シリア北部での戦い-大連立-

昨日の朝、BBCを見てたら、国連安保理の会議の模様がずっとライブ中継されてました。化学兵器の廃棄に関する決議案が全会一致で採択されました。濡れ手で粟。順調に行われればの話ですが、欧米、イスラエル、彼らの同盟国は以前から化学兵器がアルカイダ系の武装勢力の手に落ちることを懸念していましたが、今回の決議案により払拭される可能性が出てきました。シリアの人々の命と引き換えに。何か違うって思います。優先順位が違うのだろうと。

前回のブログでラッカの戦況を書き記しましたが、どうやら北部全域がアルカイダ系と言われる外国人勢力と手を組まざるを得ない状況に立たされているようです。 続きを読む

シリア北部での戦い-ラッカ-

http://www.reuters.com/article/2013/09/20/us-syria-crisis-qaeda-idUSBRE98J0DK20130920

ロイターからの記事によれば、ラッカではFSAの2旅団がヌスラ戦線に合流したという報告がされています。一つは「the Raqqa Revolutionaries」、戦闘員750名。もう一つは「God’s Victory Brigade」、15大隊から構成された組織。ヌスラ戦線はISISとは異なり、シリアでの知名度を上げています。 続きを読む

シリア北部での戦い-アザズ-

北部、北東部、北西部、全ての地域でFSAと外国人武装勢力との戦闘が続いています。これはブログで何度も取り上げました。外国人武装勢力の問題児がISISでしょう。BBCにこの組織の簡単なプロフィールが掲載されていました。

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-24179084

“The Islamic State in Iraq and the Levant”の略称がISISです。最後のアルファベッドがSなのはLevantをSyria、またはアラビア語のal-Shamの頭文字から取られています。2013年4月に結成されました。Islamic State of Iraq(ISI)とthe al-Nusra Front(ヌスラ戦線)とが統合して生まれたアルカイダ系の武装勢力です。しかし、ISIの司令官 Abu Bakr al-Baghdadiによる公式声明をヌスラ戦線が拒絶、2ヵ月後にはアルカイダの司令官ザワヒリが統合を解消するように指令し、以後はヌスラ戦線を除いた単独のアルカイダ系組織として活動するようになります。 続きを読む

ダマスカスからの声

ああ!ダマスカスに行きたい。シャワルマ食べて、シーシャ吹かして、公園で日がな一日ボーとする。現在、ダマスカスには海外メディアがそれなりに入っています。日本のメディアも。もちろん正規のビザを取得しての入国なので、報道規制でガンジガラメにされていると思いますが。LATimesの記事を紹介したいと思います。

http://www.latimes.com/world/la-fg-syria-damascus-20130917,0,7553800.story

ドスンと重い音が鳴り響いても、ダマスカスの中心部で暮らす住民に動揺は見られない。砲弾は中心部(体制派支配地域)から郊外(反体制派支配地域)へと軌道を描いて飛んでいく。着弾する爆音を耳にするだけで、郊外が実際どうなっているのかは誰にも分からない。 続きを読む

引き続き外国人勢力について

僕のことで少し補足です。マオイストに殺されかけた理由は「スパイ」容疑です。引き金が引かれなかったのは、案内役の村人の助けによるものです。最終的に容疑が晴れて、所持品も所持金も無傷で返却されました。

外国人勢力について書き記したいと思いますが、果たして彼らのことを「外国人勢力」と呼んでいいのだろうかと悩んでいます。「アルカイダ系武装勢力」、「イスラム原理主義勢力」、「イスラミスト」、「ジハーディスト」、どれが最も適している呼称なのか僕には判断がつきません。とりあえず、「外国人武装勢力」で統一していきたいと思います。ただし、シリア人の中にもFSAから脱退して、外国人部隊に加わるケースがいくらでもあります。100パーセント外国人で組織されている部隊ではないことを付け加えさせていただきます。また「反体制派勢力」の呼び名をFSAで統一します。こちらも部隊名をいちいち並び立てるのも面倒なので。 続きを読む

処刑されるという事について

以前にブログで「死にかけた」体験談を語らせていただきました。今回は本題に入る前に「殺されかけた」体験談を少し語らせていただければと思います。カシミール、アフガニスタン、パキスタン、シリアに足を運んで、殺されかけたのはたったの一度だけです。場所はインドですが、カシミールではありません。西ベンガル州の州都カルカッタから約120キロ離れた小さな町ミドナプル。ここでマオイストの自警団に処刑されかけました。

マオイストについての説明は省きます。「インド軍の掃討作戦でマオイストが一名殺された」。地元の新聞社から連絡を受けた僕は地元記者と共に現場に急行しました。しかし、現場とされた場所に入るには村人の許可が必要であり、1時間ほど待たされました。ようやく許可が下り、村人の先導に従って僕はぬかるんだあぜ道を歩き始めました。15分ほど経過した頃、バイクにまたがった2人組みの若者がこちらに近づいてくるのが見えました。5、6人の記者と写真家がいましたが、彼らは私の姿を見つけると、突如怒鳴り声を上げました。彼ら2人は私の所持品であるカメラバッグ、パスポート、現金(3000ドル)を奪い取り、記者からは「抵抗するな。とにかく動くな」と忠告され、黙って従いました。 続きを読む

