シリアのおさらい

シリア情勢は複雑だと一般には言われています。確かにその通りなのですが、民衆蜂起から現在に至るまで、時系列で物事を眺めていくと、それほど道に迷うことなく、すんなりと理解できます。ただ、2011年3月から現在までのシリアでのニュースを拾い集めるとなると、膨大な労力と時間が費やされます。仮に今、2016年9月、「シリアを勉強しよう!」と思った方がいるとしたら、それは大変な作業になります。2012年3月からシリア情勢を眺め続けている僕でも、何とか追いつけている状態です。息切れしてます。こんな記事を見かけたので、補足を交えて紹介したいと思います。

http://www.nytimes.com/2016/09/19/world/middleeast/syria-civil-war-bashar-al-assad-refugees-islamic-state.html

1 シリアで行われている戦争とは何か

今行われている戦争は4つの層で構成されています。まず最も核となるのがアサド政権と反体制派です。さらに両者はシリア人と外国人で組織されています。両者の基本的な意見の相違はアサド大統領を政権から追い出すか、残留させるかです。

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自信を深めるアサド政権と今後の行方

一匹のサソリが川岸を歩いていました。サソリは対岸に渡るため、一匹のカエルに声を掛けました。「俺を背負って、向こう岸に連れて行ってくれないか」。カエルは言いました。「嘘言うな。そんなこと言って、川の中ほどに来たら、刺すつもりだろう」。サソリは言いました。「そんなことあるわけないじゃないか。お前さんを刺したら、俺も溺れちまう」。カエルはその話を聞いて、それもそうだなとサソリの頼みを聞いてあげました。しかし、川の中ほどでカエルは激痛を感じました。「どうして、俺を刺したんだ。君も溺れるのに」。サソリは寂しそうに答えました。「本能だから仕方がなかったんだ」。

http://www.nytimes.com/2016/03/23/world/middleeast/bashar-al-assad-syria-russia-west.html?ref=middleeast&_r=0

記事の中で紹介されていた諺です。どうやらベトナムの寓話らしいです。シリアで言えば、サソリはアサド政権、カエルはロシアに例えられています。そして今、サソリを乗せたカエルは泳いでいる最中です。カエルは常にサソリに命を狙われているが、サソリはカエルを刺せば、溺れて死んでしまう。 続きを読む

暗躍する大国ーイランー

シリアでの民衆革命から4年半が経過しても、事態は悪化するばかりで、沈静化する兆しが見られません。特に現在もアサド政権は健在です。そのアサドを影で支えているのが、暗躍する大国たちです。今はロシアがラタキア、タルトゥース辺りに滑走路を建設したり、戦闘機を配備して、話題になっています。イランについて書かれた記事を見かけましたので、紹介できたらと思います。ガーディアンです。

http://www.theguardian.com/world/2015/sep/21/irans-shadowy-influence-in-syrias-maelstrom-fuels-paranoia-and-wariness

ダマスカスのイラン大使館の一室でMohammed Reza Shaybani大使は「外国はシリアに関与してはいけない」とガーディアンの記者に言った。「我々はシリアの主権と領土保全を尊重しなければいけない」。イランの立場を大使はこう説明する。「イランはシリアに内政干渉をしているのではない。アサド政権との関係は歴史的、戦略的なものである。我々の役割はテロリストと戦うアサド政権に助言を行う程度の限られた関係、ただそれだけだ」。 続きを読む

和平交渉の意義

イランと欧米との話し合いに関しては、特に詳しい報道を見ているわけではないので、語ることはできませんが、シリアでの体制派と反体制派との和平交渉、延期が続いていますが、なぜこれほど固執するのか僕には分かりません。とりあえず、化学兵器使用の罪人を交渉の場に招くなど正気の沙汰であり、招くのならば国際司法裁判所の方が適切です。というのは個人的な意見なので、和平交渉に関する記事を読んで、その大切さを実感できればと思います。

http://www.huffingtonpost.com/2013/11/25/syria-peace-talks-iran_n_4338841.html?1385410496

イランの核活動を遅らせることで妥協に至った今回のイランと欧米との協議。全てのものが今回の核協議を一つのお手本としてイランを含めた形で動き出すだろうと専門家が指摘しています。アメリカとロシアが主導するシリアでの暴力を停止するための和平交渉「ジュネーブ2」。バン・ギムン国連事務総長が1月22日に開かれるだろうと月曜日に声明を発表しました。「この機会を逃すことは許されることではないだろう」と力強い決意を述べています。 続きを読む

暗躍する大国-イラン-

ここ数日で、シリア情勢を巡る攻防が一段と激しさを増しています。地上戦は相変わらずですが、反体制派への武器援助を巡る意見の対立も表面化しています。アメリカが今になって化学兵器使用による「RedLine」を持ち出して、反体制派への武器の供与に動き出しました。昨日はキャメロン首相とプーチン大統領との会談がありましたが、物別れに終わったようです。アメリカの武器援助。きな臭いなあ。ヒズボラがクサイルを陥落して、アレッポにまで触手を伸ばし始めた。ヨルダンにもアメリカの海兵隊やら戦闘機やらパトリオットやら・・・飛行禁止区域の設定なんて話も出始めてるし、イスラエルが怪しい、裏で糸引いてる気がする。という陰謀論的な話をできるほど僕は中東の情報通ではないので、イランに関する記事を今回は紹介します。

