誰のための空爆か???

お久しぶりです。シリア関連というよりイスラム国関連でしょうか。日本のメディアも騒がしいですね。ただ残念なのは、イスラム国の現地での状況を伝えられる世界でも数少ない方々が今後のシリアでの調査、取材等々に支障をきたすのではと心配しています。

母国語が日本語であるため、海外のニュースに目を通してシリア情勢を追いかける方はごく限られています。今回のイスラム国も日本人が絡まなければ、ここまでイスラム国のことが話題になることもなかったでしょう。 続きを読む

ホラーサーン(Khorasan/خراسان)

アメリカが遂にシリアを空爆しました。ダマスカス郊外で化学兵器使用により千人を超える死者を出した際にも空爆を躊躇したオバマ大統領がイスラム国を自国並びに国際社会の脅威だと位置づけて有志連合を結成、形骸化した安保理決議も無視して空爆に踏み切りました。僕はシリアと関わることで中東を徐々に理解してきました。それでも分からないことだらけです。特に大国の思惑には頭を抱えています。

今年の4月末から5月末まで約1か月間シリアに滞在しました。頻繁に顔を合わせたのはムジャヒディーン軍とイスラム戦線です。彼らの会話の中で度々「イスラム国」と「ヌスラ戦線」の話題が顔をのぞかせます。しかし、両者と接触を持つ機会は訪れませんでした。ただ反体制派組織の大半がイスラム国を罵倒し、ヌスラ戦線を賞賛していました。前置きはここまでとして、今回の空爆の対象になった「ホラーサーン」について書き綴りたいと思います。 続きを読む

シリア情勢

イスラエルの影に隠れているシリア情勢ですが、最近の出来事を読み解きたいと思います。とはいっても、帰国してからバタバタしっぱなしで、僕もシリアの動向にはそれほど詳しくありません。そんなときに役立つのがロイターです。

http://www.reuters.com/places/syria

ここを見れば、大ざっぱなシリアの動きが目で追えます。政治的な動きとしては、国民連合と国際連合のトップが入れ替わったことでしょう。

シリア国民連合の議長に選出されたのは Hadi al-Bahra氏です。1959年、ダマスカス生まれ、サウジアラビアで病院、メディア、ソフトウェア関連の会社を経営するビジネスマン。「我々の革命の根幹は揺るがないだろう。我々が求めるものは自由と尊厳である」とイスタンブールの記者会見で述べています。そんな彼は今年1月末から2月中旬の和平会議「ジュネーブ2」の責任者を務めていました。 続きを読む

ダマスカスからの声

まったくついていけない。情報の流れが速すぎます。軍事介入が行われるかどうか、その流れを目で追うことはあきらめました。ツイッターの呟きを参考にするぐらいにします。議会で否決されたとか、議会での承認が必要とか、艦艇が何隻配備されたとか、限定的空爆に留まるとか、空爆の日程はいついつだとか、標的はナンだとか、もう僕の頭がワーってなっちゃいます。特にブログだと数日前の記事なんか掲載しても、既に過去の遺物として処理されちゃうので、目まぐるしく動く昨今のシリア情勢、専門家の方々にお任せします。それにここまで大々的にシリアが脚光を浴びると、国内のメディアでもある程度の事情が把握できます。わざわざ海外からニュースを紐解く必要もないかなと思います。でも一つだけ記事を紹介したいと思います。かなり意訳しています。

http://www.latimes.com/world/middleeast/la-fg-syria-damascus-scene-20130901,0,1558019.story

シリアへの軍事介入に議会の承認を求めたオバマ大統領の決定はダマスカスの住民に一定の猶予を与えた。しかし、長くは続かないだろうと大半の住民が怯えている。化学兵器使用による報復措置に向けた軍事介入の手続きは着々と進んでいる。 続きを読む

来週の事を言えば鬼が笑う

シリア情勢の先を見据えた憶測ほど当てにならないものはないと思います。これまでいろいろと報道されてきた中で、投げっぱなしのまま回収されることのない報道が多数あるように感じます。それだけシリアの先行きは見通せないほどカオス化しているということです。

http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/10265765/Navy-ready-to-launch-first-strike-on-Syria.html

おお!って記事です。アメリカと共に英国がシリアに向けて巡航ミサイルを発射するための用意がある。既に巡航ミサイルの着弾候補地をリストアップするという最終局面にまで達しているそうです。政府筋の話によれば、英首相とオバマ大統領も含めた他国の指導者との協議は続けられており、早ければ来週中には何かしらの軍事行動に打って出るという算段が整えられつつある。 続きを読む

Médecins Sans Frontièresからの報告

各国のメディアがMédecins Sans Frontières(MSF)からの報告を取り上げていたので、ブログでも紹介できればと思います。

http://www.msf.org/article/syria-thousands-suffering-neurotoxic-symptoms-treated-hospitals-supported-msf

MSFが支援するダマスカスの政府管轄区の3つの病院で、化学兵器の使用が確認された水曜日の午前中だけで、神経性の症状を訴える患者をおよそ3600人受け入れたことを明らかにした。その中で、既に355人が命を落とした。

2012年からMSFはダマスカスの行政区にある病院やクリニック、医療関係者と連携を取りながら、薬剤、医療設備、医療技術の提供を行ってきた。内戦が激化し、MSFのスタッフが現地で直接活動することはできない。安全面を考慮してのことである。しかし、現地の医療関係者との繋がりから、今回の報告を受けた。患者に見られる症状は、「けいれん、ひきつけ」、「唾液分泌の過多」、「眼球の縮瞳」、「視界の狭窄」、「呼吸器疾患」などが上げられる。 続きを読む

What is to be done?

