Médecins Sans Frontièresからの報告

各国のメディアがMédecins Sans Frontières(MSF)からの報告を取り上げていたので、ブログでも紹介できればと思います。

http://www.msf.org/article/syria-thousands-suffering-neurotoxic-symptoms-treated-hospitals-supported-msf

MSFが支援するダマスカスの政府管轄区の3つの病院で、化学兵器の使用が確認された水曜日の午前中だけで、神経性の症状を訴える患者をおよそ3600人受け入れたことを明らかにした。その中で、既に355人が命を落とした。

2012年からMSFはダマスカスの行政区にある病院やクリニック、医療関係者と連携を取りながら、薬剤、医療設備、医療技術の提供を行ってきた。内戦が激化し、MSFのスタッフが現地で直接活動することはできない。安全面を考慮してのことである。しかし、現地の医療関係者との繋がりから、今回の報告を受けた。患者に見られる症状は、「けいれん、ひきつけ」、「唾液分泌の過多」、「眼球の縮瞳」、「視界の狭窄」、「呼吸器疾患」などが上げられる。 続きを読む

Human Rights Watchからの報告

http://www.hrw.org/news/2013/08/21/syria-witnesses-describe-alleged-chemical-attacks

最初の証言者である7名の住民と2名の医師がHuman Rights Watch(HRW)に語った。多くの子供を含めた、数百人が8月21日の早朝の攻撃により、呼吸困難に襲われた。彼らの言葉が事実であるのならば、今回の攻撃は恐るべき犯罪が行われたという懸念が沸きあがる。東グータ地域での惨事に政府側は犯行を否定している。

大量の死者を出した今回の惨事に対して、法を逸脱した大量殺戮の責任者と化学兵器が使用されたかどうかをしっかりと見極める必要がある。そのためアサド政権は国連の調査団を現場に急行させるための許可を与えるべきである。HRWはこう述べている。

政府側の支配地域から発射された化学兵器が搭載されたミサイルによる攻撃は複数の町に被害が及んでいると現地の目撃者は語る。Zamalka, Ayn Tarma,  Moadamiyaなどの町である。Ayn Tarmaからの活動家の話では「巨大な噴煙が町全体を包み込んだ。大半の住民がマスクを装着したが、それでも誰もが咳き込み、幾人かは呼吸困難に陥った」。被害を受けた地区は居住区で商店街が立ち並ぶ商業区域。そこに隣接するように国道が走っている。つまり化学工場や軍事施設が被弾して周囲に化学物質が拡散したという二次的な被害だとは考えにくい。 続きを読む

化学兵器について

http://www.bbg.gov/blog/2013/08/19/one-year-later-alhurra-tvs-bashar-fahmi-remains-missing/#.UhO-1PRCvE8.twitter

山本美香さんとは面識がないので、彼女に関しては何も語ることができません。しかし、あの当時、山本さん以外にも数名の記者やカメラマンが同行していました。銃撃戦が発生し、山本さんは殺害され、トルコ人記者のCüneyt Ünal氏は政府軍に拘束されました(Cüneyt Ünal氏は11月に釈放)。その他、もう1人記者がいました。Al-Hurra TVの特派員であるBashar Fahmi氏です。彼は現在も行方不明です。昨年、28名の記者(写真家)が命を落とし、21名が誘拐され、15名が投獄されています。山本さんが亡くなられて、1年が経過しました。シリアはますます混迷を深めています。

化学兵器が使用されたというニュースを聞いて、耳を疑いました。なぜ今なのか。国連の調査団が数日前にダマスカスに到着した矢先の出来事です。1年以上前に遡ります。僕がシリアのドゥーマに滞在中、国連の停戦監視団がシリアに派遣されました。その途端、ドゥーマが戦火に包まれました。なぜ今なのか。これには明確な答えがあります。停戦監視団がドゥーマを視察する際に、反体制派の人間を黙らせるため、恫喝の意味を込めての猛撃でした。しかし、今回の化学兵器による大規模な攻撃には理解に苦しみます。ダマスカス中心部から車で30分あれば行けるような場所での惨劇です。ある活動家が「匂いぐらいはしたんじゃないか」と国連の調査団を皮肉るような呟きをしていました。 続きを読む

シリアでの死者数の詳細データ

動画を一つ紹介します。

http://www.youtube.com/watch?v=foaQ5RdoY5Y&feature=youtu.be

これまで何度かブログでも取り上げたダマスカス近郊のジョーバル地区での出来事です。英訳が表示されていますが、一応、簡単な説明を付け加えます。政府軍の兵士が女性を拉致し、暴行を加えた上で、半裸の状態で銃弾飛び交う国道のど真ん中に放置。政府側の仕掛けたワナであることを承知の上で、果敢にも自由シリア軍の兵士が彼女に駆け寄る。しかし、彼女に近づいた途端に銃声が鳴り響く。それでも彼は諦めず彼女を抱きかかえるが、途中で銃弾を浴びて殉教した。彼女もしばらくしてその場で亡くなり、彼の他3名が同じように命を落とした。 続きを読む

