停戦の行方

http://www.aljazeera.com/news/2016/09/syria-scores-killed-air-strikes-truce-deal-160910135209691.html

昨日、イドリブ市でロシアによる空爆がありました。標的にされたのは住宅街と市場です。イード(犠牲祭)を目前にして、市場には多くの買い物客がいました。死者は55人に上りました。さらにアレッポでは9人の子供を含めた46人が政府軍の空爆で犠牲になりました。これらの攻撃はアメリカとロシアがシリア内戦の終結に向けた協議に進展があったことを告げた、数時間後の出来事です。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/syria-peace-russia-us-assad-isis-al-nusra-a7236361.html

アメリカとロシアとの協議、その結果で導き出されたシリア内戦終結への道。仮に実行に移されるとしたら、大きな進展です。ロシアはアサド政権に反体制派地域への空爆を止めるように圧力をかける。なぜならアサド政権の空爆の最大の犠牲者は戦闘員ではなく一般市民だからです。ケリー国務長官は述べます。

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自由シリア軍とヌスラ戦線との深まる軋轢

停戦以降、シリア各地で反政府デモが盛り上がりを見せました。民衆蜂起の熱気を彷彿とさせるような反政府集会です。しかし、イドリブ県ではこのデモを巡って、穏健派と呼ばれる自由シリア軍とアルカイダ系勢力であるヌスラ戦線が対立しました。僕もツイッターで軽く見ていた程度ですが、結構、現地では大きく揉めているようです。その詳細を見ていきたいと思います。

http://foreignpolicy.com/2016/03/29/the-syrian-revolution-against-al-qaeda-jabhat-al-nusra-fsa/

FSA(自由シリア軍)のDivision 13を率いるAhmed Saoud大佐はトルコの港湾都市であるイスケンデルンでインタビューに答えました。「デモは日を追うごとに規模は大きくなっていく。我々は1週間ほどで町に戻り、アルカイダの野獣、ロバどもを町から追い出す」。この町というのはイドリブ県に位置するMaarat al-Nu’manです。 続きを読む

5年目を迎えた民衆蜂起-It’s a war on normalcy-

シリアの報道が過熱する中で、全ての記事に目を通すことは僕にはできません。なので、もしかしたら、僕が見落としていただけかも知れませんが、ここ1年ほど海外メディアからの現場報道がなかったのですが、遂にCNNがやってのけました。もちろん、アサド政権側からの取材はありましたが、そうではなく、反体制派エリアからのルポでは久しぶりです。

http://edition.cnn.com/2016/03/14/middleeast/syria-aleppo-behind-rebel-lines/index.html

Clarissa Ward記者。女性です。ニカブで顔を覆い隠して、拘束や誘拐の危険性を除去しています。場所はイドリブとアレッポ。イドリブはここ最近、自由シリア軍とヌスラ戦線が揉めています。アレッポはブログでも紹介したように、現在アサド政権が支配地域を広げ、唯一使える反体制派のルートは一つだけ。空爆で負傷する市民、憤慨する市民、戦闘員や医師、彼らはシリアの惨状を世界に伝えようと必死です。少し長文ですが、シリアを外からではなく、内から理解する非常に参考になる記事です。 続きを読む

飢えに苦しむ人々ーさらにさらに追加ー

“open-air prisons”。包囲された町は天井のない監獄と同等です。今週の火曜日、「Save the Children」が包囲網の中で苦しむ人々の様子を伝える報告書を出しました。いくつかのメディアでそのことに関しての記事が出ています。ここでは「independent」と「nytimes」から引用したいと思います。

http://www.independent.co.uk/news/world/europe/syria-civil-war-quarter-of-a-million-children-in-syria-at-risk-of-starvation-a6919761.html

http://www.nytimes.com/2016/03/09/world/middleeast/report-paints-dire-picture-of-besieged-syria-as-war-enters-6th-year.html

18の異なった地域でアサド政権、または反体制派によって包囲され、486700人の人々が飢えの脅威にさらされています。別の支援団体からの報告では190万人になるかもしれないという統計も出ています。しかし、停戦が発効した2月27日以降、いくつかの町や村に支援物資が搬送されました。15万人に食料や医薬品、燃料が届けられましたが、一時的なもので、支援ルートが完全に開放されたわけではありません。数週間分の食料が運び込まれただけで、その先は不透明です。 続きを読む

停戦後の東グータの行方

アラビア語に触れない生活を10カ月ほどしていました。たまに現地のシリア人と会話をする際と週1回のアラビア語の授業を除いて。でも2週間ほど前から勉強を再開しました。特に理由はないのですが、時間を持て余していたので。なので、ブログは停滞してしまうかもしれません。ただシリアのニュースは毎日のように流れてきます。一時的な停戦が結ばれましたが、早速停戦違反の空爆が各所で行われているようです。

https://now.mmedia.me/lb/en/NewsReports/566674-regime-warns-residents-of-besieged-damascus-suburbs

