The World Abetted Assad’s Victory in Syria

久しぶりのブログの更新になります。シリアの情勢を綺麗にまとめた記事がありましたので、そちらを意訳できればと思います。拙い英語力なので、原文が読める方はぜひそちらに目を通していただければ幸いです。

https://www.theatlantic.com/international/archive/2018/08/assad-victory-syria/566522

7年以上にわたる内戦によりシリアの人口の半分が家を捨て、町は瓦礫となり、50万人以上の人々が命を落とした。そして今、バッシャール・アサド大統領の勝利は目前に迫っている。7月にアサド政権はシリア南部の都市、ダラーを奪還し、制圧した。ダラーは2011年の民衆蜂起が発生するきっかけを作った反体制派にとっては象徴的な革命都市だった。

アサド政権が勝利目前と書き記したが、実際は異なる。戦争が終息するにはまだ先は長い。アサド政権がシリア全土を統一したわけではない。クルド人が主に支配権を確立しているシリア北東部、そして唯一の反体制派が拠点としているイドリブ県が残されている。民衆蜂起直後、数カ月以内にアサド政権は崩壊するだろうと予測した西側諸国の思惑とは裏腹にアサド大統領は7年以上が経過した今も権力の座に留まっている。 続きを読む

化学兵器使用か-追加-

http://www.nytimes.com/2014/04/13/world/middleeast/damascus-and-rebels-trade-blame-in-gas-attack.html?ref=middleeast

金曜日の夕方、ハマ県の村Kfar Zeitaで化学兵器が使用された。呼吸困難に陥った人々が村の診療所に次々と運ばれた。反体制派の活動家は、政府軍のヘリコプターから投下された爆弾から化学物質が周囲にまき散らされたと報告している。しかし、政権側は反体制派の仕業だと応酬した。被害者は100名以上にのぼる。

国営放送(政権側)は、ヌスラ戦線を名指しで批判し、今回のガスによる攻撃は彼らの仕業であり、2名が死亡、100名以上が負傷したと報じている。しかし、去年の夏に引き起こされたサリンを使用した大規模な攻撃の首謀者は政権側だと欧米は断定している。今回の攻撃が政権側の犯行である可能性は高いが、政府軍は過去の事例から小規模であれば使用しても問題ないと捉えている節がある。なぜなら、どれだけ人がどのような形で殺されようとも、国際社会がシリアに直接介入してくることはないと判断しているからである。

西側の高官は反体制派側が化学兵器を所持しているという情報は入っていない。しかし、一部の過激な勢力が政府軍に対して有毒な兵器を使用する可能性は否定していない。こう述べている。

化学兵器が使用されたからシリアの戦況に大きな変化が現れるのだろうか。僕は何も変わらないと思います。すでに去年の夏の軍事介入の危機がお流れになって以降、化学兵器はレッド・ラインではなくなりました。だからこれからいくらでも政府軍は化学兵器をバシバシ使ってくると踏んでいます。ただ一応、廃棄はされているようなので、サリンほど強力ではない有毒なガスの使用にとどまるのかと思います。

化学兵器使用か。

https://www.youtube.com/watch?v=COU_mm4Ogu4

この映像がツイッターを通して流れてきました。4月3日、ジョーバル地区で化学兵器により負傷した市民なのか武装勢力なのか定かではありませんが、その様子を撮影した映像です。ジョーバル地区はダマスカス郊外というより近郊です。

http://english.alarabiya.net/en/News/middle-east/2014/04/04/Assad-s-forces-accused-of-new-poison-gas-attack.html

気になって記事はないかと思い、行き着いたのがまずはアル=アラビーヤからの報道でした。ロイターによれば、今回の事件が発生する前にアサド政権は国連に事前にこのような通達を行っていました。「ジョーバル地区で反体制派が有毒なガスを用いた攻撃を計画している」。テロリストとの会話を政府軍が傍受し、反体制派の支配地ではガスマスクが配布されているというものです。 続きを読む

カラモン攻防戦

先月、スウェーデン国籍の記者と写真家が誘拐されたばかり。今度はスペイン国籍の記者と写真家がISISに誘拐された(拘束された?)。日時は9月16日だから3ヶ月ほど前になる。その間、誘拐犯と間接的に連絡を取り合っていたらしい。場所はISISが猛威を振るうラッカ県。FSAが4人付き添っていたが、彼らも拘束され、後に釈放された。国境なき記者団が「シリアはジャーナリストにとって世界で最も危険な紛争地である」と警告している。「Nothing venture, Nothing gain」。「A wise man keeps away from danger」。僕は言わずもがな後者です。ただwiseじゃなくてcowardだけど。

