樽爆弾の脅威

アレッポに行くと、崩れ落ちた建物を至る所で目にします。樽爆弾の仕業です。アラビア語で「برميل متفجر」。その威力は甚大です。どれほど離れていたのか定かではありませんが、アレッポで投下された樽爆弾が地響きを上げて真っ青な空に向かって噴煙を巻き上げているのを目撃しました。それ以降、上空を旋回するヘリコプターの機影を見かける度に僕は不安な気持ちで眺めていたのですが、周りのムジャヒディーンは「ハロー!ハロー!」とヘリに向かって手を振っていました。マジで笑えなかった。

http://www.hrw.org/news/2015/02/24/syria-new-spate-barrel-bomb-attacks

今週の火曜日、24日にHuman Rights Watch(HRW)が樽爆弾についての詳細なレポートを公開しました。興味ある方はぜひ。少し文章が長いので、HRWの報告書に関する記事、アル・アラビヤを参考にしたいと思います。 続きを読む

ジャーナリストの素質-シリアを取材するということ-

余談です。

僕は詳しくジャーナリズムについて学んでいるわけではありません。大学はマスコミ系の学部でしたが、授業は必須科目以外は受講せず、それ以外は他学部、他学科(単位取得が容易な講義)ばかりに出席していました。なぜなら、僕の学部があまりにも退屈だったからです。

僕は決して頭が良いわけではありません。むしろ悪い方です。でもジャーナリストは頭脳明晰で状況判断に優れた人間が携わる職業です。にもかかわらず、僕がジャーナリストと名乗っていられるのは、唯一、行動力があるからだと思います。 続きを読む

民衆蜂起から内戦へ-難民の現状と課題-

ムジャヒディーン軍の死者は僕の知り合い2名を含めて、計17名。その他の別の組織にも多数の死者が出ました。今回の衝突は規模が大きなもので、ロイターでも記事になっていました。

http://www.reuters.com/article/2015/02/19/us-mideast-crisis-syria-aleppo-idUSKBN0LM0PW20150219

場所はアレッポ。少なくとも政府軍70名、反体制派勢力80名が死亡しました。アレッポからトルコに至るルートを政府軍が攻めこむことで衝突が起きました。道路は遮断され、別ルートを模索する反体制派と政府軍がさらに衝突、現在も戦闘は続き、死者の数は双方共に増える模様です。 続きを読む

ドゥーマでの虐殺-追加-

昨日、前回の取材でお世話になったムジャヒディーン軍の友人が2人、殉教しました。ムジャヒディーン軍との生活は僅か一か月、そのうち実際に従軍して前線に出掛けたのは2週間足らずです。たったの2週間ですが、死と隣り合わせの中で過ごす彼らとの生活は非常に中身が濃いものでした。特に僕は銃声の音を聞くだけで、ビクッと身体を揺らすほどの臆病者で、そんな僕のことをからかいながらも「俺たちが一緒にいるから大丈夫だ」と彼らは励ましてくれました。今も必死でアサド政府軍と戦火を交えています。

ドゥーマでの虐殺を書き記しました。日本の報道で今回のドゥーマでの市民への激しい空爆を報道してくれたメディアは皆無でしょう。なんて思っていたら、AFP、まあフランスの通信社ですが、一応、日本語でニュースになっていました。こちらになります。 続きを読む

ドゥーマでの虐殺

ドゥーマはダマスカスの中心地から車で30分ほどの距離にある大きな町です。2012年4月、僕は1ヶ月、この町で暮らしました。当時はダマスカスで唯一の反体制派、自由シリア軍が支配する町でした。毎夜、町の中心地であるジャーミア・カビール(大モスク)の広場で反政府デモが公然と行われていました。同時に政府軍、治安部隊、シャッビーハによる激しい攻撃を受け、部屋から一歩も出れない日もありました。

https://www.youtube.com/watch?v=ToagdK4e_fE

+18です。投稿した日付が2014年8月となっているので、少し古くなりますが、現在もこれと変わらない状況が続いています。アサドが「樽爆弾」を「cooking-pot」などと笑い飛ばしましたが、ミサイルや樽爆弾をドゥーマに投下させている本人の言葉とは思えません。タイトル冒頭に「مجزرة」とあります。辞書で調べると、「جزر」とあり、意味は「人参」。しかし、綴りが同じで別の意味もあります。動詞で「虐殺する」です。それに「م」が付いて、「مجزرة」は「虐殺すること」となります。 続きを読む

