What is to be done?

6月も今日で終わりか。来月、政府側と反政府側との話し合い「ジュネーブ2」は開催されるのだろうか。最近は、レバノン、第二の都市トリポリ、第三の都市シドン、宗派間抗争が激しさを増しています。シドンには足を運んだことはありませんが、トリポリには滞在したことがあります。旧市街の迷路のように入り組んだスークがダマスカスを彷彿とさせ、懐かしみを覚えました。でもレバノンの話題はとりあえず隅の方に置いておいて、シリアに移ります。

http://www.crisisgroup.org/en/regions/middle-east-north-africa/egypt-syria-lebanon/syria/143-syrias-metastasising-conflicts.aspx?utm_source=wu28june13&utm_medium=syria-report&utm_campaign=wuemail

International Crisis Group(ICG)からのシリアに関するレポート。冒頭でシリアでの血なまぐさい紛争(horrendous war)を解決するための4つの選択肢が提示されています。一つ目はリビアのような西欧による軍事介入により反政府軍の勢力図を拡大させること。二つ目は政府軍の勝利を受け入れ治安を改善させること。三つ目がアメリカとロシアの外交的解決策を模索すること。四つ目が政府側と反政府側、双方に海外勢が与して、シリア人を将棋の駒のようにして戦わせること。つまり代理戦争。既にその兆候は現時点で見え隠れしていますが。

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外国からの贈り物

「Syrian rebels claim delivery of new weapons」

こんなタイトルの記事がアルジャジーラにありました。えっ、何?すっごいの手に入ったの?G8では反体制派への武器供与に関して、欧米とロシアとの主張がかみ合わず、もの別れに終わり、しばらくは膠着状態が続くのかなあ~なんて思っていた矢先に、この見出し。水面下では着々と武器支援の工程表が出来上がっていたのかと思い、ワクワクしながら記事に目を通しました。

http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2013/06/201362113326945851.html

この情報をもたらしたのは、自由シリア軍の広報官であるLouay Muqdad氏である。彼によれば、同盟国から「新たなタイプの武器を受け取った」と述べ、その他にも「既に前線に送り届けている最中である」、「(この武器によって)戦況は大きく変わるだろう」、「さらに近々、追加のブツが届く予定である」、と意味深な発言をしている。ブツが何なのか。ブツはどこから送られてくるのかは明言を避けている。さらにワシントン発行の新聞「THE HILL」でも同様の記事が配信されていた。 続きを読む

ハトラでの虐殺

虐殺を行っているのは政府側だけではない。長期化する内戦により国土が疲弊し、人心は荒廃している。体制派vs反体制派という構図は、アラウィ派(シーア派)vsスンニ派という誤った方向へと置き換えられている。6月11日、デリゾール県の村、ハトラで虐殺が起きた。

ハトラで殺戮された村人は60名以上にのぼる。政府側によれば、大半が一般市民であり、武装勢力は少数だったと報じている。それに反して、シリア人権監視団は大半が武装勢力であり、戦闘に巻き込まれた一般市民が少数いると政府側との見解に相違が見られた。動画も出回っている。市民記者と思われる人物が撮影した映像には、焼失した家屋や「シーア派の家々に火を放て!」と命じる反体制派の声が入り込んでいる。その他にも「シーア派は駆逐されるだろう。ここはスンニ派のエリアだ。お前たちに入り込む余地はない」と声高に叫ぶ男の姿も見受けられる。

虐殺の発端となった事件がある。デリゾールの市民記者の話によれば、6月10日にハトラを拠点とするシーア派武装勢力が反体制派に奇襲をかけて、4人を殺害した。その報復としてハトラが狙われたようである。シーア派の住民およそ150名がハトラから政府軍の支配地域であるジャフラに逃げ込んだ。ハトラは1年以上も反体制派の支配下に置かれていたが、シーア派の住民が密かに武器を隠し持ち、今回の衝突へと発展した。

犯行に及んだ組織は反体制派側のヌスラ戦線とされる。スンニ派で構成され、世俗的な自由シリア軍とは対照的に、イスラムに対する厳格な姿勢を貫いている外国人武装勢力である。クサイルが政府軍とヒズボラの結託により陥落したことで、宗派間の争いはシリア全土に広がりつつある。また自由シリア軍が決起した去年の夏ごろから既に身を守るために武装する村人がちらほらと現れ始めた。スンニ派の地域に、またはシーア派の地域に、ポツポツと点在する他宗派、他宗教の村々である。彼らを体制派、反体制派で色分けして、根絶やしにしようとする勢力はシリアには存在する。しかし、家族を、子供を、友人を、恋人を、自分自身を守るために武装している村人を「敵」だと判断して殺戮するのは・・・まさに「虐殺」です。

