化学兵器使用による世論の反応

昨日、首都ダマスカスのメッゼ地区でハラキ(Wael Nader Al-Halqi)首相を標的としたテロが発生した。自爆テロなのか自動車爆弾なのか即席地雷なのか、手法は定かではないが、ハラキ首相の護衛を含む数人が死亡した。首相自身は無傷であり、その後に開かれた経済会議に出席、インタビューに答える姿が放映されている。

昨年の8月、アサド政権から離反し、ヨルダンに逃れたヒジャブ(Riyad Farid Hijab)元首相の後任として、ハラキ氏は首相に任命された。両首相共にスンニ派の家系である。メッゼ地区は政府関係者の住居や施設が多いため、警備が非常に厳重なことで知られる。1年前の滞在の際に僕も何度かこの地区を訪れた。当時は和やかなムードで、市内には活気が溢れ、ショッピングを楽しむカップルや家族連れで賑わっていた。今回のテロによる犯行声明は現在のところ出ていない。しかし、数ある検問を潜り抜け、しかも首相をピンポイントで狙ったことから、政権中枢に潜む内部犯行説が濃厚である。 続きを読む

Crossing the red line

化学兵器が使用されたという事実を米国はどう捉えるか。

オバマ大統領はシリアで化学兵器が使用されたという事実を認めながらも、さらなる証拠が必要であると語った。さらなる証拠???よほどシリアと関わりたくないらしい。イラクでは大統領が違えども、大量破壊兵器があるらしいという段階で空爆から地上軍の展開にまで踏み切ったのに。

今回、アメリカの上院議員8名がホワイトハウスに「諜報機関を使って我々が調査した結果、政府軍によるシリアでの化学兵器の使用が確認されたという証拠をいくつか握っている。規模は小さいが、ダマスカス、アレッポでサリンが使用された疑いがある」という報告書を提出した。そのうちの1人に共和党のジョン・マケイン上院議員がいる。 続きを読む

Massacre in Jdaydet Artouz Al-Fadl

日本語読みすると、たぶん「ジャデーデ・アルトゥーズ・ファダル」だと思います。初めて聞く名前の地区だったので、ダマスカスに詳しい知人に聞いたら、位置関係が把握できました。ダマスカス郊外になります。以前に手書きしたダマスカスの地図がありますが、そこにも書いてありました。マーダミーエに隣接する地区です。ちなみマーダミーエを挟んで反対側にあるのが、ダーリーヤ、ここでは去年の8月に300人以上が殺害されています。ジャデーデは二つの地区に分けられ、「ジャデーデ・アルトゥーズ」と「ジャデーデ・ファダル」があります。今回の虐殺の大半が「ジャデーデ・アルトゥーズ」で起きたと思われます。

虐殺された人数にも開きがあります。海外メディアは少なくとも80人~85人、SOHR(シリア人権監視団)は250人以上、LCC(反アサドを掲げる活動家の委員会)では6日間で450人が殺害されたと伝えています。そして国営放送のSANAは政府軍による虐殺を否定し、死者数の明示は避けて、テロリストを駆逐したと報じました。 続きを読む

ダマスカス

今朝、ツイッターを眺めていたら、ダマスカス郊外の町で85人以上が死亡というニュースが流れてきた。ロイターからの報道によれば、ダマスカス郊外の町Jdeidet al-Fadelで、政府軍が大量に町に流れ込み、住民を大量に殺害したというもの。シリア人権監視団は少なくとも80人が死亡したと報告している。この町は数日前から政府軍に完全包囲され、自由軍と激しい戦闘を繰り広げていた。そして昨日、包囲網が突破され、政府軍がなだれ込み殺戮が行われたらしい。250人から400人が殺害されたと報告する市民記者もいる。ただし、全容がまったく見えてこない。昨日だけでシリア全土で540名が命を落とし、そのうち470人ほどがダマスカスだとシリア人権監視団は報告している。 続きを読む

化学兵器

2013年3月19日、アレッポ近郊の町Khan-al-Asalで化学兵器が使用された。政府軍を含めた一般市民26名が命を落とした。誰が化学兵器をこの町に撃ち込んだのか。政府軍なのか、それとも反政府勢力なのか。双方が化学兵器の使用を認めず、事態は平行線を辿った。オバマ大統領が「RedLine」と言明した「化学兵器の使用」は米国がシリアへの軍事介入を示唆する条件の一つとも言われている。 続きを読む

Pulitzer Prize 2013

ピューリッツァー賞のジャーナリズム部門でシリアの写真が受賞しました。

ピューリッツァー賞は部門がいくつかありますが、シリアの写真は「BreakingNewsPhotography」と「FeaturePhotography」で受賞を果たしました。

前者はAPが勝ち取りました。受賞者は5人。その他にも「InternationalReporting」の部門でもシリアのルポが最終選考まで残っていました。どちらもAPのHPから閲覧可能です。

http://www.ap.org/content/press-release/2013/ap-wins-pulitzer-for-syria-photos-is-finalist-for-syria-reporting

http://www.ap.org/states/tester/syriaap/index.html

後者はAFPから配信されたフリーランスの写真家JavierManzano(37)。メキシコで生まれ、現在はトルコのイスタンブールをベースに活動しているようです。アレッポで撮った写真が受賞しました。

http://www.afp.com/en/news/topstories/afp-freelancer-wins-pulitzer-feature-photography

http://blogs.afp.com/correspondent/?post/Picture-from-a-war-earns-Pulitzer

これで一段とシリアが脚光を浴びて、多くの救いの手が差し伸べられる。。。なんてことは絶対にないでしょう。彼らが撮影した写真は素晴らしいのはもちろんですが、このような悲惨な光景は日常茶飯事、毎日のようにメディアが全世界へと発信しています。そして2年が経過しても、改善するどころか悪化するばかり。