バニアス虐殺、化学兵器-追加-

さて今日もせっせとシリアのニュースを漁ります。日本にいる限り、ニュースを読み解くぐらいしか僕にはできないから。少しずつアクセス数も増えてきているので、時間があるときはできる限り、ブログを更新できたらなあと思っています。シリアに興味を持っている人がいるだけでもうれしい。もっと日本のメディアの人たちはシリアを取材してほしい。ただ僕は同業者同士の繋がりがほとんどないから、案外、いろんな記者やカメラマンがシリアを取材してるのかも。

以前にバニアスでの虐殺について触れました。詳細は過去のブログを参照にしてください。最近、しばらく報道を見かけなかったのですが、BBCが昨日、この虐殺に関する記事を掲載してました。反体制派の市民記者が今回の虐殺の全容を明らかにするため、生存者から聞き取り調査をしています。BBCも生存者の女性から証言を取っています。 続きを読む

化学兵器-追加-

レバノンの首都ベイルート郊外にロケット弾が着弾しました。まあ、それは日本のニュースでも報じられているので、別にいいとして。ちなみに首都ベイルートからバスで僅か2時間ほどの距離にある都市トリポリ。こちらは既に宗派間抗争が激化しており、スンニ派とアラウィ派が互いにバチバチと火花を散らしています。3日前にトリポリの知り合いから、市内にはレバノン軍の装甲車が隊列を成して走行し、夜間から明け方にかけて銃声が止まないそうです。

来月、国連主催でロシアとアメリカが牽引した体制派と反体制派との話し合いが開催される予定です。まったく無意味だと思いますが、それより、「化学兵器使用」に関する問題はどうしたのだろうかと疑問に思います。白か黒かはっきりしていない状態のまま放置されています。オバマが力強くお立ち台の上で「RedLine」と明言した化学兵器の問題はどうなったのだろうか。まるで臭い物に蓋をするかのように、気がつけば、「政治的解決」を目指した会議が組まれている。首を傾げざるを得ません。大国の思惑には僕はついていけない。 続きを読む

化学兵器使用による世論の反応

昨日、首都ダマスカスのメッゼ地区でハラキ(Wael Nader Al-Halqi)首相を標的としたテロが発生した。自爆テロなのか自動車爆弾なのか即席地雷なのか、手法は定かではないが、ハラキ首相の護衛を含む数人が死亡した。首相自身は無傷であり、その後に開かれた経済会議に出席、インタビューに答える姿が放映されている。

昨年の8月、アサド政権から離反し、ヨルダンに逃れたヒジャブ(Riyad Farid Hijab)元首相の後任として、ハラキ氏は首相に任命された。両首相共にスンニ派の家系である。メッゼ地区は政府関係者の住居や施設が多いため、警備が非常に厳重なことで知られる。1年前の滞在の際に僕も何度かこの地区を訪れた。当時は和やかなムードで、市内には活気が溢れ、ショッピングを楽しむカップルや家族連れで賑わっていた。今回のテロによる犯行声明は現在のところ出ていない。しかし、数ある検問を潜り抜け、しかも首相をピンポイントで狙ったことから、政権中枢に潜む内部犯行説が濃厚である。 続きを読む

Crossing the red line

化学兵器が使用されたという事実を米国はどう捉えるか。

オバマ大統領はシリアで化学兵器が使用されたという事実を認めながらも、さらなる証拠が必要であると語った。さらなる証拠???よほどシリアと関わりたくないらしい。イラクでは大統領が違えども、大量破壊兵器があるらしいという段階で空爆から地上軍の展開にまで踏み切ったのに。

今回、アメリカの上院議員8名がホワイトハウスに「諜報機関を使って我々が調査した結果、政府軍によるシリアでの化学兵器の使用が確認されたという証拠をいくつか握っている。規模は小さいが、ダマスカス、アレッポでサリンが使用された疑いがある」という報告書を提出した。そのうちの1人に共和党のジョン・マケイン上院議員がいる。 続きを読む

化学兵器

2013年3月19日、アレッポ近郊の町Khan-al-Asalで化学兵器が使用された。政府軍を含めた一般市民26名が命を落とした。誰が化学兵器をこの町に撃ち込んだのか。政府軍なのか、それとも反政府勢力なのか。双方が化学兵器の使用を認めず、事態は平行線を辿った。オバマ大統領が「RedLine」と言明した「化学兵器の使用」は米国がシリアへの軍事介入を示唆する条件の一つとも言われている。 続きを読む