参考サイト http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-25314832

何週間にも渡って繰り広げられていたカラモン山脈での攻防戦。ヒズボラの支援により政府軍がある一定の勝利を収めた。ダマスカスとホムスを結ぶ高速道路がカラモン山脈沿いに走っている。地図を見ながらの方が分かりやすい。 続きを読む

なぜ危険なシリアに足を運ぶのか-追加-

「取材される側」が報じられるのは当たり前ですが、「取材する側」の視点に立った記事を多く見かけるのがシリア紛争の特徴です。シリアに関するグロテスクな映像は動画投稿サイトなどを通じて世界へと発信されていますが、それらの映像や写真は第三者の手によって撮影されています。第三者とは「活動家」「市民記者」「海外メディア」と言われる職業に就いている人々です。彼らの存在は貴重であると同時に、時には特定の人々にとって邪魔な存在にもなります。なにより危険を伴い、命を落とす記者や写真家が後を絶ちません。それでも新たな担い手がシリアの惨状を伝え続けています。チャンネル4からLindseyHilsum記者のレポートをテキスト化したものです。

http://blogs.channel4.com/lindsey-hilsum-on-international-affairs/mission-peril/3030

8月21日、ある映像が世界を揺るがした。ダマスカス郊外のグータ地域で化学兵器が使用されたというニュースである。撮影したのは地元の住民であるが、外国メディアが不在の中、彼らは市民記者となって、目の前の惨状を訴えかけた。多数の遺体、呼吸困難に陥る老若男女、必死で治療を施す医師やガスマスクを装着したFSA。彼らが記録しなければ、闇に葬り去られていた可能性も否定できなかった。1988年のイラクでのクルド人に対する化学兵器使用が発覚したのは、1週間以上が経過してからのことである。 続きを読む

Human Rights Watchによる調査結果

http://www.hrw.org/news/2013/09/10/syria-government-likely-culprit-chemical-attack

HRWは政府軍が化学兵器を使用したと断定しています。

http://www.hrw.org/node/118725/

こちらから詳細なレポートをダウンロードできます。

化学兵器が使用された地域は2ヶ所。東グータと西グータ。東グータ地域はザマルカ地区とアインテルマ地区、西グータ地域はマードミーヤ地区。使われた兵器の残骸を調査したところ、これらの兵器は政府側しか所持していないことが判明しました。東グータには330ミリロケット弾、西グータでは旧ソ連製140ミリロケット弾。弾頭の先が筒状になっており、化学兵器(サリン、VXガス)を搭載できるように設計されている。

一方で、HRWのスタッフが現地に足を運べるような状況ではなく、化学兵器が使用された物的証拠を採集することは困難である。しかし、現地から送られてくるビデオの検証、医師によって提供された被害者の症状や被害者本人、活動家からの声を拾うことで、調査に加わった専門家も含めてHRWは政府側の使用であると判断した。

化学兵器が使用されたことは揺るぎない事実であり、軍事介入に積極的な国々はアサド政権側の犯行であることを明言しています。今後の化学兵器の取り扱いについてアサド政権が譲歩の姿勢を示し、その議題が安保理で討議される。それが軍事介入の賛否に影響を与えてはいけないと思います。なぜ軍事介入が行われるか。「RedLine」を超えたからです。化学兵器で多くの一般市民が殺害されたからです。そのための軍事介入案です。複雑な事情もありますが、このままやり過ごせば、まさに悲劇から生まれた喜劇です。各々の国々に台本でも用意されているのだろうか。

ダマスカスからの声

まったくついていけない。情報の流れが速すぎます。軍事介入が行われるかどうか、その流れを目で追うことはあきらめました。ツイッターの呟きを参考にするぐらいにします。議会で否決されたとか、議会での承認が必要とか、艦艇が何隻配備されたとか、限定的空爆に留まるとか、空爆の日程はいついつだとか、標的はナンだとか、もう僕の頭がワーってなっちゃいます。特にブログだと数日前の記事なんか掲載しても、既に過去の遺物として処理されちゃうので、目まぐるしく動く昨今のシリア情勢、専門家の方々にお任せします。それにここまで大々的にシリアが脚光を浴びると、国内のメディアでもある程度の事情が把握できます。わざわざ海外からニュースを紐解く必要もないかなと思います。でも一つだけ記事を紹介したいと思います。かなり意訳しています。

http://www.latimes.com/world/middleeast/la-fg-syria-damascus-scene-20130901,0,1558019.story