今回のハトラでの虐殺、詳しい報道にはまだ接していません。60人以上が殺害されていますが、バニアスの400人から1000人と推定される死者数とは規模が違います。その分、報道が少ないのかと言えば、たぶん本質はそこではないと思います。つまり、反体制派が報じる情報量が体制派と比べて圧倒的に勝るという点だと思います。僕自身もフォローしている多くが反体制派の人間ばかりです。これでいいのかと考えています。国営放送なんてガン無視していますが、、、彼らも命がけの報道を行っているのは事実です。混沌とするシリア情勢、流れてくる情報を精査するのも難しいものです。

参考サイト

http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/10117153/Syrian-rebels-accused-of-sectarian-massacre.html

http://www.thenational.ae/news/world/middle-east/syrian-rebels-target-shiites-in-village-massacre

暗躍する大国-イラン-

ここ数日で、シリア情勢を巡る攻防が一段と激しさを増しています。地上戦は相変わらずですが、反体制派への武器援助を巡る意見の対立も表面化しています。アメリカが今になって化学兵器使用による「RedLine」を持ち出して、反体制派への武器の供与に動き出しました。昨日はキャメロン首相とプーチン大統領との会談がありましたが、物別れに終わったようです。アメリカの武器援助。きな臭いなあ。ヒズボラがクサイルを陥落して、アレッポにまで触手を伸ばし始めた。ヨルダンにもアメリカの海兵隊やら戦闘機やらパトリオットやら・・・飛行禁止区域の設定なんて話も出始めてるし、イスラエルが怪しい、裏で糸引いてる気がする。という陰謀論的な話をできるほど僕は中東の情報通ではないので、イランに関する記事を今回は紹介します。

イラン大統領選挙、保守穏健派とされているロウハニ氏が過半数を獲得して大統領に選ばれました。今後のイランの動きは気になりますが、シリアとの関係性はどうなるのだろうか。 続きを読む

暗躍する大国-ロシア-

大国同士の足並みが揃わない。長期化するシリアの内戦を簡単に捉えると、アサド政権側にはロシアと中国、反体制派側にはイギリス、フランス、アメリカが味方?に付いています。中でもロシアのアサド政権に対する執着心は異常です。ストーカーです。気持ち悪いです。しかし、なぜロシアがこれほど積極的にアサド政権を支持しているのでしょうか。

http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/MID-01-100613.html

シリアにどっぷりと浸かる前、僕はパキスタンの情勢を追いかけていました。「Asia Times」のパキスタン、アフガニスタン関連の記事はずば抜けたものがあり、よく目を通していました。それとは別に「Long War Journal」なんかもタリバン関連には非常に強いメディアです。まあ、それはいいとして、その「Asia Times」からの引用になります。 続きを読む

クサイル陥落-追加-

政府軍とヒズボラによるクサイル奪還は反体制派にとって大きな打撃でしょう。反体制派はシリア全土で決起していますが、常に悩まされているのが武器の不足です。武器の密輸ルートとして考えられるのがヨルダン、トルコ、そしてレバノンになりますが、ヨルダン経由ならダッラー県、トルコ経由ならイドリブ県、アレッポ県、ラッカ県、レバノン経由はホムス県と区分されているように思われます。レバノン経由であるクサイルが潰されたことで、ホムス県を拠点としている反体制派勢力は一気に弱体化すると予測されます。それに比べて、政府軍はクサイルを奪還したことで、ヒズボラとの連携がより強固になった上に、ロシアやイランからの武器の支援も受けています。 続きを読む

クサイル陥落

政府軍が優勢なのは分かっていたけど、3週間足らずでクサイルが政府側の手に渡るとは。いや・・・3週間も持ちこたえたと言うべきなのだろうか。レバノンからクサイル経由でシリアに入国していた記者や写真家が多数いたけど、政府軍の手に落ちた以上、それも事実上不可能となる。これから先、政府軍と共闘したヒズボラがシリアの内戦にどこまで深入りしていくのかが、シリアの行方を大きく左右すると思う。既にアレッポには千人単位でヒズボラが集結しているという情報もあるし。

クサイルが制圧されたのが、水曜日の朝。前日に自由シリア軍が「町の50パーセントが政府側の手に渡った」と答えていたが、その時点で既に勝敗は決まっていたのだろう。自由シリア軍は市内からの撤退を決断し、クサイル郊外の村々を拠点に再びクサイルを奪還する腹積もりらしい。しかし、今回の戦闘で自由シリア軍を悩ませたのがモノ不足である。武器、弾薬、食料、医薬品、そして人員である。これまでのようにレバノンからクサイルを通じて流れていた人や物の流れが、クサイル自体が戦火に包まれ、補給ルートが完全に遮断された。逆ルートという発想もある。レバノンが駄目なら、シリア側からクサイルに人員や物資を送り込むという手段。しかし、これは不可能である。ホムス県唯一の反体制派地域がクサイルであり、周辺の都市は政府軍が守りを固めている。まさに陸の孤島。密輸ルートを確保しながら、クサイルから脱出するのが精一杯というのが実状だった。それでも、補給ルートが潰された状態で、3週間の踏ん張りはクサイルが地理的にも重要な都市だったからである。 続きを読む

シリアでの死者数の詳細データ

動画を一つ紹介します。

http://www.youtube.com/watch?v=foaQ5RdoY5Y&feature=youtu.be

これまで何度かブログでも取り上げたダマスカス近郊のジョーバル地区での出来事です。英訳が表示されていますが、一応、簡単な説明を付け加えます。政府軍の兵士が女性を拉致し、暴行を加えた上で、半裸の状態で銃弾飛び交う国道のど真ん中に放置。政府側の仕掛けたワナであることを承知の上で、果敢にも自由シリア軍の兵士が彼女に駆け寄る。しかし、彼女に近づいた途端に銃声が鳴り響く。それでも彼は諦めず彼女を抱きかかえるが、途中で銃弾を浴びて殉教した。彼女もしばらくしてその場で亡くなり、彼の他3名が同じように命を落とした。 続きを読む

クサイル攻防戦-追加-

5月19日から始まった政府軍と自由シリア軍との攻防戦が3週目に突入しました。ヒズボラの支援と圧倒的な火力を有する政府軍は徐々に自由シリア軍が築いた包囲網を侵食しています。懸念されるのがクサイル市内に取り残されている一般市民です。

今回の戦闘により、1500人ほどの負傷者がクサイルの医療施設で治療を受けています。クサイルの病院は真っ先に政府軍の標的にされ、負傷者は簡易 型の小さなクリニックに収容されています。数少ない医師と看護師による応急処置で辛うじて一命を取り留めている患者は少なくありません。どれだけ優秀な医 師でも治療するためには医薬品が必要です。しかし、クサイルの供給ルートは政府軍により完全に遮断されています。医薬品に限らず、日用品、食料すらも滞 り、インフラが破壊されているため、電気や水道の供給も脆弱です。

赤十字がシリアのアサド政権に、クサイルに取り残されている一般市民への救援物資の支援を申し入れていますが、外相のワリード・モアッレム(Walid Moallem)は「作戦が終了するまでは立ち入りを禁じる」と赤十字の提案を拒絶しています。

クサイルでは廃墟と化した家々の一部を改築して50軒ほどのクリニックを設置しています。それでも増え続ける負傷者に対応できるほどの人員も物資も ありません。今月スイスで開催予定のジュネーブⅡ。アサド政権の代表団が出席するはずですが、反体制派のシリア国民評議会は内部分裂が起きている上に、彼 らが申し入れている「ヒズボラのシリアからの撤退」と「アサド大統領の退陣」の条件を現政権が受け入れることは100パーセントありません。つまり、現時 点で会議が決裂することは目に見えています。対話で解決できるほどシリアの情勢は楽観的じゃない。誰の目から見ても明らかなはずなんだけど。

赤十字のアラブ版「赤新月(arab red crescent)」がシリア国内で活動しています。政府の監視下にあることはもちろんですが、決して政権側の人々だけに手を差し伸べるわけではありませ ん。バニアスの虐殺の際にも、赤新月は現地入りして、遺体の処理や負傷者の手当てを行っています。中立的に活動をしている国際医療団体です。反体制派が牛 耳っている町にも潜り込み、そこで暮らす人々の診療や物資の供給を行っています。そのため政府軍に拘束される職員も少なくありません。それでも彼らはシリ ア国内、ダマスカスを含めた危険な地域での活動を積極的に行っています。

“You save one soul, you see the smile of one child, it gives you power for months,”

命に貴賎はありません。体制派だろうと反体制派だろうと、彼らの仕事は命を救うことです。アレッポのダル・シファ病院での取材中、政府側の民兵 (シャッビーハ)が3名運び込まれてきました。頭や手足から血を流した瀕死の彼らを医師は当たり前のように治療を施していました。その様子を見て、思わず 涙が溢れ出た。でも、その1ヵ月後にダル・シファ病院は空爆され、その際に医師が1名と看護師が数人、犠牲になった。

参考サイト

http://www.reuters.com/article/2013/06/03/us-syria-crisis-icrc-idUSBRE9520MG20130603?feedType=RSS&feedName=worldNews

http://www.dailystar.com.lb/News/Middle-East/2013/Jun-03/219302-battle-for-qusair-enters-third-week-civilians-remain-trapped.ashx#axzz2V8l8ztBU

http://www.nytimes.com/2013/06/03/world/middleeast/syrian-red-crescent-volunteers-sidestep-a-battle.html?pagewanted=1&_r=0&ref=middleeast

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政治的解決の行方

シリア関連のニュースを処理していますが、終わりが見えない。周辺国の情勢の分析なんて出来そうにありません。2日前からトルコの春!?が勃発している。アサドがほくそ笑んでいるのが目に見えるようです。クサイルの戦況は逼迫しており、一進一退の攻防が続いているようですが、政府軍が優勢を保っていることに変わりはありません。

終わりの見えない内戦に終止符を打つべく開催されるはずの平和会議に暗雲が漂っています。先週の月曜日、EUが武器禁輸の解除を決定しました。これにより反体制派への武器の提供は事実上可能となりました。ただし、実際に行われるかどうか不透明です。この決定に真っ先に異を唱えたのがロシアです。戦闘機や対空ミサイルをアサド政権に供与する。この脅し文句に反体制派の武装化に積極的なイギリスやフランスは二の足を踏みました。

ロシアが提供すると見られる対空ミサイルは「S-300」。空域を侵害する目標物にミサイルを撃ち込み撃破する。飛行禁止区域を設けて空爆を行うリビア型の戦闘形態は、S-300が仮に配備されれば厳しくなるのは必至です。既にシリアを空爆しているイスラエルも神経を尖らせている懸念事項です。イスラエルの国防相のMoshe Yaalonはこう述べています。

“The deliveries have not taken place, and I hope they do not. But if, by misfortune, they arrive in Syria, we will know what to do,”

背筋が凍りつくような発言。ヒズボラが本格的にシリアの内戦に関与し、アサド政権と共闘していることが明白となっている今、隣国イスラエルは半端ない苛立ちを胸中に抱えていると思われます。それに輪を掛けるかのようなロシアの態度にイスラエルは怒り心頭といったところでしょう。

大国同士の駆け引きは僕は苦手です。実際にメディアで報道されるのは上辺だけで、奥深いところに彼らの利害の絡んだ思惑が渦巻いていることだと思います。特にシリアは取り巻く環境が非常に複雑です。とても僕には付いていけそうにないです。未来の不確定な要素をアレコレと思案するより、過去の既に起きてしまった事実を検証する方がまだ楽です。

シリア、第二の都市アレッポにヒズボラが2000人ほど戦闘に加わっているみたいです。クサイルが陥落した暁にはヒズボラは勢力を拡大して、自国の民であるレバノンのシーア派住民の保護だけでなく、シリア国内のシーア派、アラウィ派の住民にも手を差し伸べようと目論んでいるようです。イランの革命防衛隊もそうですが、イラクのシーア派の部隊もダマスカスに集結している情報もあり、どこまでが事実なのか判断に迷います。

ああ、早く出たい。出る予定は一切ありませんが。取材費云々お金の問題よりも、死にたくないからです。今のシリアを取材している記者の方々には敬意を払うしかない。シリアの情報をこうして毎日のように見られるのも、命がけの取材に徹している記者や写真家がいるからです。いつになったら、終わるのだろうか。終わったら、僕も行こうかな。

参考サイト

http://www.washingtonpost.com/world/middle_east/hezbollah-boosting-assads-forces-in-northern-syria/2013/06/02/3bb59c7e-cb9e-11e2-8f6b-67f40e176f03_story.html

http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-syria-international-20130529,0,5432680.story