イスラム国の動向

イスラム国(IS)はアサド政権と戦火を交えない。代わりに反体制派とやりあっている。これはISとアサド政権が秘密裡に同盟関係を結び、反体制派組織の壊滅に乗り出しているのではないだろうか。そんな噂がありますし、今回の取材でも大半の戦闘員が同様の見解を示していました。しかし、ここ最近になって、ISとアサド政権がガチバトルを行っています。

http://www.reuters.com/article/2014/07/18/us-syria-crisis-idUSKBN0FN0WG20140718

18日、政府軍の支配下にあるデリゾールの空港がISの襲撃を受けました。ISにとってデリゾールはイラクと国境を接する戦略的に重要な拠点です。イラクとの国境はISの掌中にあり、反体制派もデリゾールから撤退、残るは政府軍ということで、今回の戦闘に発展しました。まだ空港は政府軍の支配下にあります。 続きを読む

シリアの今後-イスラム国の動向-

日本のメディアでも大きく取り上げられているイラク情勢。ISIS(islamic state of iraq and al-sham)がイラクで猛威を振るい、次々と主要都市を政府軍から奪還しているという報告。僕はシリアが専門です。イラクに関してはさほど注目していませんでした。ただし、シリアを追い続けていれば、イスラム国の話題は避けて通れません。

今回の取材で僕がイドリブ県を経由して、アレッポまで足を運べたのはイスラム国の影響力がこれらの地域から排除されたからです。アレッポに向かう途中に通過する町の大半が元イスラム国の支配地域であり、従軍していたジェイシュ・アル=ムジャヒディーン(JM)が「ここで俺たちはイスラム国と激しい戦闘をした。何人も仲間が殺されたし、何人もやつらを殺した」と説明していました。 続きを読む

Frontline-Syria’s Second Front-

Frontlineで気合の入ったシリアルポが取り上げられていました。2013年4月9日の「Syria Behind The Lines」から1年ほどが経過しての待望の新作です。必見です。

http://www.pbs.org/wgbh/pages/frontline/syrias-second-front/#a

こちらから視聴できる方はいいのですが、僕は制限がかけられていて見られないので、Youtubeにアップロードされるのをじっと待ち続けていました。

http://www.youtube.com/watch?v=vAopr8vIIIA

2部構成となっています。「Syria’s Second Front」と「Children of Aleppo」です。 続きを読む

イラクとシャームのイスラーム国-追加-

2014年1月7日、ダマスカス郊外のドゥーマが空爆された。活動家によれば、アレッポでも使用された「樽爆弾」がヘリから投下されたらしい。TIMEに空爆直後の写真が掲載されていました。この世に生を受けて僅か数ヶ月足らずの幼児までもが犠牲になっています。

http://world.time.com/2014/01/07/assad-regime-airstrike-hits-damascus-neighborhood-say-activists/

シリア、取り上げる話題は無数にあります。2週間後に控えた和平会議、化学物質の輸送と処分、増え続ける国内、国外避難民、暴力の形態も多様化しすぎて、実態が掴めない。最近ではISISの動向が注目されています。イドリブ県、アレッポ県、ラッカ県ではFSA、イスラム戦線、イスラミスト(ヌスラ戦線など)がISISと激しく陣取り合戦をしています。 続きを読む

イラクとシャームのイスラーム国

http://www.dailystar.com.lb/News/Middle-East/2014/Jan-06/243232-islamic-front-issues-strong-warning-to-isis.ashx#axzz2pbhXUviS

アレッポではISISのメンバーが医師を殺害したことから、衝突に発展しました。Islamic Front(IF)は医師を殺害した実行犯を引き渡し、裁判にかけるようにISISに求めたところ、どうやらISIS側が拒絶して、殺し合いが始まりました。さらにイドリブ県、ラッカ県、ハマー県にも戦火が広がりました。 イドリブ県ではトルコの国境付近の町ダナとアトメからISISが撤退し、代わりにヌスラ戦線とAhrar al-ShamがIFと共に現地を支配下に置いています。活動家によれば、撤退する際に戦闘はなく、彼らは重火器を全て運び出し、アレッポに進軍しているそうです。一部ISISのシリア国籍の戦闘員がヌスラ戦線に鞍替えしたとも報じられています。 続きを読む

誰のための革命か-追加-

http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-25627344

ラッカ県では以前からFSAとISISのいがみ合いが続いていました。BBCで最近の動向が報じられています。ISISによる人権侵害は市民の感情を害しています。拷問、処刑、数百名に上る活動家、メディア関係者、西側諸国の人間の拘束。ISISに対抗する勢力として、世俗的な反体制派勢力と外国人勢力を含めたイスラミストの両者が存在します。ヌスラ戦線は中立的な立場を維持していると見られています。