アサドの微笑み-追加-

BBCがアサドとの単独インタビューに成功しました。生のバッシャール・アル・アサドです。必見です。出来れば、テキスト化してほしい。リスニングだけだと聞き取れない箇所が多々あるから。

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-31327153

インタビュアーはJeremy Bowen。冒頭からアサドに鋭い突っ込みをしています。シリアは国家が破綻(failed state)しているのではないか。もちろんアサドは否定します。外部からの勢力に土地を奪われているんだ。そして我々は国土を防衛するために戦っているんだ。さらに革命当初に話を移し、平和的なデモへの対処にシリア政府の過ちはなかったか。アサドは完全に否定はしませんが、デモ参加者にも問題があった(兵士や警察官を殺害していた)と述べています。 続きを読む

写真と共に綴られる激戦地-ドゥーマ-追加-

2月7日、シリア人権監視団が発表したシリアでの死者数は210060人。210000人を超えました。民衆蜂起から内戦に突入して4年近くが経過しようとしています。

http://www.investing.com/news/world-news/syria-death-toll-now-exceeds-210,000:-rights-group-327039

反体制派勢力が35827人、アサド政府軍が45385人、外国人武装勢力(ダーイッシュ、ヌスラ戦線など)が24989人、ヒズボラ640人を含めたシーア派武装勢力が3000人、子供が10664人、女性が6783人、計126648人。その他、85000人以上の死者を計上すると、211648人。シーア派と身元不明人がざっくりとしているので、より正確な数字として少なくとも210060人とシリア人権監視団は見積もっているのでしょう。 続きを読む

アサドの微笑み

たぶん僕より今では周りの一般人の方々の方が「イスラム国」について詳しいと思います。僕は彼らに興味がありません。なぜなら絶対に彼らの取材ができないと分かっているからです。横田徹さんや常岡浩介さんの「イスラム国」滞在記には度胆を抜かれました。僕が初めて「イスラム国」の名を知ったのはある事件についての報道です。その際に書き記したブログがこちらです。http://t-sakuragi.com/?p=794

ヨルダンが報復攻撃に出ました。https://www.youtube.com/watch?v=zYQEU9y1z4I こちらの動画には「سلاح الجو الملكي الاردني – عملية الشهيد معاذ 」、「ヨルダン国王の空軍-殉教者モアズ作戦」とタイトルがされています。

イスラム国が世間の注目を浴びる中、アサド政権は無慈悲にも国民の上に爆弾を降らせています。https://www.youtube.com/watch?v=2-_sCBfL1f8 昨日、アレッポに落とされた樽爆弾の様子を撮影したものです。日常茶飯事の光景です。インディペンデントからの報告です。 続きを読む

イスラム国の人質戦略

非常に残念な結果になりました。後藤さんに関して僕が感じることは、今後のシリア情勢を追えなくなった、その一言です。シリアのことを愛しているからこそ、シリアの将来の行方が気になるところです。後藤さんに限らず、シリアで殉教した老若男女問わず命を落とした方々も、今後のシリアの行方を見守ることができません。それは本人にとっては非常に悔しいことだろうと思います。

アサドと比べればイスラム国なんてちっぽけなもんだろう。僕はこう思いますが、やはり自国民が犠牲になり、はったりなのか本気なのか分からない憎悪を日本に向けられれば気持ち良いものではありません。人質に関してのNYTimesの記事を紹介します。 続きを読む