シリアへの軍事介入に議会の承認を求めたオバマ大統領の決定はダマスカスの住民に一定の猶予を与えた。しかし、長くは続かないだろうと大半の住民が怯えている。化学兵器使用による報復措置に向けた軍事介入の手続きは着々と進んでいる。 続きを読む

化学兵器について-追加-

化学兵器による攻撃で1000人以上が殺害された。大惨事です。しかし、現場の地獄絵図を思い描ける人がどれほどいるでしょうか。空爆が秒読み段階だと報じられる中、国連の調査団の調査結果を待たずして、空爆を行うのは非道だ。こんな意見を言う人は、この2年半のシリアの内戦をどのように受け止めているのでしょうか。逆に化学兵器でたくさんの一般市民が殺された、空爆は当然だ。こんな意見の言う人は、それじゃあ、実際の現場がどのような惨状であったのかを詳細に語ることはできるでしょうか。シリアから遠ければ遠いほど、距離的にも利害関係からも、そんな国ほど報道が短絡的になりがちです。これは僕自身にも言えることです。僕の頭の中は「空爆はいつ始まるのか」「始まったらアサド政権はどうなるのか」と空爆の原因ともなった化学兵器で命を落とした人たちのことを忘れがちです。説教臭いことを書き綴って申し訳ありません。NYTimesからの記事になります。以前のブログの内容とかぶる箇所もあるかもしれません。誤訳もありえるので、英語が多少でも出来る方は原文を読んでもらえれば助かります。

http://www.nytimes.com/2013/08/27/world/middleeast/blasts-in-the-night-a-smell-and-a-flood-of-syrian-victims.html?_r=1

ミサイルが着弾して数時間後、まだ夜が明けきらないダマスカス郊外の病院に数千人の人々が押し寄せた。搬送されてきた患者は身体を痙攣させ、口からは泡を噴き上げていた。彼らの視界はぼやけているようであり、多くが呼吸困難に見舞われていた。困惑した医師たちは大急ぎで解毒剤を投与し、化学兵器に侵された神経機能が回復することを願った。次々と運び込まれる負傷者、やがて解毒剤は底を尽きた。さらなる毒ガスによる汚染を防ぐため、患者の衣類は脱がされ、水で身体を洗い流した。 続きを読む

来週の事を言えば鬼が笑う

シリア情勢の先を見据えた憶測ほど当てにならないものはないと思います。これまでいろいろと報道されてきた中で、投げっぱなしのまま回収されることのない報道が多数あるように感じます。それだけシリアの先行きは見通せないほどカオス化しているということです。

http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/10265765/Navy-ready-to-launch-first-strike-on-Syria.html

おお!って記事です。アメリカと共に英国がシリアに向けて巡航ミサイルを発射するための用意がある。既に巡航ミサイルの着弾候補地をリストアップするという最終局面にまで達しているそうです。政府筋の話によれば、英首相とオバマ大統領も含めた他国の指導者との協議は続けられており、早ければ来週中には何かしらの軍事行動に打って出るという算段が整えられつつある。 続きを読む

Maher al-Assadとその仲間たち

http://www.theguardian.com/world/2013/aug/24/assad-brother-syria

「Did Assad’s ruthless brother mastermind alleged Syria gas attack?」

1年以上、彼は姿を消したままである。しかし、バッシャールが公の場に姿を現している一方で、マーヒルは彼の影となって存在感を残しつつある。マーヒルはシリアが内戦に突入して以降、多くの局面で重要な役割を果たしてきた。ダマスカス郊外から中央へと侵食しつつある反体制派勢力を水際で食い止めているのが彼が率いる獰猛な部隊、陸軍第4機甲師団である。先週に発生した化学兵器使用による大虐殺。果たしてこの残虐非道な行為にマーヒルは関与しているのだろうか。

警察組織を束ね、バース党中央委員会に席を置く彼は、破壊と反乱が止まない現状に至っても、決して無視できない存在感を強固に維持したままである。反体制派が政府軍の支配地域を奪取している中で、陸軍第4機甲師団は政府を代表する重要な支柱として内戦に深く関与してきた。マーヒルは2000人の部隊長のトップとして、また共和国防衛隊をも率いる軍の指導者として君臨している。ダマスカスが戦火に包まれて以降の郊外への総攻撃は陸軍第4機甲師団と共和国防衛隊が担っている。 続きを読む