アレッポでの殺戮

繰り返し繰り返しアレッポでの報道を取り上げています。内容が重複する箇所が所々見られるかもしれませんが、世界のニュース、連日のようにアレッポでの戦況を報じています。昨日、アルジャジーラの記者JamesBayが国連の会場をあとにするシリアの国連大使BasharJaafariに質問を投げかけました。アレッポで2カ所の病院を爆撃しましたね?それに対して彼は鼻で笑ってそのまま通り過ぎていきます。

https://www.youtube.com/watch?v=s3qJMDKDhpQ

こちらはアレッポ東部、反体制派地域のドローンによる空撮です。人影がちらほらと見られます。とても人が暮らす環境ではないことが一目瞭然で分かります。

https://www.theguardian.com/world/video/2016/sep/27/drone-footage-shows-scale-of-destruction-in-eastern-aleppo-video

WPからの記事を拾い読みしたいと思います。

https://www.washingtonpost.com/world/darkness-and-fear-in-aleppo-as-the-bombs-rain-down/2016/09/28/07b65246-842e-11e6-b57d-dd49277af02f_story.html

夜間の空爆は最悪だ。電気は寸断されているが、自家発電で辛うじて必要な明かりは確保できる。しかし、真っ暗闇の中に灯る光は空爆の標的になりやすい。ここで暮らす住民は暗闇の中で肩を抱き合って眠る。上空には戦闘機のジェット音が鳴り響き、爆弾が落ちるのを固唾をのんで見守る。一人では死にたくないと彼らは思う。

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人として

シリアを取材して初めて心の底から伝えなきゃと思いました。以前までは伝えることは「取材に協力してくれた方々への礼儀」、「ジャーナリストとしての義務」という側面が強くありました。でも、初めてシリアを訪れ、そこで目にした光景は、ジャーナリストという職業とは関係なく、一人の人間として、伝えないといけないという思いが自然と湧き上がってきました。

これほどひどいことが行われているのに、どうして誰も助けてくれないのだろうか。一時的ではあれ、現場に身を置くと、そう感じます。この惨状を世界に伝えれば、状況は改善されるかもしれない。多くのジャーナリスト、市民記者、活動家がシリアの窮状を世界に訴えかけました。しかし、戦況は悪化し、死者は増え続けています。それでも報道は止みません。シリアの様子は毎日のように流れてきます。

報じたところで今すぐ戦火が止むわけではない。救いの手が差し伸べられるわけではない。でも伝えなきゃいけない。そう思わせているのは、ジャーナリストだからとかではなく、やはり人間だからだと僕は思います。戦争は殺し合いです。そこに人道だとか人権だとか甘い言葉は通用しません。でもただ殺されている人々を黙って見ていられないのが人だと思います。だから世界はシリアを報道し続けるし、僕もお金にはならないけれど、時間が許す限りブログを更新しています。

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最も成功を収めている者たち-クルド人の圧倒的な存在感-

マンビジが人民防衛隊(YPG)を主体としたシリア民主軍(SDF)によって解放されました。包囲された町で徹底抗戦を誓ったイスラム国は皆殺しにされたのでしょうか。それとも降伏したのでしょうか。映像をいくつか見ているのですが、陥落したマンビジの市内は戦闘の傷跡は生々しいですが、イスラム国の姿かたちは映像にはあまり出てきません。僕が訪れたコバニは戦闘が終結して2カ月が経過したにもかかわらず、ミイラ化したイスラム国の遺体が町中に数多く野ざらしにされていました。

https://www.theguardian.com/world/2016/aug/19/isis-civilians-syria-manbij-human-shield

昨日、金曜日にSDFが公開した写真です。車両が点在しており、周囲には無数の人影が見えます。イスラム国の戦闘員ですが、SDFの許可を得て、堂々と撤退しています。なぜSDFは許可を与えたのか。それは車両には戦闘員の他に一般市民も紛れています。イスラム国は住民を人間の盾、人質にして、マンビジからの安全な退路を確保したようです。

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牢獄の中で奪われる命

こちらの動画が多くのメディアで取り上げられています。

https://www.youtube.com/watch?v=7cfBmRW3isc

昨日、17日のことです。アレッポ東部の町Qaterji近郊でアサド政権、もしくはロシア軍の戦闘機が空爆を行いました。崩壊した建物から救出された一般市民の中には子供も多数含まれていました。最初に救出された男の子はOmran Daqneesh、5歳です。何が起きたのか分からない様子で一人椅子に腰かけています。その後、さらに二人の子供が救助されます。合計、4人の子供と男性2人、女性1人が負傷しました。

Omranは市内にある病院に搬送され、治療を受けました。この日、イドリブでも空爆があり、17人が殺害され、30人以上が負傷しています。こうした映像は毎日のように伝えられます。その中の一つが外の世界からの関心を呼び起こしましたが、1週間も経てば、風化しちゃいます。シリアの惨状を伝えた記録は風化速度が一瞬です。なぜなら、一般市民を巻き込んだ戦争に終わりが見えないからです。

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アルカイダを育てた肥沃な大地-ヌスラ戦線-追加-

現在発売中の「新潮45」8月号に記事を掲載しています。僕自身について書かせていただきました。フリーを始めてから現在に至るまでの経緯を振り返っています。読者の方には「誰だ?こいつ」と思われているかもしれませんが、このブログを見ていただいている方であれば、多少は僕のことをご存じだと思うので、もしよろしければ目を通していただければ幸いです。

http://www.huffingtonpost.com/entry/under-pressure-syrias-rebels-face-al-nusra-quandary_us_578bbd07e4b0e7c8735055e4

