白いヘルメットの救助隊ー追加ー

命がけの救出作業に尽力する白いヘルメットの方々について追記です。

http://europe.newsweek.com/white-helmets-syrian-civil-war-418001

トルコとの国境沿いに集まった訓練生の職種は様々である。学生、教師、八百屋、農夫。彼らはこれから緊急救助隊、Syrian Civil Defenseの隊員になるため訓練を受けます。通称、白いヘルメットと呼ばれる市民防衛隊は中立的で非武装を掲げています。

訓練所には焼け焦げたバスや壊れた建物が見られ、それらは実際の現場を再現したシミュレーションとして利用されます。正確な場所は非公開とされ、隊員、訓練生の名前を聞いても、大半がファーストネームだけ答えます。なぜなら、この地域にはイスラム国のスパイが潜り込んでいるからです。 続きを読む

自著について

今、ブログの記事をカテゴリー分けしています。これが結構、面倒です。自分で言うのもなんですが、、、よくこんなにいくつも記事を書いてるなあって少し感心しちゃいました。けど、ブログを開設してから3年が経過すれば、記事もそれなりに貯まるのも当然だし、2、3カ月更新してなかったりもするから、シリアの現状を伝えるという立場からすればまだまだ足りないなあと反省したりもします。

改めて宣伝させてください。僕のブログなんで、自著を紹介しないわけにもいきません。今月、本を出しました。タイトルは「シリア 戦場からの声 内戦 2012-2015」です。これまでのシリア取材をまとめたものになります。大きな書店、ネットストアで購入が可能です。

2012年3月、ダマスカス・ドゥーマ、2012年10月、2013年2月、アレッポ、2014年5月、イドリブ・アレッポ、2015年4月、コバニ。これがシリアの取材で訪れた地域です。どの取材も本を書き上げる上で欠かすことができませんでした。ただ字数にも限りがあり、零れ落ちたエピソードも多数です。それらのエピソードを取り除いて、原稿に書き加えたのが、ダマスカス・アレッポでの一斉蜂起、虐殺事件、化学兵器の使用、ISISの台頭、犠牲となった日本人の方々などです。あとはちょろっと僕のことも書かせていただきました。

今のシリアの現状は複雑です。本の最初に地図と勢力関係図を書き入れましたが、勢力関係図に関しては苦労しました。ただこの勢力関係図は自作であり、他の方が見れば、また違った関係図が生まれることだろうと思います。また同じ組織でも地域によって他の組織との関係(協力してたり、敵対してたり)が異なったりします。そして月単位で勢力図にも変化が見られます。あくまで参考に見ていただければと思います。

その複雑なシリア情勢ですが、僕が初めて訪れたときは、そんな気配はありませんでした。反体制派とアサド政権。その構図が長引く内戦で変容して現在に至ります。どのようにシリアが変わっていったのか。そのことが読者の方々にうまく伝わればいいのですが。苦労しましたが、頑張って書き上げました。気軽に買えるほど値段は安くはありませんが、よろしくお願いいたします。

しばらく現地には取材に行けないですが、これからも引き続きシリアの出来事をブログを通して伝えていければと思っています。

飢えに苦しむ人々ーさらなる追加ー

http://www.middleeasteye.net/news/people-still-dying-starvation-besieged-syrian-town-despite-aid-delivery-1283601589

マダーヤではこの5日間でさらに5人の餓死者が出ました。国境なき医師団が支援する医療班からの報告では、12月から少なくとも35人が飢えにより亡くなりました。国際社会がマダーヤの惨状を非難するに及び、ロシアの国連副常駐代表Vladimir Safronkovは我々はヌスラ戦線のような過激な連中が住民を人間の盾として利用していることを懸念していると述べました。

http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/12100633/More-than-a-million-Syrians-under-siege-at-risk-of-starvation.html

包囲されている町はマダーヤだけではありません。数字の信憑性には疑問符が付きますが、シリア全土で100万人以上が飢えの恐怖にさらされています。”the use of food as a weapon of war is a war crime” 国連のパン・ギムン事務総長が明言しています。戦争犯罪。しかし、一向に兵糧攻めは止みません。 続きを読む

