シリアのおさらい

シリア情勢は複雑だと一般には言われています。確かにその通りなのですが、民衆蜂起から現在に至るまで、時系列で物事を眺めていくと、それほど道に迷うことなく、すんなりと理解できます。ただ、2011年3月から現在までのシリアでのニュースを拾い集めるとなると、膨大な労力と時間が費やされます。仮に今、2016年9月、「シリアを勉強しよう!」と思った方がいるとしたら、それは大変な作業になります。2012年3月からシリア情勢を眺め続けている僕でも、何とか追いつけている状態です。息切れしてます。こんな記事を見かけたので、補足を交えて紹介したいと思います。

http://www.nytimes.com/2016/09/19/world/middleeast/syria-civil-war-bashar-al-assad-refugees-islamic-state.html

1 シリアで行われている戦争とは何か

今行われている戦争は4つの層で構成されています。まず最も核となるのがアサド政権と反体制派です。さらに両者はシリア人と外国人で組織されています。両者の基本的な意見の相違はアサド大統領を政権から追い出すか、残留させるかです。

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パルミラ攻防戦-追加-

ttp://www.afpbb.com/articles/-/3082532

パルミラの遺跡はそれほど破壊されていない。そう報道されていましたが、AFPから配信された過去と現在の比較写真を見ると、重要な遺跡がいくつも破壊されています。何でこんなことするかなーと悲しい気持ちになります。

http://www.independent.co.uk/voices/im-from-palmyra-and-i-can-tell-you-after-what-ive-seen-that-the-assad-regime-is-no-better-than-isis-a6961681.html

私の名前はMohamed Alkhateb。パルミラで生まれ育った。ホムスの大学に通っている最中に民衆蜂起が起きた。私は故郷に帰らなければならないと思った。私と私の友人は「Palmyra Coordination」を設立して、自由を求める民衆の平和的デモを導き、互いの協力体制を助長した。しかし、治安部隊が市内に入り込み、デモは何千と膨れ上がり、加熱した民衆を我々の手ではどうすることもできなかった。そしてデモに参加した民衆の多数が殺害された。 続きを読む

パルミラ攻防戦-アサド政権とイスラム国

2012年3月にダマスカスに降り立ち、5月初旬だったかな、取材が無事に終わり、一カ所くらい観光地を見てみようと思い、向かった先がパルミラでした。3カ所か4カ所あるパルミラへと繋がる道路は全て政府軍の検問が設けられており、戦車が待機していました。遺跡には誰もいなくて、列柱通りをウロウロと散策して、タクシーで丘の上にある城塞に足を運びました。とても綺麗な街でした。シリアに足を運ぶたびに思うのが、民衆蜂起がなければ、内戦に陥らなければ、多くの観光客で賑わっていたのだろうなあという悲しい気持ちです。

そんなパルミラがイスラム国の手に落ちたのが、昨年の5月です。アサド政権が断続的に攻撃を仕掛けていましたが、なかなか奪還できず、手をこまねいていました。そこに、ロシアが登場しました。政府軍、ロシア、イラン、民兵がパルミラ奪還作戦に乗り出したのが、先月の27日になります。当初は散発的な戦闘に終始しましたが、今月中旬から本格的な戦闘に発展しました。特に22日から24日の戦闘では、ロシア軍は146カ所の標的に対して戦闘機の出撃回数が41機です。その数日後、つまり昨日の27日、パルミラはアサド政権の支配地域に変わりました。

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ニュース拾い読み

シリアに関するニュースが一通り分かります。ロイターです。

http://www.reuters.com/places/syria

とても便利です。その中から一部を紹介できればと思います。

http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-turkmens-idUSKCN0VA2G0

先週からラタキア県からトルコへと逃げ込む難民が急増しています。ラタキアはトルクメン人が多く暮らしていますが、アラブ人も含めて3500人以上が土地を追われました。理由はロシアの空爆です。周知の事実ですが、ロシアはイスラム国よりも反体制派を主な標的にしています。特にラタキアはアサド政権の牙城でもあり、この辺りの制圧にはロシアは固執しています。 続きを読む

ドゥーマでの虐殺-追加-

昨日、前回の取材でお世話になったムジャヒディーン軍の友人が2人、殉教しました。ムジャヒディーン軍との生活は僅か一か月、そのうち実際に従軍して前線に出掛けたのは2週間足らずです。たったの2週間ですが、死と隣り合わせの中で過ごす彼らとの生活は非常に中身が濃いものでした。特に僕は銃声の音を聞くだけで、ビクッと身体を揺らすほどの臆病者で、そんな僕のことをからかいながらも「俺たちが一緒にいるから大丈夫だ」と彼らは励ましてくれました。今も必死でアサド政府軍と戦火を交えています。

ドゥーマでの虐殺を書き記しました。日本の報道で今回のドゥーマでの市民への激しい空爆を報道してくれたメディアは皆無でしょう。なんて思っていたら、AFP、まあフランスの通信社ですが、一応、日本語でニュースになっていました。こちらになります。 続きを読む

