アレッポ東部での暮らし-包囲網により隔絶された都市-

http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2016/11/russian-offensive-aleppo-161106114905738.html

朝、まず思い浮かべるのは、「今日はどのようにしてパンを手に入れようか」ということだ。ロシアの戦闘機が次の攻撃を仕掛ける間、私の頭を苦しめるのは、そんな問いかけだ。「今日はどのようにしてパンを手に入れようか」。

もしパンなしでの一日の生活を送りたくないのであれば、私は早朝5時に起きなければいけない。パン屋の前には大勢の人々が列を作っている。70日前にこの町が包囲されてから、このパン屋は週に3日、営業している。それぞれの家族が受け取れるのはパン5枚だけ。それも二日に一回だ。

特に攻撃もない一日であれば、6時までにはパンを受け取れるはずだ。パン屋に行列を作る人々は口々に同じことを叫ぶ。「私には子供が10人もいるの。娘は未亡人で、子供が3人いる。たった5枚のパンでは足りないわ!」。答えは簡単だ。「5枚しか渡せない。それは管理委員会が決めたことだ。私はその命令に従っているんだ」。私は1時間以内に何とかパンを受け取ることができた。

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ある一家の物語-アレッポでの暮らし-

今、イラクの方が騒がしいですね。モスルをイスラム国から奪還するため、政府軍、シーア派民兵、ペシュメルガ、空からは有志連合と、攻め上げています。半年ほどかかるようなことを報じていた気がしますが、仮にモスルが陥落すれば、次はラッカかなあ。ただ、僕は直接足を運んだ場所でしか、物事を語れません。イラクは素人なので、発言は控えます。

シリアはアレッポが大変ですが、イドリブ県でも反体制派が揉めています。とりあえず、アレッポに焦点を絞り、FPの記事を紹介できたらと思います。

http://foreignpolicy.com/2016/10/16/are-you-silent-because-we-are-muslims/

停戦が崩壊した9月23日から10月8日までのアレッポ東部での死者は国連の統計で406人になります。先週の水曜日には市場が空爆され一瞬にして46人の命が奪われました。これだけの虐殺が、実行犯が明確にもかかわらず、一向に収まらないことにもはやアレッポで暮らす住民はどれほどの思いを抱いているのか。

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アレッポからの手紙-My city is not just a death toll-

Syrian Civil Defense の創設者の一人であるBeebers Mishal(31)からのアレッポからの声です。停戦が崩壊して1週間足らずでの死者は400人を超え、負傷者は数百人に上っています。いったいアレッポでの生活はどのようなものなのか、彼の言葉から多少はうかがい知れるかもしれません。

http://www.aljazeera.com/news/2016/09/letter-aleppo-city-death-toll-160928055621630.html

いつ起きたのか、いつ眠りについたのか私ははっきりとは覚えていない。町全体に絶え間なく爆弾が降り注ぐような状況ではここで暮らす人々には「眠り」なんてものはない。戦争と平和に関する法律に私は造詣が深いが、自信をもって言えることがある。国際社会はこれらの法律をシリアに適用することはない。アレッポは燃えている。そして世界は黙って見つめている。ロシアの空爆は間断なく続いている。

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偽りの世界-理想と現実とのギャップ-

今月21日、アサド大統領がAPとのインタビューに応じました。そのAPがアサド大統領の発言の真偽を検証する記事を配信しました。以前、2015年2月、BBCのJeremyBowenが単独インタビューした際にはじっくりと彼の発言に耳を傾けましたが(http://t-sakuragi.com/?p=1901)、今回はこの記事にしか目を通していません。

https://apnews.com/2208a4c2eb384594af44ff49d158cfe7

アサド大統領が強調している点が三つ。一つ目はアレッポで住民を閉じ込めるような包囲網は築いていない。二つ目はアサド政権とロシアは支援物資を運ぶ車列を空爆していない。三つ目はアメリカ主導の有志連合がデリゾールで60人もの政府軍の兵士を空爆で殺害したのは偶然ではなく故意である。

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障害を抱えた子供たちの苦悩

http://www.aljazeera.com/news/2016/09/programme-offers-aid-syrian-amputees-160913110516541.html

迫撃砲が間近に着弾したことで、ダマスカス郊外で暮らすGhadeer(13)の生活は一変した。去年のことである。

「親戚の家を訪れる途中で迫撃砲が私たちの間近で爆発したの。私の母と兄弟は亡くなった。そして私は脚を切断したの」

東グータ地域では多くの子供たちが内戦により深い傷を負っている。今年に入り、数百人の人々が迫撃砲や空爆によって脚を失った。Ghadeerは事件が起きた半年後、地元の支援団体、Farha Foundationから義足を提供され、今はリハビリに励んでいる。

