シリアのおさらい

シリア情勢は複雑だと一般には言われています。確かにその通りなのですが、民衆蜂起から現在に至るまで、時系列で物事を眺めていくと、それほど道に迷うことなく、すんなりと理解できます。ただ、2011年3月から現在までのシリアでのニュースを拾い集めるとなると、膨大な労力と時間が費やされます。仮に今、2016年9月、「シリアを勉強しよう!」と思った方がいるとしたら、それは大変な作業になります。2012年3月からシリア情勢を眺め続けている僕でも、何とか追いつけている状態です。息切れしてます。こんな記事を見かけたので、補足を交えて紹介したいと思います。

http://www.nytimes.com/2016/09/19/world/middleeast/syria-civil-war-bashar-al-assad-refugees-islamic-state.html

1 シリアで行われている戦争とは何か

今行われている戦争は4つの層で構成されています。まず最も核となるのがアサド政権と反体制派です。さらに両者はシリア人と外国人で組織されています。両者の基本的な意見の相違はアサド大統領を政権から追い出すか、残留させるかです。

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イスラム軍司令官、ザハラーン・アッルーシュの死

昨日、ザハラーン・アッルーシュ(Zahran Alloush, زهران علوش)がロシア軍の空爆により殉教しました。彼は1971年生まれ、ダマスカス郊外のドゥーマ出身です。彼の息子の一人はサラフィー主義の説教師でサウジアラビアで暮らしています。彼自身もサウジアラビアのイスラム大学でシャリーアの修士号を取得している切れ者です。

https://en.wikipedia.org/wiki/Zahran_Alloush

どのメディアでも彼の死は大々的に報じられています。

http://www.theguardian.com/world/2015/dec/25/zahran-alloush-leader-syria-rebel-group-killed-airstrike

東グータ地域での会議中にロシア軍の空爆を受けました。アッルーシュの他に5名の指揮官が殺害されました。彼は経歴からも分かるように厳格なイスラム教徒です。アラウィー派やシーア派の排除を促す言動も見られました。しかし、イスラム国とも敵対しており、宗派間の抗争を煽るような言動は最近では見られず、西側諸国から受け入れられやすい人物だと思われていました。 続きを読む

CNNから-Forget Ukraine, Syria is now the world’s biggest threat-

ウクライナの情勢を目で追うこともしていないのですが、日本の新聞を読めば、それなりに情報が入ってきます。シリアと異なり、日本のメディアもウクライナ入りして、今後の選挙やらロシア、欧米の動向などを細かく報じています。そんな中で、ガーディアンや他紙で編集委員を務めるSimon TisdallがCNNにこんな記事を寄稿していました。詳しく見ていきます。

http://edition.cnn.com/2014/04/03/opinion/syria-refugees-tisdall/index.html?hpt=imi_t3

クリミア半島のロシア併合は国際社会の関心事を釘づけにしている。新たな冷戦の始まりか。メディアだけでなく、政治家も外交官もウクライナの情勢に目を奪われている。シリアすら蚊帳の外に置かれている状況は非常に大きな過ちを犯している。シリアで起きてる大惨事は世界の秩序への脅威として認識されなければいけない。 続きを読む

躍動する大国-サウジアラビア-

泥沼化したシリアを救う手立てはもう尽きた。唯一、可能性があったかもしれないと思うのは、化学兵器使用後の軍事介入を実行に移すことだった。もちろんその先に光が見えるわけではないけれど、少なくとも大きな分岐点ではあった。米国が設定した「レッド・ライン」を超えたわけだから、迅速に限定的だろうと介入すべきだった。アサドの大罪はうやむやにされ、ノーベル賞を受賞した化学兵器禁止機関はアサド政権の姿勢に満足し、国連は未だに話し合いの場での解決を模索しようとしている。呆れ返る。そして、反体制派同士の殺し合いが加速する現在、アサド政権には追い風が吹いているように思える。

http://www.buzzfeed.com/mikegiglio/confessions-of-a-syrian-activist-i-want-assad-to-win

外国人勢力の存在がシリアの革命を貶めている。活動家からの悲痛な叫びです。2012年夏、反体制派はアサド政権に猛攻を仕掛けた。アサドが倒れるのも時間の問題だと誰もが感じた。2週間、1カ月、時は流れて、1年が経過すれば、アサドとは別の敵が目の前に現われていた。彼らは三ツ星の国旗を振って、革命を賞賛するわけでもなく、民主主義を嫌悪し、イスラム国家に情熱を傾けた過激な勢力だった。革命はシリア人のためではなく、革命はイスラムのため。革命の位置づけが徐々に変容しつつある。アサドの方がマシだ。そんな声が微かに聞こえる。 続きを読む

暗躍する大国-サウジアラビア-

シリアで絶大な影響力を誇るサウジアラビア。サウジアラビアを語らずして、シリアの情勢を正しく理解することは難しい。とは言うものの、僕もサウジアラビアの詳しい(シリアでの)立ち位置を把握出来ていません。何となーく、反体制派に味方しており、中でも外国人勢力の強力な後ろ盾であり、武器の供給を行っているぐらいの知識かな。暗躍する大国と題するほどのネタはありませんが、先日、見かけたある記事が気になったので、ちょっと紹介したいと思います。

http://www.reuters.com/article/2013/08/07/us-syria-crisis-saudi-russia-idUSBRE9760OQ20130807

「Saudi offers Russia deal to scale back Assad support」

欧州の外交官からのソースになります。ロシアとサウジアラビアの会談を調整したのはサウジアラビアの情報機関のトップであるBandar bin Sultan氏。会談は、先週に設けられたと記事にありますが、ロイターから打電された日付が8月7日なので、現時点では先々週に設けられたことになります。ロシアはアサド政権を支える重要な立役者です。サウジアラビアはその立役者の切り崩しを狙い、今回の会談へと漕ぎ着けました。 続きを読む

外国からの贈り物

「Syrian rebels claim delivery of new weapons」

こんなタイトルの記事がアルジャジーラにありました。えっ、何?すっごいの手に入ったの?G8では反体制派への武器供与に関して、欧米とロシアとの主張がかみ合わず、もの別れに終わり、しばらくは膠着状態が続くのかなあ~なんて思っていた矢先に、この見出し。水面下では着々と武器支援の工程表が出来上がっていたのかと思い、ワクワクしながら記事に目を通しました。

http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2013/06/201362113326945851.html

この情報をもたらしたのは、自由シリア軍の広報官であるLouay Muqdad氏である。彼によれば、同盟国から「新たなタイプの武器を受け取った」と述べ、その他にも「既に前線に送り届けている最中である」、「(この武器によって)戦況は大きく変わるだろう」、「さらに近々、追加のブツが届く予定である」、と意味深な発言をしている。ブツが何なのか。ブツはどこから送られてくるのかは明言を避けている。さらにワシントン発行の新聞「THE HILL」でも同様の記事が配信されていた。 続きを読む