今後、懸念されるのが、アサド政権が崩壊した後です。共通の敵を失った反体制派と呼ばれる武装勢力が互いに縄張りを奪い合う。宗派間の軋轢も修復不可能な状態まできている。外国人を狙った誘拐や市民を巻き込むテロが頻発する。こうなると、もう手が付けられない。だからシリアに入国するのなら、今が最後のチャンスなんだろうなあ。十分すぎるほど危険なのには変わりはないけど。僕はもう今年は日本を出ることはないです。ネットからニュースを拾い読むだけ。

シリア難民

戦争が起きれば、必ず難民が発生します。彼らは生まれ育った村や町、そして国まで捨てて安全な場所を追い求めて、彷徨します。車を所有している者は家財道具を詰め込み、移動手段を持たない者は、二本の手足を頼りに、着の身着のまま逃げ出します。国家そのものが崩壊し、全土が戦火に包まれているシリアでは、難民が大量に発生しています。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によると、現時点で、登録されている難民の数は、1,078,656人。難民認定はされていないが、そうだと疑われる人々を合わせると、1,324,308人。シリアの人口が約2千2百万(21,906,000)。死者数が約10万人。行方不明者、数十万人。この統計を見るだけで、シリア内戦がいかに深刻な状況下に置かれているかが理解できます。国内避難民に関しては、調査自体も適切に行える環境でないために、難民の数はさらに増える可能性が十分に考えられます。

難民はシリアの隣国へと流れています。シリアと国境を接する国は5カ国。トルコ、レバノン、イスラエル、ヨルダン、イラク。レバノンが最も多く、続いてヨルダン、トルコ、イラクと続きます。ただし、最近ではヨルダンへの難民の数が急増しています。難民キャンプの設置にも多額の資金が必要となるため、受け入れ先によっても対応が異なります。シリアから逃れても劣悪な環境下で暮らしている難民が多くいます。男女の比率は半々。しかし、18歳以下の子供が半分を占めているとされ、その中でも多くが両親、もしくは父母どちらかと離れ離れで暮らしているという報告もあります。

資金面で彼らを支援している国のトップはやはりアメリカ($67,030,000)、次にEUが来て、3番目に位置するのが、日本です。$26,000,000、この数字は全体の支援金の18%に当たります。アフガニスタンに足を運んだ際、よく現地の人々に謝意を述べられました。日本は国連、NGOを通じて、資金面だけでなく、食料や衣料品 医薬品、生活必需品、インフラ整備などを紛争国に提供しています。普段、日本で暮らしていては気がつかないことですが、「日本人」というブランド力は世界を通じて非常に高いです。シリアでもその価値は変わりません。ただし、GDP(国内総生産)から割り出されるgenerous(寛大で気前のよい真意ある)寄付金という面では非常に低いですが、まあ、堅いことは抜きにして、シリアに日本も貢献していることは確かです。

アレッポに滞在していると、多くの人々が家財道具を軽トラの荷台に積み込み、町を離れていく光景を目にします。まるで日本で見かける引越しと同じ。でも彼らはどこに向かうのだろうか。

参考サイト

http://www.guardian.co.uk/news/datablog/2013/mar/06/syrian-refugee-crisis-in-numbers

http://data.unhcr.org/syrianrefugees/regional.php

http://www.savethechildren.org.uk/news-and-comment/news/2013-03/half-syrias-one-million-refugees-are-children

アルジャジーラandフロントライン

カタールに本社を置く衛星放送局、アルジャジーラ。中東に限らず全世界のニュースを24時間放送している。アルジャジーラを頻繁に視聴し始めたのが、シリア情勢に興味を持ち始めてから。1年前のちょうど今ごろ、僕はシリアの首都ダマスカスの郊外のドゥーマに潜伏していました。携帯の電波もネットも遮断されている中で、情報を得る唯一の手段はテレビでした。衛星放送なので、アンテナ一つあれば、視聴できる。銃声や砲声が鳴り響き、外出できない日はアルジャジーラをひたすら眺め続けていました。英語版とアラビア語版があり、アラビア語版ではドゥーマで知り合った活動家に通訳をお願いして、シリア情勢の把握に努めていました。そのアルジャジーラの英語版に「WITNESS」という枠があります。現場取材です。実際の現場はどうなっているのか、そこでは何が行われているのか、そしてどのような人々が暮らし、彼らは何を目撃しているのか。たぶん趣旨はそんな感じだろうと思います。 続きを読む

シリア関連の記事

北朝鮮、暴走してますね。でも僕の関心事はシリア。これから度々、シリア関連の記事をこのブログに掲載していきたいと思います。ただシリアの記事は膨大にあります。僕も資金稼ぎやら、アラビア語の勉強、何やかんやで時間にも限りがあり、何となく日々チェックしているシリアのニュースで興味を抱いたものだけランダムに掲載していきます。シリアに興味のない方は退屈だろうけど、もともと過疎化してますし、僕も現地には当分行けないので、かといって放置もできない、ということで・・・まあ、適当にまったりと更新していきます。

それと、真面目にシリアのニュースを取り上げている日本の報道機関は皆無なので、引用する記事は全て海外のメディアからになります。英語に自信があるわけでもないので、誤訳やら勘違いをしてしまう可能性もあります。誤りが見つかり次第、訂正をしますが、英語が理解できる方は直接、その記事のページに飛んでください。 続きを読む