6月も今日で終わりか。来月、政府側と反政府側との話し合い「ジュネーブ2」は開催されるのだろうか。最近は、レバノン、第二の都市トリポリ、第三の都市シドン、宗派間抗争が激しさを増しています。シドンには足を運んだことはありませんが、トリポリには滞在したことがあります。旧市街の迷路のように入り組んだスークがダマスカスを彷彿とさせ、懐かしみを覚えました。でもレバノンの話題はとりあえず隅の方に置いておいて、シリアに移ります。

http://www.crisisgroup.org/en/regions/middle-east-north-africa/egypt-syria-lebanon/syria/143-syrias-metastasising-conflicts.aspx?utm_source=wu28june13&utm_medium=syria-report&utm_campaign=wuemail

International Crisis Group(ICG)からのシリアに関するレポート。冒頭でシリアでの血なまぐさい紛争(horrendous war)を解決するための4つの選択肢が提示されています。一つ目はリビアのような西欧による軍事介入により反政府軍の勢力図を拡大させること。二つ目は政府軍の勝利を受け入れ治安を改善させること。三つ目がアメリカとロシアの外交的解決策を模索すること。四つ目が政府側と反政府側、双方に海外勢が与して、シリア人を将棋の駒のようにして戦わせること。つまり代理戦争。既にその兆候は現時点で見え隠れしていますが。

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外国からの贈り物

「Syrian rebels claim delivery of new weapons」

こんなタイトルの記事がアルジャジーラにありました。えっ、何?すっごいの手に入ったの?G8では反体制派への武器供与に関して、欧米とロシアとの主張がかみ合わず、もの別れに終わり、しばらくは膠着状態が続くのかなあ~なんて思っていた矢先に、この見出し。水面下では着々と武器支援の工程表が出来上がっていたのかと思い、ワクワクしながら記事に目を通しました。

http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2013/06/201362113326945851.html

この情報をもたらしたのは、自由シリア軍の広報官であるLouay Muqdad氏である。彼によれば、同盟国から「新たなタイプの武器を受け取った」と述べ、その他にも「既に前線に送り届けている最中である」、「(この武器によって)戦況は大きく変わるだろう」、「さらに近々、追加のブツが届く予定である」、と意味深な発言をしている。ブツが何なのか。ブツはどこから送られてくるのかは明言を避けている。さらにワシントン発行の新聞「THE HILL」でも同様の記事が配信されていた。 続きを読む

化学兵器-追加-

レバノンの首都ベイルート郊外にロケット弾が着弾しました。まあ、それは日本のニュースでも報じられているので、別にいいとして。ちなみに首都ベイルートからバスで僅か2時間ほどの距離にある都市トリポリ。こちらは既に宗派間抗争が激化しており、スンニ派とアラウィ派が互いにバチバチと火花を散らしています。3日前にトリポリの知り合いから、市内にはレバノン軍の装甲車が隊列を成して走行し、夜間から明け方にかけて銃声が止まないそうです。

来月、国連主催でロシアとアメリカが牽引した体制派と反体制派との話し合いが開催される予定です。まったく無意味だと思いますが、それより、「化学兵器使用」に関する問題はどうしたのだろうかと疑問に思います。白か黒かはっきりしていない状態のまま放置されています。オバマが力強くお立ち台の上で「RedLine」と明言した化学兵器の問題はどうなったのだろうか。まるで臭い物に蓋をするかのように、気がつけば、「政治的解決」を目指した会議が組まれている。首を傾げざるを得ません。大国の思惑には僕はついていけない。 続きを読む

今後のシリアの行方

シリア情勢を眺めていると、中東がどれほど複雑な地域なのかを痛感させられます。もちろんこれまで訪れた紛争地にも複雑な要素は絡み合っています。宗教、領土、民族、貧富、互いの利害関係も含めて、決して譲歩することができない部分が火種となって、紛争へと発展しています。シリアもそれは変わりませんが、規模がでかすぎて、ついていけない僕がいます。そもそも中東に関心を寄せたのも、シリア取材以降なんで、まだ1年足らずだし。ということで、中東専門家の方々にはこのブログは幼稚だったり、事実関係と異なっていたり、鼻で笑われる部分もあるとは思いますが、誤りがないようにあくまで主観は出来る限り控えて、海外の記事の引用を中心に更新していくように心掛けています。あとシリアに無関心な方に少しでも興味を抱いてもらえればと願っています。

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