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アレッポからの手紙-医師からの願い-

シリアの内戦を見ると、秩序が崩壊しています。でもそれが戦争だから、仕方がないのかもしれません。戦争をしていない場所で、現在進行形で繰り広げられている戦争を止める手段を考えても、戦争をしている国で暮らす人々には何の助けにもならないでしょう。それでも、自らの力で戦争を止められない状況では、外からの力に望みを託すしかないのでしょう。目の前で人がバタバタと殺されているのですから。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/aleppo-siege-doctors-syria-starvation-assad-forces-russian-airstrikes-humanitarian-crisis-a7183281.html

包囲されていたアレッポですが、反体制派の猛攻により小さな穴が空きました。それでも物資の不足は著しく、燃料は高騰し、インフラは壊滅状態、衛生面は最悪の状況です。さらに上空からはアサド政権とロシアによる爆弾の雨が降っています。アレッポには数少ない医師が懸命に負傷者の手当を行っています。そんな彼らからオバマ大統領に宛てたメッセージが送られました。翻訳(意訳)してみたいと思います。

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パルミラ攻防戦-追加-

ttp://www.afpbb.com/articles/-/3082532

パルミラの遺跡はそれほど破壊されていない。そう報道されていましたが、AFPから配信された過去と現在の比較写真を見ると、重要な遺跡がいくつも破壊されています。何でこんなことするかなーと悲しい気持ちになります。

http://www.independent.co.uk/voices/im-from-palmyra-and-i-can-tell-you-after-what-ive-seen-that-the-assad-regime-is-no-better-than-isis-a6961681.html

私の名前はMohamed Alkhateb。パルミラで生まれ育った。ホムスの大学に通っている最中に民衆蜂起が起きた。私は故郷に帰らなければならないと思った。私と私の友人は「Palmyra Coordination」を設立して、自由を求める民衆の平和的デモを導き、互いの協力体制を助長した。しかし、治安部隊が市内に入り込み、デモは何千と膨れ上がり、加熱した民衆を我々の手ではどうすることもできなかった。そしてデモに参加した民衆の多数が殺害された。 続きを読む

5年目を迎えた民衆蜂起-It’s a war on normalcy-

シリアの報道が過熱する中で、全ての記事に目を通すことは僕にはできません。なので、もしかしたら、僕が見落としていただけかも知れませんが、ここ1年ほど海外メディアからの現場報道がなかったのですが、遂にCNNがやってのけました。もちろん、アサド政権側からの取材はありましたが、そうではなく、反体制派エリアからのルポでは久しぶりです。

http://edition.cnn.com/2016/03/14/middleeast/syria-aleppo-behind-rebel-lines/index.html

Clarissa Ward記者。女性です。ニカブで顔を覆い隠して、拘束や誘拐の危険性を除去しています。場所はイドリブとアレッポ。イドリブはここ最近、自由シリア軍とヌスラ戦線が揉めています。アレッポはブログでも紹介したように、現在アサド政権が支配地域を広げ、唯一使える反体制派のルートは一つだけ。空爆で負傷する市民、憤慨する市民、戦闘員や医師、彼らはシリアの惨状を世界に伝えようと必死です。少し長文ですが、シリアを外からではなく、内から理解する非常に参考になる記事です。 続きを読む

白いヘルメットの救助隊ー追加ー

命がけの救出作業に尽力する白いヘルメットの方々について追記です。

http://europe.newsweek.com/white-helmets-syrian-civil-war-418001

トルコとの国境沿いに集まった訓練生の職種は様々である。学生、教師、八百屋、農夫。彼らはこれから緊急救助隊、Syrian Civil Defenseの隊員になるため訓練を受けます。通称、白いヘルメットと呼ばれる市民防衛隊は中立的で非武装を掲げています。

訓練所には焼け焦げたバスや壊れた建物が見られ、それらは実際の現場を再現したシミュレーションとして利用されます。正確な場所は非公開とされ、隊員、訓練生の名前を聞いても、大半がファーストネームだけ答えます。なぜなら、この地域にはイスラム国のスパイが潜り込んでいるからです。 続きを読む

飢えに苦しむ人々ーさらに追加ー

マダーヤでの惨状がツイッターやフェイスブックを通して、世界に知れ渡り、状況が多少でも改善されたことは、大きな一歩だと僕は思います。すごく大きな一歩です。なぜなら、何年にも渡って、現在でも続いている惨状はマダーヤだけではありません。大半の地域が見捨てられている中でのマダーヤが救われたことは前進ではあります。果たして本当に救われたのかはまだまだ状況を見ない限り、分かりませんが。

http://www.nytimes.com/2016/01/15/world/middleeast/madaya-syria.html

Nisrineは包囲された町、マダーヤで教師をしていました。しかし、数週間前に教師を辞めざるを得ませんでした。なぜなら、学校に通えないほど子供たちが飢えに苦しみ、やせ衰えていたからです。病院では経口補水液を患者に与えるのがやっとで、雑草でスープを作り飢えを凌いでいました。 続きを読む