飢えに苦しむ人々ー追加ー

国境なき医師団からの声明です。

http://www.msf.org/article/syria-siege-and-starvation-madaya-immediate-medical-evacuations-and-medical-resupply

レバノンとの国境近くのマダーヤは2015年7月以降、アサド政権、ヒズボラによって包囲され、10月18日の食料配給を最後に、物資の供給が遮断されました。約2万人の人々が餓死の危険性があり、12月1日以降、国境なき医師団が支援している病院で23人の患者が命を落としました。

今回、アサド政権はマダーヤへの包囲網を一時的に解き、物資の搬送が許されるそうです。その際、まずは医薬品の搬入と病人の安全な場所への移送を優先させるべきだと国境なき医師団は述べています。23人の死者の内訳は、1歳以下の乳幼児が6人、60歳以上の高齢者が5人、その他の12人が5歳から16歳までの子供です。18人が男性で、5人が女性です。医薬品は底を尽き、栄養失調の子供たちに与えられるのは、糖分を含んだ医薬品のシロップくらいです。 続きを読む

飢えに苦しむ人々

民衆蜂起から武装闘争へと発展する中で、アサド政権が各地域で頻繁に行われた作戦が兵糧攻めです。補給路を断つ。互いの勢力が拮抗している地域であれば、補給路の寸断は容易ではありません。しかし、一つの大きな勢力の中にポツリと存在する敵対勢力には効果を発揮します。僕が思い浮かぶ中でも、ダマスカスのヤルムーク地区、マーダミーヤ地区、ホムスの旧市街、その他にもドゥーマなんかもそうですし、アサド政権が強い地域ではたいてい兵糧攻めは行われています。今回取り上げるのは、ダマスカス郊外の町、マダーヤです。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/war-in-syria-up-to-40000-civilians-are-starving-in-besieged-madaya-say-campaigners-a6793386.html

マダーