拘束された者の末路-追加-

青島刑事の言葉が胸に響く。「事件は会議室で(以下略)」。和平会議の詳しい報道とか一切見てません。ただ足並みが乱れている反体制派と比べてアサド政権は知略に富んだ攻防を仕掛けているのではないだろうかと察します。シリアで顔に泥を塗られている国連にとっては、何かしらの成果を残したいことでしょう。ただバン・ギムンの情けない表情を見ると、些細な成果を誇大に捉えて、どや顔されかねない懸念が付きまといます。

http://www.spiegel.de/international/world/spiegel-reporting-supports-accounts-of-torture-and-execution-in-syria-a-945760.html

議題に上がるのでしょうか。それとも既に上がっているのでしょうか。罪のない人々の釈放にアサド政権は応じるのか。絶望的でしょう。前述したアサド政権による拘束者の惨殺。告発した彼は「Caesar」と仮名で報じられています。彼自身は写真撮影が仕事であり、実際の拷問や処刑場面を目撃しているわけではありませんが、彼が持参した55000枚の写真から過酷な拷問が加えられていたことが専門家の分析により明らかになりました。 続きを読む

拘束された者の末路

2011年3月の民衆による革命がシリア全土を包み込み、アサド政権は反体制派と疑わしき人物を次から次へと逮捕していきました。反体制派の支配地域が政府軍により奪還された際には、そこで暮らしていた住民(特に成人男性)を片っ端から連行していきました。反体制派狩りと称したキャンペーンがシリアでは横行しています。容疑が晴れて無事に解放されるケースは稀です。和平会議直前に暴露されたアサド政権の大罪を紹介したいと思います。

http://www.theguardian.com/world/2014/jan/20/evidence-industrial-scale-killing-syria-war-crimes

旧ユーゴ特別法廷、シエラレオネ特別法廷などで検事を務めたこともある著名な法律家3人による報告書をガーディアンとCNNが入手したことが今回の報道に繋がりました。内容は1万1千人の拘束者が殺害されているというもの。期間は2011年3月から2013年8月まで。 続きを読む

What is the Geneva II?

詳細までは分かりませんが、朗報です。ダマスカス近郊(中心地から僅か8キロ足らず)のヤルムーク地区に物資が搬入されました。ヤルムークはシリアでは最大のパレスチナ人居住区です。1957年に設立された非公式の難民キャンプですが、半世紀以上が経過し、今ではダマスカスの一つの地区として定着しています。それが・・・動画を二つほど掲載します。どちらも英訳が添えてあります。

http://www.youtube.com/watch?v=ryTVsOiOmCI

http://www.youtube.com/watch?v=-d76j9_18VY

2012年12月、反体制派がヤルムークの大半を制圧しました。政府軍は町一帯を包囲し、マーダミーヤと同じく兵糧攻めに転じました。昨年の9月から一切の物資が供給されず、この地区で暮らす住民、約18000人(人口は革命前の180000人から10分の一に激減)が飢餓の脅威に曝されていました。餓死者も多数出ています(少なくとも40人)。どの程度の食料や医薬品が市内に運び込まれたのかは定かではありませんが、悲報から朗報、後退から進展、微かな光が射し込みました。 続きを読む

責任の所在-ある若者の死-

こちらの映像を見てください。2013年12月20日の出来事です。

http://www.youtube.com/watch?v=siCCk2MbLQo

アレッポにあるal-Kindi Hospitalを政府軍から奪還するために敢行された自爆テロです。この日の戦闘で少なくとも35名の反体制派の人間が命を落としました。そして、もう一人、18歳の若さで散ったシリア人の写真家Molhem Barakatがいます。彼はロイターのストリンガーでした。ストリンガーを辞書で引くと、「非常勤地方通信員」という訳があります。契約社員みたいな扱いでしょうか。社員を現地に派遣できないため、代役として現場で仕事をこなす人間のことです。彼の仕事は、シリアの現状を伝える写真をロイターを介して配信することでした。しかし、残念ながら、最後に配信された写真は、彼の血染めのカメラでした。 続きを読む

イラクとシャームのイスラーム国-追加-

2014年1月7日、ダマスカス郊外のドゥーマが空爆された。活動家によれば、アレッポでも使用された「樽爆弾」がヘリから投下されたらしい。TIMEに空爆直後の写真が掲載されていました。この世に生を受けて僅か数ヶ月足らずの幼児までもが犠牲になっています。

http://world.time.com/2014/01/07/assad-regime-airstrike-hits-damascus-neighborhood-say-activists/

シリア、取り上げる話題は無数にあります。2週間後に控えた和平会議、化学物質の輸送と処分、増え続ける国内、国外避難民、暴力の形態も多様化しすぎて、実態が掴めない。最近ではISISの動向が注目されています。イドリブ県、アレッポ県、ラッカ県ではFSA、イスラム戦線、イスラミスト(ヌスラ戦線など)がISISと激しく陣取り合戦をしています。 続きを読む