日曜日から月曜日の朝まで続いた両者の戦闘により、ISISにより拘束されていた50名のシリア人が解放されましたが、100名を超える死者が出ています(シリア人権監視団による報告)。以上です。。。活動家からの報告だけでは情報は乏しい。正確性にも欠けるでしょう。 続きを読む

誰のための革命か

イドリブ県にハーレムという小さな町があります。トルコのハタイ県と国境を接するこの町に僕が訪れたのは2012年11月。町の中心部にある要塞に政府軍が篭城している以外はFSAが市内全域を掌握していました。数ヵ月後、この要塞も陥落し、歓喜に沸くFSAの姿が動画投稿サイトに掲載されていました。緑に囲まれた長閑な田舎町、この町を政府軍から奪還するために老若男女問わず多大な犠牲を伴いました。その後、ハーレムの戦況については特に注意を払ってきませんでしたが、新年早々、「まさか!」と目を疑いました。いつからかハーレムはFSAからISISの手に移っていました。そして、今月の4日、再びFSAの猛攻により、ISISから支配権を奪取しました。その際のISISからの置き土産がこれです。視聴は自己責任でお願いします。

http://www.youtube.com/watch?v=4iPZnjiGUhA

ISISによって人質に捕られていたFSAの処刑された遺体です。翻訳がされていないので、詳しい内容までは把握できません。ただツイッターの呟きなんかの情報によれば、30人から40人ほどが処刑されたようです。FSAの他にも市民が幾人か含まれているそうです。敵の敵は味方の関係も限界に達していることが見て取れます。アサドの粘り勝ちか。平和的デモ(2011年3月)→FSAの結成(2011年夏)→FSAに共感する市民の武装化→ダマスカス、アレッポでの一斉蜂起(2012年夏)→外国人武装勢力との共闘→化学兵器使用による軍事介入の危機(2013年8月)→漁夫の利を虎視眈々と狙うアサド政権←今ココ。こうして見ると、アサド政権の踏ん張りに今更ながら目を見張らざるを得ない。もちろんアサド単独ではここまで持ち堪えることは無理だったろうけど。裏を返せば、FSA単独ではアサド政権に太刀打ちできなかった。そこには外国人勢力と呼ばれる組織の後押しがある。余談が過ぎましたが、僕もここ数日のシリア北部の状況が呑み込めていません。

暗躍する大国-イラク-

「仁義なき戦場(マイケル・イグナティエフ)」。やっぱり難しい。彼の著作が実践で役立つにはまだまだ時間がかかりそう。基礎の構築が大前提なので、これから足場を固めようか。「戦争」の根源を考えることが「戦争」の理解に繋がる。歴史を振り返りながら、民族紛争、宗派抗争、国連や赤十字国際委員会の役割、なぜ戦争は終わらないのか、シリアを追いかけている僕にとって非常に有益な情報が溢れた一冊でした。まだ読みかけだけど。

先月の死者が948人。犠牲者の約9割が一般市民。シリアのお隣のイラクの話です。そのイラクとシリアとの関係を読み解けたらと思いますが、あんまりそれに関した記事が見当たりませんでした。 続きを読む

イラクとシャームのイスラム国について

以前にブログでトルコ人の操縦士がレバノンで誘拐された件を書き記しましたが、シリアで拉致されたシーア派の巡礼者のレバノン人9名と引き換えに、無事に解放されました。ただし、トルコ人を誘拐した犯行グループは不明のままです。またなぜトルコ国籍の人間をターゲットに選んだのか。つまりレバノン人を誘拐した犯行グループとトルコが密接な関係にあったからでしょう。詳しい記事は読んでいないんで、それぐらいしか語れませんが。ただ目には目を、歯には歯をの応酬はシリアを含めた周辺国をより不安定にするでしょう。それでは、FPから一つ記事を紹介できたらと思います。ISISに関してです。

アサドのしたたかな外交政策は一定の成果を上げている。対する反体制派勢力は四分五裂、手に負えない血みどろの抗争を繰り広げている。アサドが革命当初から口にしている「テロリストとの戦い」、鼻で笑われていたこの文句が現実味を帯びてシリア北部に浸透しつつある。 続きを読む

ラタキアでの虐殺

アサド政権の極悪非道ぶりばかりをこれまで伝えてきましたが、先日、HRWから反体制派による虐殺に関するレポートが発表されました。詳しい報告書もダウンロードできます。

http://www.hrw.org/node/119717

少なくとも190人以上が殺され、200人以上が人質として誘拐されました。全て一般市民です。アラウィー派が居住する村で2013年8月4日に虐殺が行われました。実行犯とされるのは、the Islamic State of Iraq and Sham(ISIS)とJaish al-Muhajireen wal-Ansar(ムハジリーン)の二組織。どちらも外国人勢力による犯行です。人質の大半が女性と子供で、まだ解放には至っていません。 続きを読む