イラン大統領選挙、保守穏健派とされているロウハニ氏が過半数を獲得して大統領に選ばれました。今後のイランの動きは気になりますが、シリアとの関係性はどうなるのだろうか。 続きを読む

政治的解決の行方

シリア関連のニュースを処理していますが、終わりが見えない。周辺国の情勢の分析なんて出来そうにありません。2日前からトルコの春!?が勃発している。アサドがほくそ笑んでいるのが目に見えるようです。クサイルの戦況は逼迫しており、一進一退の攻防が続いているようですが、政府軍が優勢を保っていることに変わりはありません。

終わりの見えない内戦に終止符を打つべく開催されるはずの平和会議に暗雲が漂っています。先週の月曜日、EUが武器禁輸の解除を決定しました。これにより反体制派への武器の提供は事実上可能となりました。ただし、実際に行われるかどうか不透明です。この決定に真っ先に異を唱えたのがロシアです。戦闘機や対空ミサイルをアサド政権に供与する。この脅し文句に反体制派の武装化に積極的なイギリスやフランスは二の足を踏みました。

ロシアが提供すると見られる対空ミサイルは「S-300」。空域を侵害する目標物にミサイルを撃ち込み撃破する。飛行禁止区域を設けて空爆を行うリビア型の戦闘形態は、S-300が仮に配備されれば厳しくなるのは必至です。既にシリアを空爆しているイスラエルも神経を尖らせている懸念事項です。イスラエルの国防相のMoshe Yaalonはこう述べています。

“The deliveries have not taken place, and I hope they do not. But if, by misfortune, they arrive in Syria, we will know what to do,”

背筋が凍りつくような発言。ヒズボラが本格的にシリアの内戦に関与し、アサド政権と共闘していることが明白となっている今、隣国イスラエルは半端ない苛立ちを胸中に抱えていると思われます。それに輪を掛けるかのようなロシアの態度にイスラエルは怒り心頭といったところでしょう。

大国同士の駆け引きは僕は苦手です。実際にメディアで報道されるのは上辺だけで、奥深いところに彼らの利害の絡んだ思惑が渦巻いていることだと思います。特にシリアは取り巻く環境が非常に複雑です。とても僕には付いていけそうにないです。未来の不確定な要素をアレコレと思案するより、過去の既に起きてしまった事実を検証する方がまだ楽です。

シリア、第二の都市アレッポにヒズボラが2000人ほど戦闘に加わっているみたいです。クサイルが陥落した暁にはヒズボラは勢力を拡大して、自国の民であるレバノンのシーア派住民の保護だけでなく、シリア国内のシーア派、アラウィ派の住民にも手を差し伸べようと目論んでいるようです。イランの革命防衛隊もそうですが、イラクのシーア派の部隊もダマスカスに集結している情報もあり、どこまでが事実なのか判断に迷います。

ああ、早く出たい。出る予定は一切ありませんが。取材費云々お金の問題よりも、死にたくないからです。今のシリアを取材している記者の方々には敬意を払うしかない。シリアの情報をこうして毎日のように見られるのも、命がけの取材に徹している記者や写真家がいるからです。いつになったら、終わるのだろうか。終わったら、僕も行こうかな。

参考サイト

http://www.washingtonpost.com/world/middle_east/hezbollah-boosting-assads-forces-in-northern-syria/2013/06/02/3bb59c7e-cb9e-11e2-8f6b-67f40e176f03_story.html

http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-syria-international-20130529,0,5432680.story

混迷するシリア情勢

数日前にシリアとの国境に近い町、ハタイ県に属するレイハンリで車爆弾が炸裂しました。市内の市民ホールと郵便局前で2度の爆発。死者は46名、負傷者は100名を越えます。僕は去年の11月、レイハンリからシリアのイドリブ県に入国しました。国境は鉄条網で覆われていますが、完全なザルです。検問に向かうと、トルコ兵が「ここは閉鎖中だから、入国は出来ない」と僕とフィクサーに告げました。「ただ、あそこからなら入れるけどな・・・」と指差した方向には鉄条網が捻じ曲げられて、ポッカリと穴が空いている。当時はそんな感じでした。ただ今回のテロを受けて、現在はレイハンリから容易くシリアに入国できるかは不明です。レイハンリ自体、シリアのような雰囲気です。イドリブやアレッポから逃れてきた難民、これから聖戦に向かう自由シリア軍、彼らを後方支援する医師や商人、そして彼らを快く思わない現地人。テロの実行犯が誰なのか、容易な判断は下せません。今のシリア、周辺諸国を巻き込み、様々な思惑が国家から個人に至るまで蠢いています。ちなみに、レイハンリに行きたい!ここからシリア入りしたい!そんな無謀な方のために、安価な交通手段を書き記します。イスタンブールから長距離バスでアンタキヤまで向かう。アンタキヤからミニバスでレイハンリ。以上です。

CNNが分かり易くシリアの情勢を説明していました。タイトルは「5 reasons Syria’s war suddenly looks more dangerous」と題された記事です。冒頭部分でシリアの状況をソマリアに例えています。ソマリアと言えば、「無政府国家」の代名詞のような存在。そのソマリアを押し退けて、今のシリアは「無政府国家」の頂点に君臨しています。 続きを読む