イラクとシャームのイスラーム国

http://www.dailystar.com.lb/News/Middle-East/2014/Jan-06/243232-islamic-front-issues-strong-warning-to-isis.ashx#axzz2pbhXUviS

アレッポではISISのメンバーが医師を殺害したことから、衝突に発展しました。Islamic Front(IF)は医師を殺害した実行犯を引き渡し、裁判にかけるようにISISに求めたところ、どうやらISIS側が拒絶して、殺し合いが始まりました。さらにイドリブ県、ラッカ県、ハマー県にも戦火が広がりました。 イドリブ県ではトルコの国境付近の町ダナとアトメからISISが撤退し、代わりにヌスラ戦線とAhrar al-ShamがIFと共に現地を支配下に置いています。活動家によれば、撤退する際に戦闘はなく、彼らは重火器を全て運び出し、アレッポに進軍しているそうです。一部ISISのシリア国籍の戦闘員がヌスラ戦線に鞍替えしたとも報じられています。 続きを読む

誰のための革命か-追加-

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-25627344

ラッカ県では以前からFSAとISISのいがみ合いが続いていました。BBCで最近の動向が報じられています。ISISによる人権侵害は市民の感情を害しています。拷問、処刑、数百名に上る活動家、メディア関係者、西側諸国の人間の拘束。ISISに対抗する勢力として、世俗的な反体制派勢力と外国人勢力を含めたイスラミストの両者が存在します。ヌスラ戦線は中立的な立場を維持していると見られています。

日曜日から月曜日の朝まで続いた両者の戦闘により、ISISにより拘束されていた50名のシリア人が解放されましたが、100名を超える死者が出ています(シリア人権監視団による報告)。以上です。。。活動家からの報告だけでは情報は乏しい。正確性にも欠けるでしょう。 続きを読む

誰のための革命か

イドリブ県にハーレムという小さな町があります。トルコのハタイ県と国境を接するこの町に僕が訪れたのは2012年11月。町の中心部にある要塞に政府軍が篭城している以外はFSAが市内全域を掌握していました。数ヵ月後、この要塞も陥落し、歓喜に沸くFSAの姿が動画投稿サイトに掲載されていました。緑に囲まれた長閑な田舎町、この町を政府軍から奪還するために老若男女問わず多大な犠牲を伴いました。その後、ハーレムの戦況については特に注意を払ってきませんでしたが、新年早々、「まさか!」と目を疑いました。いつからかハーレムはFSAからISISの手に移っていました。そして、今月の4日、再びFSAの猛攻により、ISISから支配権を奪取しました。その際のISISからの置き土産がこれです。視聴は自己責任でお願いします。

http://www.youtube.com/watch?v=4iPZnjiGUhA

ISISによって人質に捕られていたFSAの処刑された遺体です。翻訳がされていないので、詳しい内容までは把握できません。ただツイッターの呟きなんかの情報によれば、30人から40人ほどが処刑されたようです。FSAの他にも市民が幾人か含まれているそうです。敵の敵は味方の関係も限界に達していることが見て取れます。アサドの粘り勝ちか。平和的デモ(2011年3月)→FSAの結成(2011年夏)→FSAに共感する市民の武装化→ダマスカス、アレッポでの一斉蜂起(2012年夏)→外国人武装勢力との共闘→化学兵器使用による軍事介入の危機(2013年8月)→漁夫の利を虎視眈々と狙うアサド政権←今ココ。こうして見ると、アサド政権の踏ん張りに今更ながら目を見張らざるを得ない。もちろんアサド単独ではここまで持ち堪えることは無理だったろうけど。裏を返せば、FSA単独ではアサド政権に太刀打ちできなかった。そこには外国人勢力と呼ばれる組織の後押しがある。余談が過ぎましたが、僕もここ数日のシリア北部の状況が呑み込めていません。

44の大罪

130433人。シリア内戦での死者数です。三分の一が一般市民とされています。シリア人権監視団が年の瀬の火曜日に発表した数字ですが、正確な数字は誰にも分かりません。その他、負傷者や国内・国外避難民、シリアの革命が引き起こした惨禍は多大な犠牲を国民に強いています。詳しい内訳はロイターの記事を参照にしてください。

http://www.reuters.com/article/2013/12/31/us-syria-crisis-toll-idUSBRE9BU0FA20131231

さて、あけましておめでとうございます。新年早々、めちゃくちゃ愚痴りたいことがあるんですが、ブログとは何の関係もない事柄なので、やめておきます。今年の抱負は、去年達成できなかった抱負を引き継ぎます。「ドゥーマに行く」です。今ではアレッポにたどり着くことすら難しい状況になってるんだけど、あくまで抱負なんで。 続きを読む