今回の件について思うこと

僕は人付き合いが苦手で、同業者同士の横の繋がりはほとんどありません。一人が好きだから、トラックのドライバーもフリーのジャーナリストもストレスを抱えることなく続けられるんだと思います。それでもシリアを取材するようになって、それも少しだけ改善され、たまーに連絡を取ったりする方がいます。

2015年6月初旬です。それまで二人の方が「これからトルコに向かいます」と連絡を受けて、待っていたのですが、二人ともトルコに入れず、僕もガッカリしていました。そんなとき、最も入れないだろうと思われていた、安田さんから連絡がありました。ハタイ県のアンタキヤに向かうと、安田さんがいました。 続きを読む

イスラム国の人質戦略

非常に残念な結果になりました。後藤さんに関して僕が感じることは、今後のシリア情勢を追えなくなった、その一言です。シリアのことを愛しているからこそ、シリアの将来の行方が気になるところです。後藤さんに限らず、シリアで殉教した老若男女問わず命を落とした方々も、今後のシリアの行方を見守ることができません。それは本人にとっては非常に悔しいことだろうと思います。

アサドと比べればイスラム国なんてちっぽけなもんだろう。僕はこう思いますが、やはり自国民が犠牲になり、はったりなのか本気なのか分からない憎悪を日本に向けられれば気持ち良いものではありません。人質に関してのNYTimesの記事を紹介します。 続きを読む

誘拐について

紛争が長引けば長引くほど、治安は乱れます。住む家を失い、職を失い、家族を失い、希望を失えば、真っ当な人間でも悪事に手を染めます。真っ当ではない人間は治安の乱れに乗じて、金の匂いを敏感に嗅ぎ付け、積極的に悪事を働きます。打開策が見いだせないまま戦闘に明け暮れている兵士たちは敵側の弱みを握るため、卑劣な手段に訴えかけます。長期化した紛争地に誘拐は付き物です。

http://www.bbc.com/news/world-europe-30838375

2014年7月にアレッポ北部で誘拐されたaid workerのイタリア人女性2人が解放されました。16日の早朝にイタリアの首都ローマの空港に降り立ち、Paolo Gentiloni外相の出迎えを受けました。1500万ドル(16億ぐらい?)をイタリア政府は誘拐犯に支払ったされるが確証は得られていません。 続きを読む

取材への道筋-ゼロからの出発-

現在、トルコのイスタンブールに滞在しています。黒海を挟んだ対岸のウクライナは今年に入り急速に事態が悪化しています。メディアの報道も日々更新されており、現地からのレポートも熱を帯びています。それに比べて、トルコと900キロに渡り国境を接するシリアの情勢は現地からの報道は激減し、国家そのものが変容して魑魅魍魎、多種多様な勢力が跳梁跋扈しています。

http://www.reuters.com/article/2014/04/20/us-syria-crisis-france-idUSBREA3J04320140420

10か月に渡りシリアに閉じ込められていたフランス人記者4人が金曜日の夜にトルコとの国境沿いの町に移送され、解放されました。実行犯はイスラム国と報道されていますが、解放された動機については曖昧模糊としたままです。フランスのファビウス外相は身代金の支払いはなかったと述べていますが、どこまでが本当なのかは分かりません。誘拐ビジネスがシリアに根を張りつつあることは間違いないでしょう。 続きを読む

カラモン攻防戦

先月、スウェーデン国籍の記者と写真家が誘拐されたばかり。今度はスペイン国籍の記者と写真家がISISに誘拐された(拘束された?)。日時は9月16日だから3ヶ月ほど前になる。その間、誘拐犯と間接的に連絡を取り合っていたらしい。場所はISISが猛威を振るうラッカ県。FSAが4人付き添っていたが、彼らも拘束され、後に釈放された。国境なき記者団が「シリアはジャーナリストにとって世界で最も危険な紛争地である」と警告している。「Nothing venture, Nothing gain」。「A wise man keeps away from danger」。僕は言わずもがな後者です。ただwiseじゃなくてcowardだけど。

参考サイト http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-25314832

何週間にも渡って繰り広げられていたカラモン山脈での攻防戦。ヒズボラの支援により政府軍がある一定の勝利を収めた。ダマスカスとホムスを結ぶ高速道路がカラモン山脈沿いに走っている。地図を見ながらの方が分かりやすい。 続きを読む

解放されたイタリア人記者

先週の日曜日、イタリア人の記者ドメニコ・クイリコ(62)がベルギー人の教授と共に解放されました。金に目がくらんだ人間による犯行によるものとされています。クイリコ記者は4月6日にレバノンからシリアに密入国し、その4日後にクサイル近辺で消息が途絶えました。彼は「自由シリア軍に裏切られた」と語っています。彼は何ヶ月にも渡り、武装勢力から他の武装勢力へとたらい回しにされました。

誘拐犯は自らを「イスラミスト」だと公言していましたが、実際のところは分からないそうです。革命の下に聖戦に加わった若者の中には「狂信者」と「盗賊団」の境目をうろちょろしている連中がたむろしています。革命と称しながらも、支配地域を奪取しては、そこで暮らす人々を誘拐して身代金を要求し、懐を潤しているというわけです。 続きを読む