アサドの微笑み

たぶん僕より今では周りの一般人の方々の方が「イスラム国」について詳しいと思います。僕は彼らに興味がありません。なぜなら絶対に彼らの取材ができないと分かっているからです。横田徹さんや常岡浩介さんの「イスラム国」滞在記には度胆を抜かれました。僕が初めて「イスラム国」の名を知ったのはある事件についての報道です。その際に書き記したブログがこちらです。http://t-sakuragi.com/?p=794

ヨルダンが報復攻撃に出ました。https://www.youtube.com/watch?v=zYQEU9y1z4I こちらの動画には「سلاح الجو الملكي الاردني – عملية الشهيد معاذ 」、「ヨルダン国王の空軍-殉教者モアズ作戦」とタイトルがされています。

イスラム国が世間の注目を浴びる中、アサド政権は無慈悲にも国民の上に爆弾を降らせています。https://www.youtube.com/watch?v=2-_sCBfL1f8 昨日、アレッポに落とされた樽爆弾の様子を撮影したものです。日常茶飯事の光景です。インディペンデントからの報告です。 続きを読む

イスラム国の人質戦略

非常に残念な結果になりました。後藤さんに関して僕が感じることは、今後のシリア情勢を追えなくなった、その一言です。シリアのことを愛しているからこそ、シリアの将来の行方が気になるところです。後藤さんに限らず、シリアで殉教した老若男女問わず命を落とした方々も、今後のシリアの行方を見守ることができません。それは本人にとっては非常に悔しいことだろうと思います。

アサドと比べればイスラム国なんてちっぽけなもんだろう。僕はこう思いますが、やはり自国民が犠牲になり、はったりなのか本気なのか分からない憎悪を日本に向けられれば気持ち良いものではありません。人質に関してのNYTimesの記事を紹介します。 続きを読む

誰のための空爆か???

お久しぶりです。シリア関連というよりイスラム国関連でしょうか。日本のメディアも騒がしいですね。ただ残念なのは、イスラム国の現地での状況を伝えられる世界でも数少ない方々が今後のシリアでの調査、取材等々に支障をきたすのではと心配しています。

母国語が日本語であるため、海外のニュースに目を通してシリア情勢を追いかける方はごく限られています。今回のイスラム国も日本人が絡まなければ、ここまでイスラム国のことが話題になることもなかったでしょう。 続きを読む

ハフィントンポスト-Charles Listerによるレポート-

http://www.huffingtonpost.com/charles-lister/not-just-iraq-the-islamic_b_5658048.html

6月10日、イスラム国がイラク第二の都市モスルを制圧した。8月2日にはヤジディ教徒が多数暮らす町Sinjar、3日には Zumar, Wana、そしてAin Zalahの油田と精油所、7日はキリスト教徒が多数暮らすQaraqosh、the Mosul Dam、クルド人自治区の主都アルビルから30キロ足らずの距離に位置する二つの村、GhwarとMahmourも支配下に置いた。しかし、イラクに限らず熱戦を繰り広げているのがシリアである。

ホムス県の Al-Shaer gas fieldを押さえたのが7月17日、警備員、労働者、政府軍、ざっと270名が殺害された。7月26日にガス田から撤退したイスラム国は重火器、及び15両の戦車を戦利品として持ち去った。

7月24日からイスラム国はSAA(Syrian Arab Army)とアレッポ、ラッカ、ハッサケで本格的に衝突し始めた。7月25日、ラッカにある政府軍の17師団基地が狙われた。26日にはハッサケの121連隊が撃退された。アレッポではKweiris Airbaseが爆撃され、8月6日はラッカの93旅団が制圧された。重要なことはSAAが弱体化しているという見方と並行してイスラム国は軍事施設を制圧することにより豊富な武器を保有していることである。 続きを読む

ISが支配する町-ラッカ-

今月の17日にホムス東部のガス田(Shaer field)がISによって襲撃された件、当日だけで90名の政府側の人間が殺され、多数が誘拐されました。2日後、シリア人権監視団の報告によれば、死者の数は政府側が270名、IS側が40名とのことです。ガス田で働いていた労働者、警備兵、政府軍兵士、行方不明者は少なくとも90名以上いることが分かっています。アサド政権はこのガス田を奪還するため現在も交戦中ですが、詳しい報道はされていません。

http://www.reuters.com/article/2014/07/19/us-syria-crisis-attack-idUSKBN0FO05O20140719

http://www.washingtonpost.com/world/middle_east/syrian-troops-seek-to-retake-jihadi-held-gas-field/2014/07/19/8043e9ac-0f29-11e4-b0dd-edc009ac1f9d_story.html

NYTimesにラッカに限らずシリアとイラクのISの勢力図が掲載されていました。非常に分かりやすいです。よく耳する地名が地図上ではどの辺りに位置するのかが示されていて助かります。 続きを読む