修復し難い両者の関係-FSAvsISIS-

自由シリア軍(FSA)の地盤が揺るぎ始めている。シリア北西部、FSAの生き残りがトルコとの国境沿いの町で息を潜めている。彼らの指揮官はアルカイダと繋がりがある別の反体制派勢力によって殺され、首を切り落とされた。アサド政権を共通の敵として互いに手を取り合う関係は終わりを告げた。直近の課題はアルカイダ勢力からどう身を守るかだ。

新しい指揮官に選任されたWalid Shawkanは状況の深刻さを語る。ダナの町で事件は起きた。武器の配分を巡り、「the Islamic State of Iraq and Syria(ISIS)」と彼らの部隊「the Hamza Lion of God」との間に対立が起きた。ISISは武器を奪い取ると、彼らを背教者であると批難し、攻撃を開始した。Shawkanは言う。「奴らは政府軍と戦うために来たんじゃない。俺たちと戦うために来たんだ。我々は政府軍と戦う前にまずはISISを叩く」。 続きを読む

解放されたイタリア人記者

先週の日曜日、イタリア人の記者ドメニコ・クイリコ(62)がベルギー人の教授と共に解放されました。金に目がくらんだ人間による犯行によるものとされています。クイリコ記者は4月6日にレバノンからシリアに密入国し、その4日後にクサイル近辺で消息が途絶えました。彼は「自由シリア軍に裏切られた」と語っています。彼は何ヶ月にも渡り、武装勢力から他の武装勢力へとたらい回しにされました。

誘拐犯は自らを「イスラミスト」だと公言していましたが、実際のところは分からないそうです。革命の下に聖戦に加わった若者の中には「狂信者」と「盗賊団」の境目をうろちょろしている連中がたむろしています。革命と称しながらも、支配地域を奪取しては、そこで暮らす人々を誘拐して身代金を要求し、懐を潤しているというわけです。 続きを読む

Human Rights Watchによる調査結果

http://www.hrw.org/news/2013/09/10/syria-government-likely-culprit-chemical-attack

HRWは政府軍が化学兵器を使用したと断定しています。

http://www.hrw.org/node/118725/

こちらから詳細なレポートをダウンロードできます。

化学兵器が使用された地域は2ヶ所。東グータと西グータ。東グータ地域はザマルカ地区とアインテルマ地区、西グータ地域はマードミーヤ地区。使われた兵器の残骸を調査したところ、これらの兵器は政府側しか所持していないことが判明しました。東グータには330ミリロケット弾、西グータでは旧ソ連製140ミリロケット弾。弾頭の先が筒状になっており、化学兵器(サリン、VXガス)を搭載できるように設計されている。

一方で、HRWのスタッフが現地に足を運べるような状況ではなく、化学兵器が使用された物的証拠を採集することは困難である。しかし、現地から送られてくるビデオの検証、医師によって提供された被害者の症状や被害者本人、活動家からの声を拾うことで、調査に加わった専門家も含めてHRWは政府側の使用であると判断した。

化学兵器が使用されたことは揺るぎない事実であり、軍事介入に積極的な国々はアサド政権側の犯行であることを明言しています。今後の化学兵器の取り扱いについてアサド政権が譲歩の姿勢を示し、その議題が安保理で討議される。それが軍事介入の賛否に影響を与えてはいけないと思います。なぜ軍事介入が行われるか。「RedLine」を超えたからです。化学兵器で多くの一般市民が殺害されたからです。そのための軍事介入案です。複雑な事情もありますが、このままやり過ごせば、まさに悲劇から生まれた喜劇です。各々の国々に台本でも用意されているのだろうか。

アレッポからの声

アメリカがアサド政権に対する軍事介入に踏み切るか否か、緊迫した状況下で、焦燥感を募らせているのが北部を拠点に活動をしている外国人勢力である。アサドを標的と定めつつも、アメリカはアルカイダと繋がりがあると思われる外部から聖戦を掲げて戦うジハーディスト達に厳しい目を向けている。既に外国人勢力の幾人かは重火気を隠し、避難先を確保し、農村や工業地帯に身を移しつつある。軍事介入を怖れてのことである。

「我々はイラク戦争から学んだことがある」。the Islamic state of Iraq and Syria(ISIS)に所属するAbu Ismailは答える。「イラクでの戦争は我々をより強き戦士へと育て上げた」。

一方で自由シリア軍(FSA)を主体とする反体制派勢力はアメリカの軍事介入に歓迎の声を上げる。何かしらのアメリカからの介入が膠着したシリア情勢を打開するのではないかと期待を寄せているのである。FSAと外国人勢力との意見の食い違いはシリア情勢をより深い沼地へと引きずり込んだ。既に敵の敵は味方であるという論理は昨今のシリアでは成り立たない状況に陥っている。 続きを読む