バニアス虐殺、化学兵器-追加-

さて今日もせっせとシリアのニュースを漁ります。日本にいる限り、ニュースを読み解くぐらいしか僕にはできないから。少しずつアクセス数も増えてきているので、時間があるときはできる限り、ブログを更新できたらなあと思っています。シリアに興味を持っている人がいるだけでもうれしい。もっと日本のメディアの人たちはシリアを取材してほしい。ただ僕は同業者同士の繋がりがほとんどないから、案外、いろんな記者やカメラマンがシリアを取材してるのかも。

以前にバニアスでの虐殺について触れました。詳細は過去のブログを参照にしてください。最近、しばらく報道を見かけなかったのですが、BBCが昨日、この虐殺に関する記事を掲載してました。反体制派の市民記者が今回の虐殺の全容を明らかにするため、生存者から聞き取り調査をしています。BBCも生存者の女性から証言を取っています。 続きを読む

化学兵器-追加-

レバノンの首都ベイルート郊外にロケット弾が着弾しました。まあ、それは日本のニュースでも報じられているので、別にいいとして。ちなみに首都ベイルートからバスで僅か2時間ほどの距離にある都市トリポリ。こちらは既に宗派間抗争が激化しており、スンニ派とアラウィ派が互いにバチバチと火花を散らしています。3日前にトリポリの知り合いから、市内にはレバノン軍の装甲車が隊列を成して走行し、夜間から明け方にかけて銃声が止まないそうです。

来月、国連主催でロシアとアメリカが牽引した体制派と反体制派との話し合いが開催される予定です。まったく無意味だと思いますが、それより、「化学兵器使用」に関する問題はどうしたのだろうかと疑問に思います。白か黒かはっきりしていない状態のまま放置されています。オバマが力強くお立ち台の上で「RedLine」と明言した化学兵器の問題はどうなったのだろうか。まるで臭い物に蓋をするかのように、気がつけば、「政治的解決」を目指した会議が組まれている。首を傾げざるを得ません。大国の思惑には僕はついていけない。 続きを読む

クサイル攻防戦-追加-

「Hezbollah leader Nasrallah vows victory in Syria」

昨日、体制派がクサイルを絨毯爆撃しました。三方面からクサイルを包囲し、迫撃砲と空爆で市内各所を蹂躙しました。政府軍を支援しているのはヒズボラで、正確な数は発表されていませんが、既に数十人を越える死者がヒズボラ側に出ているそうです。彼らの遺体はクサイルから国境を越えて、レバノンに運ばれ、市民により盛大な葬儀が行われています。ヒズボラの関与は指導者であるナスラッラーが公式に認め、クサイルでの戦闘での敗北は今後のヒズボラの命運を大きく左右することになるでしょう。そのため、さらなる戦闘員がクサイルに送り込まれることは確実です。 続きを読む

クサイル攻防戦

先日、アブ・サッカルの話をしました。彼の蛮行は多くの非難を浴びました。彼自身はその後のインタビューで、「法の裁きを受ける覚悟はある。ただし、アサドと彼に従うシャッビーハも同じような裁きを受けなければならない」、「このままシリアで流血が続ければ、私のような人間はいくらでも現れるだろう」と述べています。その彼の部隊が展開している場所がホムス県のクサイルという町です。3日ほど前からクサイルでは双方による陣地の奪い合いが続いています。

双方とは体制派と反体制派です。体制派は政府軍とシャッビーハ、反体制派は自由シリア軍。それとクサイルでは体制派を後押しする強力な部隊も加わっています。ヒズボラです。ヒズボラがシリアの内戦に関与していることは以前から報道されてきましたが、小規模なものでした。しかし、クサイルが自由シリア軍の手に落ちて以降、シリア、レバノン領内のシーア派の村に迫撃砲が着弾するようになりました。死傷者も出る事態に危機感を募らせたヒズボラは(イスラエルの空爆にも神経を尖らせていたこともあり)盟友であるアサド政権を徹底的に支持することを誓います。それが先月のヒズボラ指導者のナスラッラーの演説になります。そして彼の演説は今回のクサイル攻防戦へと繋がります。クサイルを自由シリア軍から奪還すれば、少なくとも国境沿いのシーア派の村が攻撃にさらされる心配はなくなります。同時にクサイルは首都ダマスカスとアラウィ派が拠点とする地中海沿いの地域一帯を結ぶ重要な町です。ここを潰せば、反体制派への物資の補給や人員の補充を厳しくなり、政府側にとっても今後の戦況を有利に運べるようになるのは確実です。両者の思惑が合致し、クサイルは火の海に包まれました。 続きを読む

バニアスでの虐殺-追加-

先日、バニアスでの虐殺を取り上げました。宗派間の争いが激化している中で、ある映像が数日前に動画サイトに投稿されました。カニバリズム。そう呼んでいいのか分かりませんが、ホムス県のレバノンとの国境の町、クサイルでFSAの指揮官が政府軍の遺体から心臓と肝臓をほじくり出して、口にしました。実際に食したのかは定かではありませんが、単なるパフォーマンスにしては常軌を逸している行為であると、反体制派側からも批判の声が上がっています。

指揮官の名前はアブ・サッカル(ハリード・アル=ハマド)。彼が所属していた部隊がシリアの反体制派の主力であるファルーク旅団。しかし、去年の10月に除隊し、別の組織を彼自身が立ち上げた。オマル・アル=ファルーク旅団。彼の部隊は宗派間抗争が入り乱れるクサイルを拠点に戦果を上げた。レバノンとの国境沿いの町クサイルは武器の中継地としても反体制派として手放せない地域。政府側にとっても地中海に繋がるこのルートはアラウィ派の支持基盤を固める重要な砦になり、レバノンのヒズボラはシーア派の村々が点在するため、反体制派の進撃は食い止める必要がある。アブ・サッカルは宗派間抗争に積極的に関与しているとされる。映像からも彼のアラウィ派への憎悪が読み取れ、彼自身、レバノンのシーア派の村に迫撃砲を撃ち込んでいる。今回の映像から反体制派側である自由シリア軍、反体制派国民連合はすぐさま非難声明を出した。しかし、人肉を食らうほどの憎悪とはどのようなものなのだろうか。 続きを読む

バニアスでの虐殺

このブログでも書き記したバニアスでの虐殺、その詳細が明らかになりつつあります。ただし、第三者の目が行き届かない地域であり、客観的な視点で今回の虐殺を語ることはできません。それでも、大虐殺が起きたことは事実ですし、現時点で報告されているレポートから何が起きたのかを語ることは決して無駄ではないと思います。

政府軍と自由シリア軍との戦闘が今回の虐殺の発端となりました。バニアス郊外の村、バイダで政府軍、シャッビーハを乗せたバスが自由シリア軍に襲撃されました。死者は少なくとも7名、負傷者は30名を超えたと市民記者は報告しています。5月2日、政府軍による報復が始まります。5月4日までの3日間で死者は400名、行方不明者は300名を数えました。近郊のラス・アル=ナバにも戦火は広がり、700名が殺害されました。 続きを読む

混迷するシリア情勢

数日前にシリアとの国境に近い町、ハタイ県に属するレイハンリで車爆弾が炸裂しました。市内の市民ホールと郵便局前で2度の爆発。死者は46名、負傷者は100名を越えます。僕は去年の11月、レイハンリからシリアのイドリブ県に入国しました。国境は鉄条網で覆われていますが、完全なザルです。検問に向かうと、トルコ兵が「ここは閉鎖中だから、入国は出来ない」と僕とフィクサーに告げました。「ただ、あそこからなら入れるけどな・・・」と指差した方向には鉄条網が捻じ曲げられて、ポッカリと穴が空いている。当時はそんな感じでした。ただ今回のテロを受けて、現在はレイハンリから容易くシリアに入国できるかは不明です。レイハンリ自体、シリアのような雰囲気です。イドリブやアレッポから逃れてきた難民、これから聖戦に向かう自由シリア軍、彼らを後方支援する医師や商人、そして彼らを快く思わない現地人。テロの実行犯が誰なのか、容易な判断は下せません。今のシリア、周辺諸国を巻き込み、様々な思惑が国家から個人に至るまで蠢いています。ちなみに、レイハンリに行きたい!ここからシリア入りしたい!そんな無謀な方のために、安価な交通手段を書き記します。イスタンブールから長距離バスでアンタキヤまで向かう。アンタキヤからミニバスでレイハンリ。以上です。

CNNが分かり易くシリアの情勢を説明していました。タイトルは「5 reasons Syria’s war suddenly looks more dangerous」と題された記事です。冒頭部分でシリアの状況をソマリアに例えています。ソマリアと言えば、「無政府国家」の代名詞のような存在。そのソマリアを押し退けて、今のシリアは「無政府国家」の頂点に君臨しています。 続きを読む

シャッビーハ

2012年4月25日。ダマスカス郊外のドゥーマが政府軍の手に落ちた。自由シリア軍が「戦略的撤退」を行ったこの日、市内にはシャッビーハが銃を撃ち鳴らして、雄たけびを上げていた。民家の薄暗い一室には若者6人と日本人である僕がいた。声を押し殺して、誰もが恐怖に怯えていた。民家の主は大量の札束を両手に抱えて、階上に消えていった。シャッビーハの略奪を怖れていたのである。しばらくすると、不気味なほどの静けさが訪れた。民家からそっと顔を覗かせると、人影がまったく見当たらない。若者の1人が合図をする。「大丈夫だ」。小走りで路地を駆け抜ける。すると、先頭を歩いていた若者が声を上げた。「シャッビーハだ!」。どの民家も鍵が掛けられて、逃げ場がない。7人は蜘蛛の子を散らして、離れ離れになった。

シャッビーハとは何者なのか。Wikipediaによれば、シャッビーハとはアラビア語で「亡霊、幽霊」という意味がある。また1970年代、80年代に密輸に使用されていたベンツS600をシリアでは通称シャッビーハと呼ばれていた。彼らは軍服は着用せず、私服に銃を携帯している。アサド家の熱烈な支持者で大半がアラウィ派で構成されている。貧しい者や失業者に金をばら撒き、雇用しているケースもある。 続きを読む

今後のシリアの行方

シリア情勢を眺めていると、中東がどれほど複雑な地域なのかを痛感させられます。もちろんこれまで訪れた紛争地にも複雑な要素は絡み合っています。宗教、領土、民族、貧富、互いの利害関係も含めて、決して譲歩することができない部分が火種となって、紛争へと発展しています。シリアもそれは変わりませんが、規模がでかすぎて、ついていけない僕がいます。そもそも中東に関心を寄せたのも、シリア取材以降なんで、まだ1年足らずだし。ということで、中東専門家の方々にはこのブログは幼稚だったり、事実関係と異なっていたり、鼻で笑われる部分もあるとは思いますが、誤りがないようにあくまで主観は出来る限り控えて、海外の記事の引用を中心に更新していくように心掛けています。あとシリアに無関心な方に少しでも興味を抱いてもらえればと願っています。

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首都ダマスカスを空爆

バニアスでの虐殺に関する記事を探そうとしても、目新しいものが見つからない。先ほど確認したバニアスでの新たな映像には大量の遺体と共に政府軍が村内を闊歩していました。撮影者は政府軍の兵士だと思われます。まだまだ殺戮は続いていると想像していますが、昨日のイスラエルの空爆が全てを吹き飛ばしました。カシオン山の軍事施設をイスラエルが空爆し、火薬類に引火したのか、巨大な火の玉がダマスカスの夜空を真っ赤に照らし出しました。

http://www.youtube.com/watch?v=f_j8ID-m1pU&feature=youtu.be

シリアの真下に位置するイスラエルは革命当初から沈黙を守り続けていた。無関心でいられるはずもなく、黙って静観していたのだろう。しかし、シリアのアサド政権とレバノンのヒズボラとの連携が、長期化する内戦の中で、徐々に緊密性を帯び、中東の目の上のタン瘤、イスラエルを突き動かした。

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