停戦後、ダマスカス郊外の反体制派地域(東グータ)にアサド政権が上空からビラを撒きました。 続きを読む

シリアのスターリングラード-ホムス-

端折りながら(理解できない箇所など)の意訳になりますが、ホムスの現状です。原文が生々しい文体で書かれているので、ぜひ英語が多少でも出来る方は、こちらから直接目を通していただければと思います。なぜ生々しいかといえば、記者が直接現場に訪れているからです。

http://foreignpolicy.com/2015/12/23/syrias-stalingrad/

革命の象徴都市、ホムスは4年以上にも続く戦闘により廃墟と化した。建物はぼろきれのように崩れ落ち、窓枠は風見鶏のようにキーキーと音を立てる。人と言えば、市内を巡回する政府軍だけ。通りに面した建物からは住民の暮らしの痕跡も見受けられるが、それらは徐々に風景の中に溶け込み、10フィートもの雑草がコンクリートの隙間から顔を出す。

シリア政府の見解に限れば、ホムスでの戦いは終結した。1年以上前に反体制派勢力はホムス旧市街での戦闘に敗れた。今月、唯一の反体制派の支配地域、al-Waerはアサド政権と停戦を結んだ。この停戦の合意を国連は好意的に受け止めた。一つの象徴的な革命の町に平和が訪れたことを歓迎した。 続きを読む

停戦合意-ダマスカス郊外からのレポート-

「まさか死ぬわけがない」。駆け出しの頃、こんな軽い気持ちで取材を行っていました。しかし、何度か危険な経験をすることで考え方も変わりました。現在は「死ぬかもしれない」というスタンスで取材を行っています。ただシリアの現状は僕の手には負えません。乾坤一擲の決断を下してシリアに乗り込む。そんな気概は僕にはありません。「死ぬかも」じゃいけない。今のシリアを取材するために必要な心持は「死ぬ覚悟」です。

以前からダマスカス周辺の停戦合意はたまに報じられていました。例えば樽爆弾が降り注いでいるダーリーヤ地区、化学兵器が使用され、住民が飢餓に苦しんでいるマーダミーヤ地区、ドゥーマ地区でも政府軍が話し合いのために丸腰で反体制派と接触している動画なんかもありました。ただどれも失敗に終わりました。双方が提示する条件の食い違いと互いの不信感や憎悪が障壁となりました。例外的な地区ももちろんありますが。しかし、先日、いくつかのメディアである地区が停戦に合意したとの報道がありました。それについて詳しく見ていきたいと思います。 続きを読む

兵糧攻め-追加-

http://www.latimes.com/world/la-fg-syria-aid-20140205,0,6145120.story#axzz2sRHI6xGR

今週の火曜日、ヤルムーク地区の包囲網が一部解除されました。かつては200000人の住民が暮らしていたヤルムークの人口は18000人ほどまで減少。前回の限定的な救援物資の搬送を越えて今回は多くの住民がヤルムーク地区から別の地区へと避難しているようです。ただし、女性、子供、高齢者が大半です。

「小さな一歩だ。だが、ヤルムークをきっかけにして、より多くの人々に支援の手が差し伸べられることを願っている」

赤新月社のスタッフRazan Jaradehは述べています。現在も政府軍の包囲網によりシリア全土では約250000人の人々が過酷な環境で生きながらえています。しかし、事情は複雑です。政府側は反体制派が住民の避難を制止していると非難しています。「人間の盾」として利用しているわけです。 続きを読む

マーダミーヤ包囲網

数日前、トルコ在住の知り合いがマーダミーヤに現在も残る彼の友人とネット経由(携帯かもしれませんが)、話をしたそうです。その友人、いつからかはっきりとは分かりませんが、少なくとも1ヶ月以上は、まともな食事を摂っていないそうです。何を食べているのか。草とオリーブだけです。そのマーダミーヤに一筋の光?影?が薄っすらと差し込みました。

マーダミーヤはブログでも何度か取り上げましたが、ダマスカス近郊の地区です。化学兵器が使用された場所としても知られていますし、お隣のダーリーヤ地区と共にメッゼ軍事空港が目と鼻の先にあるため、容赦のない砲弾が雨のように降り注いでいます。去年、マーダミーヤはFSAの手に落ちました。以降、熾烈な戦闘が日々続いていましたが、陥落する気配が見られない。そこで政府軍は兵糧攻めに乗り出しました。町の周囲を軍で固めて、FSAだけでなく一般市民もろとも完全に孤立化させる。現在は、子供や老人が多数餓死しているほど状況は深刻です。数千人が閉じ込められていると一部では報じられています。 続きを読む