シリアのスターリングラード-ホムス-

端折りながら(理解できない箇所など)の意訳になりますが、ホムスの現状です。原文が生々しい文体で書かれているので、ぜひ英語が多少でも出来る方は、こちらから直接目を通していただければと思います。なぜ生々しいかといえば、記者が直接現場に訪れているからです。

http://foreignpolicy.com/2015/12/23/syrias-stalingrad/

革命の象徴都市、ホムスは4年以上にも続く戦闘により廃墟と化した。建物はぼろきれのように崩れ落ち、窓枠は風見鶏のようにキーキーと音を立てる。人と言えば、市内を巡回する政府軍だけ。通りに面した建物からは住民の暮らしの痕跡も見受けられるが、それらは徐々に風景の中に溶け込み、10フィートもの雑草がコンクリートの隙間から顔を出す。

シリア政府の見解に限れば、ホムスでの戦いは終結した。1年以上前に反体制派勢力はホムス旧市街での戦闘に敗れた。今月、唯一の反体制派の支配地域、al-Waerはアサド政権と停戦を結んだ。この停戦の合意を国連は好意的に受け止めた。一つの象徴的な革命の町に平和が訪れたことを歓迎した。 続きを読む

シリアの今を伝える-日々殺される人々-

シリアで今何が起こっているのか。そうブログに書き込んだものの、シリアの今を伝えることは容易なことではありません。シリアでの民衆蜂起から泥沼の内戦に至るまで4年近く続く混沌とした状況は外部の人間から見たら嫌気がさします。内戦の構図も複雑です。反体制派vsアサド政権。革命当初の単純な構造が今やイスラム国、クルド、アルカイダ系のヌスラ戦線、それに続くイスラム戦線、ムジャヒディーン軍、欧米寄りの穏健派勢力、アサド政権にはヒズボラ、イランの革命防衛隊、さらに周辺諸国から大国まで巻き込んでの戦争です。

僕が伝えられることは何かと考えても、何も思い浮かばなかったので、ここ数日に起きたテロを3件書き込みます。シリアでは日常茶飯事の出来事です。虐殺が常態化して何の関心も呼び起さないありふれた光景です。動画も掲載しますが、全て自己責任で閲覧してください。+18です。 続きを読む

兵糧攻め-追加-

http://www.latimes.com/world/la-fg-syria-aid-20140205,0,6145120.story#axzz2sRHI6xGR

今週の火曜日、ヤルムーク地区の包囲網が一部解除されました。かつては200000人の住民が暮らしていたヤルムークの人口は18000人ほどまで減少。前回の限定的な救援物資の搬送を越えて今回は多くの住民がヤルムーク地区から別の地区へと避難しているようです。ただし、女性、子供、高齢者が大半です。

「小さな一歩だ。だが、ヤルムークをきっかけにして、より多くの人々に支援の手が差し伸べられることを願っている」

赤新月社のスタッフRazan Jaradehは述べています。現在も政府軍の包囲網によりシリア全土では約250000人の人々が過酷な環境で生きながらえています。しかし、事情は複雑です。政府側は反体制派が住民の避難を制止していると非難しています。「人間の盾」として利用しているわけです。 続きを読む

兵糧攻め

アラビア語の勉強を始めて1年半ほどになります。独りぼっちで頑張ってきましたが、週一回の授業に通うことになりました。まだ1回しか参加していないのですが、何とかついていけそうな気がします。ただ本当にこの言語を多少でも扱えるようになるのか不安です。外見はシンプルなんだけど、中身は複雑で、精密機器みたいな言葉。ちなみに英語に関しては、このブログが役立っています。いい加減なことが書けないので、辞書を片手に丁寧に読み解いています。

余談でした。和平会議、進展がないようですね。期待している人がどれほどいたのか疑問ですが。以前からブログでも何度か取り上げている「兵糧攻め」に関していくつかの記事を拾い読みしたいと思います。結構、どのメディアでもこの話題は様々な角度から報じられているので。 続きを読む

クサイル陥落後のホムスの現状

エジプトが燃え上がってる。これだけメディアで大々的に取り上げられるエジプトの今回の政変劇、中東にとっては見過ごすことができない重大な出来事なのか。中東に関わって僅か1年足らず、シリアの情勢を理解しようともがいている僕にとって、エジプトの影響力がどれほどなのか、計り知れず。ただ、先月の中ごろ、モルシ大統領が民衆を前にして、アサドとの決別を宣言し、聖戦に向けた反体制派へ支援が着々と進められていたかのように思われたけど、今回の一件で停滞しちゃうのか。「エジプトはナイルの賜物」。一度は足を運んでみたいなあ。

それでシリアに移ります。エジプトの影に隠れて目立った報道がされていませんが、シリア第三の都市ホムスが火を噴いています。反体制派から流れてくる動画は鳴り止まない銃声と数分間隔で飛来する砲弾、その中で暮らす市民の嘆きと破壊され尽くした町の様子。内戦に突入して以降、ホムスは絶えず激しい攻撃にさらされてきました。The Institute for the Study of War(ISW)からのレポートを紹介したいと思います。 続きを読む

クサイル攻防戦-追加-

「Hezbollah leader Nasrallah vows victory in Syria」

昨日、体制派がクサイルを絨毯爆撃しました。三方面からクサイルを包囲し、迫撃砲と空爆で市内各所を蹂躙しました。政府軍を支援しているのはヒズボラで、正確な数は発表されていませんが、既に数十人を越える死者がヒズボラ側に出ているそうです。彼らの遺体はクサイルから国境を越えて、レバノンに運ばれ、市民により盛大な葬儀が行われています。ヒズボラの関与は指導者であるナスラッラーが公式に認め、クサイルでの戦闘での敗北は今後のヒズボラの命運を大きく左右することになるでしょう。そのため、さらなる戦闘員がクサイルに送り込まれることは確実です。 続きを読む

クサイル攻防戦

先日、アブ・サッカルの話をしました。彼の蛮行は多くの非難を浴びました。彼自身はその後のインタビューで、「法の裁きを受ける覚悟はある。ただし、アサドと彼に従うシャッビーハも同じような裁きを受けなければならない」、「このままシリアで流血が続ければ、私のような人間はいくらでも現れるだろう」と述べています。その彼の部隊が展開している場所がホムス県のクサイルという町です。3日ほど前からクサイルでは双方による陣地の奪い合いが続いています。

双方とは体制派と反体制派です。体制派は政府軍とシャッビーハ、反体制派は自由シリア軍。それとクサイルでは体制派を後押しする強力な部隊も加わっています。ヒズボラです。ヒズボラがシリアの内戦に関与していることは以前から報道されてきましたが、小規模なものでした。しかし、クサイルが自由シリア軍の手に落ちて以降、シリア、レバノン領内のシーア派の村に迫撃砲が着弾するようになりました。死傷者も出る事態に危機感を募らせたヒズボラは(イスラエルの空爆にも神経を尖らせていたこともあり)盟友であるアサド政権を徹底的に支持することを誓います。それが先月のヒズボラ指導者のナスラッラーの演説になります。そして彼の演説は今回のクサイル攻防戦へと繋がります。クサイルを自由シリア軍から奪還すれば、少なくとも国境沿いのシーア派の村が攻撃にさらされる心配はなくなります。同時にクサイルは首都ダマスカスとアラウィ派が拠点とする地中海沿いの地域一帯を結ぶ重要な町です。ここを潰せば、反体制派への物資の補給や人員の補充を厳しくなり、政府側にとっても今後の戦況を有利に運べるようになるのは確実です。両者の思惑が合致し、クサイルは火の海に包まれました。 続きを読む