飢えに苦しむ人々ーさらに追加ー

マダーヤでの惨状がツイッターやフェイスブックを通して、世界に知れ渡り、状況が多少でも改善されたことは、大きな一歩だと僕は思います。すごく大きな一歩です。なぜなら、何年にも渡って、現在でも続いている惨状はマダーヤだけではありません。大半の地域が見捨てられている中でのマダーヤが救われたことは前進ではあります。果たして本当に救われたのかはまだまだ状況を見ない限り、分かりませんが。

http://www.nytimes.com/2016/01/15/world/middleeast/madaya-syria.html

Nisrineは包囲された町、マダーヤで教師をしていました。しかし、数週間前に教師を辞めざるを得ませんでした。なぜなら、学校に通えないほど子供たちが飢えに苦しみ、やせ衰えていたからです。病院では経口補水液を患者に与えるのがやっとで、雑草でスープを作り飢えを凌いでいました。 続きを読む

飢えに苦しむ人々ー追加ー

国境なき医師団からの声明です。

http://www.msf.org/article/syria-siege-and-starvation-madaya-immediate-medical-evacuations-and-medical-resupply

レバノンとの国境近くのマダーヤは2015年7月以降、アサド政権、ヒズボラによって包囲され、10月18日の食料配給を最後に、物資の供給が遮断されました。約2万人の人々が餓死の危険性があり、12月1日以降、国境なき医師団が支援している病院で23人の患者が命を落としました。

今回、アサド政権はマダーヤへの包囲網を一時的に解き、物資の搬送が許されるそうです。その際、まずは医薬品の搬入と病人の安全な場所への移送を優先させるべきだと国境なき医師団は述べています。23人の死者の内訳は、1歳以下の乳幼児が6人、60歳以上の高齢者が5人、その他の12人が5歳から16歳までの子供です。18人が男性で、5人が女性です。医薬品は底を尽き、栄養失調の子供たちに与えられるのは、糖分を含んだ医薬品のシロップくらいです。 続きを読む

飢えに苦しむ人々

民衆蜂起から武装闘争へと発展する中で、アサド政権が各地域で頻繁に行われた作戦が兵糧攻めです。補給路を断つ。互いの勢力が拮抗している地域であれば、補給路の寸断は容易ではありません。しかし、一つの大きな勢力の中にポツリと存在する敵対勢力には効果を発揮します。僕が思い浮かぶ中でも、ダマスカスのヤルムーク地区、マーダミーヤ地区、ホムスの旧市街、その他にもドゥーマなんかもそうですし、アサド政権が強い地域ではたいてい兵糧攻めは行われています。今回取り上げるのは、ダマスカス郊外の町、マダーヤです。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/war-in-syria-up-to-40000-civilians-are-starving-in-besieged-madaya-say-campaigners-a6793386.html

マダーヤは半年に渡るアサド政権の包囲網により、数百人が飢えに苦しんでいます。首謀者はアサド政権と共闘するヒズボラです。住民は飢えをしのぐため、雑草や昆虫、猫さえも口にしてきました。新年を迎えた日、活動家のNasir Ibrahim(仮名)は家族に食事を与えるために手入れたのは僅か50gのライスだけでした。 続きを読む

あけましておめでとうございます

2013年、2014年、2015年、毎年、同じ抱負を掲げていました。実現不可能な抱負であり、もちろん実現されていません。その抱負とは「今年こそ必ずドゥーマに行く」です。ドゥーマとはダマスカス郊外にある町です。2012年3月、僕はダマスカスに降り立ち、4月からの1カ月間をドゥーマで過ごしました。毎日のように戦闘が発生し、多数の死者が出る中、私はドゥーマの住民の一人として本当に心の底から「こんな世界はおかしい。なぜ誰も助けてくれないんだ」と憤りを感じました。

シリアは世間一般に知られている常識から逸脱している世界です。既にいくつかの紛争地を訪れている僕にもシリアで行われていることは飛びぬけていました。そして改めてこれが戦争なんだなあと実感しました。戦争とはこういうものなんだ。つまり、戦争だからこんな理不尽な世界も許されるんだなあと理解しました。 続きを読む