのクルド人がシリア内戦で非常に重要な立ち位置にいます。 続きを読む

ひと目で理解できるシリア情勢

CharlesLister氏が作成したシリアの勢力関係図に少し説明を加えたいと思います。

http://indy100.independent.co.uk/article/this-very-simple-chart-should-clear-up-the-whole-war-in-syria-for-you–WyBZZEIz0g

こちらがその勢力関係図です。誰と誰が敵対関係であるかがこの一枚で理解できますが、線が入り乱れて、何がなにやら。つまり、この図を作成した意図はいかにシリアが複雑な様相を呈しているかを説明したかったのだと思います。視覚に訴えかけるのは有効な手段です。ただ、一つ一つを拾っていけば、意外と容易く理解できるんじゃないかと思い、僕が知っている範囲で図解できればと思います。 続きを読む

アレッポ北部の攻防戦-追加-

ロシアの空爆による民間人の死者が多数報告されています。月曜日にはイドリブやアザズで少なくとも3つの病院と学校が空爆されました。ロシアは関与を否定していますが、この地域で空爆を行える、行うのはアサド政権かロシアに限定されます。今回はここ3週間ほどのシリア北部での勢力図の変化について紹介できればと思います。

http://www.vox.com/2016/2/16/11020140/russia-syria-bombing-maps

とても分かりやすい記事です。3つの地図を引用して、最近のロシアの空爆と各勢力の動きを分析しています。一つ目がISWの地図を基にして、ロシアがどの地域を激しく空爆しているかを説明しています。アレッポ北部、東部、イドリブ県、シリア南部のダラー県などに集中しています。停戦に向けてロシア、アメリカが協議をしている最中にも容赦なく爆弾は降り注いでいます。 続きを読む

シリアー死者470000人ー

http://www.pbs.org/wgbh/frontline/article/a-staggering-new-death-toll-for-syrias-war-470000/

シリアの死者数の新たなデータです。2011年3月以降、シリアで間接的、直接的に命を落とした者は470000人というものです。死者を算出したのはthe Syrian Center for Policy Research (SCPR)という機関になります。

SCPRの分析によれば、シリアの人口の11.5パーセントが負傷したか死亡したかどちらかだと述べられています。400000人が直接的に、70000人が間接的に殺されています。間接的の理由としては、医療設備の破壊から治療が受けられなかった人、不衛生な環境により伝染病が蔓延したこと、食料不足により栄養失調、餓死した人などです。負傷者は1880000人と推計されています。 続きを読む

Enough is enough

マイケル・イグナティエフとLeon Wieseltierによるオピニオンです。

https://www.washingtonpost.com/opinions/the-era-of-us-abdication-on-syria-must-end/2016/02/09/55226716-ce96-11e5-88cd-753e80cd29ad_story.html

アレッポでのロシアの空爆は多くの民間人を死傷し、数万人の人々を追い立てた。この巨大な街が包囲されれば、物資の供給も滞り、多数の住民が飢餓の恐怖にさらされるだろう。欧米のシリア政策が道徳的破綻をきたすのも時間の問題である。

実際に、道徳的破綻は長く続いている。シリアの大統領は退陣すべきだという5年に渡る空虚なスローガン、気乗りしない反体制派への武器支援、化学兵器の使用で超えたはずのレッドラインの有名無実化、西側諸国の互いの押し付け合いから生じた緊張の下での難民の不十分な対応。その結果、25万人の死者と700万人の国内避難民、500万人近くの難民を生み出した。難民のうち200万人は子供である。 続きを読む

アレッポ北部の攻防戦

和平協議による事態の打開は虚しくも崩れ落ちました。日程がずれ込み、誰も期待していない最中で開催されましたが、数日後には一時中断を宣告されました。今月末に再開されるようですが、シリアでは戦火は衰える兆しは一向に見られません。

http://www.theguardian.com/world/2016/feb/05/syrian-refugee-numbers-continue-to-build-on-turkish-border

数万人のシリア人が難民となってトルコとの国境に押し寄せています。しかし、トルコ側は国境を封鎖したまま、難民は行き場を失っています。和平協議が行われている最中に、アレッポではアサド政権とその協力者、ヒズボラ、イラク、イランのシーア派民兵が地上から、空からはロシアが尋常ではない空爆を行い、反体制派の支配地域の奪還に乗り出しました。特にロシアの空爆は数分置きに無差別に爆弾が投下され、町や村を薙ぎ払いました。多数の死傷者が出ました。 続きを読む

ニュース拾い読み

シリアに関するニュースが一通り分かります。ロイターです。

http://www.reuters.com/places/syria

とても便利です。その中から一部を紹介できればと思います。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-turkmens-idUSKCN0VA2G0

先週からラタキア県からトルコへと逃げ込む難民が急増しています。ラタキアはトルクメン人が多く暮らしていますが、アラブ人も含めて3500人以上が土地を追われました。理由はロシアの空爆です。周知の事実ですが、ロシアはイスラム国よりも反体制派を主な標的にしています。特にラタキアはアサド政権の牙城でもあり、この辺りの制圧にはロシアは固執しています。 続きを読む