以前にも取り上げたCharles Listerからの記事になります。アレッポの反体制派の中心地へと繋がる唯一の補給路が遂にアサド政権の手に落ちました。内側に取り残されている人々は300000人以上であると推測されています。封鎖されてから数日が経過して、燃料や食糧が枯渇し始め、果物、野菜、肉が市場から消え、食料の値段も400パーセントの上昇率を見せています。シリア全土で600000人がアサド政権、反体制派、イスラム国などに包囲されていますが、今回の一件で一気に900000人に増加しました。兵糧攻めだけでなく、樽爆弾、ミサイル攻撃はなおも続いており、活動家、支援団体は緊急の援助を求めていますが、国際社会の反応は芳しくありません。 続きを読む

アレッポ北部の攻防戦-追加-

ロシアの空爆による民間人の死者が多数報告されています。月曜日にはイドリブやアザズで少なくとも3つの病院と学校が空爆されました。ロシアは関与を否定していますが、この地域で空爆を行える、行うのはアサド政権かロシアに限定されます。今回はここ3週間ほどのシリア北部での勢力図の変化について紹介できればと思います。

http://www.vox.com/2016/2/16/11020140/russia-syria-bombing-maps

とても分かりやすい記事です。3つの地図を引用して、最近のロシアの空爆と各勢力の動きを分析しています。一つ目がISWの地図を基にして、ロシアがどの地域を激しく空爆しているかを説明しています。アレッポ北部、東部、イドリブ県、シリア南部のダラー県などに集中しています。停戦に向けてロシア、アメリカが協議をしている最中にも容赦なく爆弾は降り注いでいます。 続きを読む

Enough is enough

マイケル・イグナティエフとLeon Wieseltierによるオピニオンです。

https://www.washingtonpost.com/opinions/the-era-of-us-abdication-on-syria-must-end/2016/02/09/55226716-ce96-11e5-88cd-753e80cd29ad_story.html

アレッポでのロシアの空爆は多くの民間人を死傷し、数万人の人々を追い立てた。この巨大な街が包囲されれば、物資の供給も滞り、多数の住民が飢餓の恐怖にさらされるだろう。欧米のシリア政策が道徳的破綻をきたすのも時間の問題である。

実際に、道徳的破綻は長く続いている。シリアの大統領は退陣すべきだという5年に渡る空虚なスローガン、気乗りしない反体制派への武器支援、化学兵器の使用で超えたはずのレッドラインの有名無実化、西側諸国の互いの押し付け合いから生じた緊張の下での難民の不十分な対応。その結果、25万人の死者と700万人の国内避難民、500万人近くの難民を生み出した。難民のうち200万人は子供である。 続きを読む

アレッポ北部の攻防戦

和平協議による事態の打開は虚しくも崩れ落ちました。日程がずれ込み、誰も期待していない最中で開催されましたが、数日後には一時中断を宣告されました。今月末に再開されるようですが、シリアでは戦火は衰える兆しは一向に見られません。

http://www.theguardian.com/world/2016/feb/05/syrian-refugee-numbers-continue-to-build-on-turkish-border

数万人のシリア人が難民となってトルコとの国境に押し寄せています。しかし、トルコ側は国境を封鎖したまま、難民は行き場を失っています。和平協議が行われている最中に、アレッポではアサド政権とその協力者、ヒズボラ、イラク、イランのシーア派民兵が地上から、空からはロシアが尋常ではない空爆を行い、反体制派の支配地域の奪還に乗り出しました。特にロシアの空爆は数分置きに無差別に爆弾が投下され、町や村を薙ぎ払いました。多数の死傷者が出ました。 続きを読む

白いヘルメットの救助隊ー追加ー

命がけの救出作業に尽力する白いヘルメットの方々について追記です。

http://europe.newsweek.com/white-helmets-syrian-civil-war-418001

トルコとの国境沿いに集まった訓練生の職種は様々である。学生、教師、八百屋、農夫。彼らはこれから緊急救助隊、Syrian Civil Defenseの隊員になるため訓練を受けます。通称、白いヘルメットと呼ばれる市民防衛隊は中立的で非武装を掲げています。

訓練所には焼け焦げたバスや壊れた建物が見られ、それらは実際の現場を再現したシミュレーションとして利用されます。正確な場所は非公開とされ、隊員、訓練生の名前を聞いても、大半がファーストネームだけ答えます。なぜなら、この地域にはイスラム国のスパイが潜り込んでいるからです。 続きを読む

ロシア空爆による犠牲者数

http://www.theguardian.com/world/2015/dec/30/russian-airstrikes-kill-2300-syria-human-rights-group

9月末から開始されたロシアの空爆は、この3カ月間で死者2371人、そのうち792人が一般市民であり、180人が子供であるとシリア人権監視団が報告しました。イスラム国の戦闘員が655人、その他の反体制派組織が924人になります。ロシアの空爆が人権団体や国際社会から批難を受けていますが、この数字を見れば、当たり前でしょう。一般市民の犠牲者数がイスラム国の戦闘員より多いとは意図的に一般市民を標的にしているとしか思えません。

アムネスティはロシアの空爆は戦争犯罪にも該当すると報告しています。アメリカのマーク・トナー副報道官は「ロシアの空爆は多くの民間人を殺害している。医療施設や学校やマーケットも空爆にさらされている」と強く批難しています。

僕もロシアが何を考えているのか理解できません。正気を失っているとしか思えない。救援物資の輸送車を油の密輸車両と言い張り、空爆したり、医療施設や食糧庫、インフラ設備も木っ端みじんです。クラスター爆弾をばらまいたり、空爆した箇所で救援活動を行う人々の上にさらに爆弾を落としたり。やっていることはアサド政権と同じですが、ロシアはシリア内戦をさらに悪化させています。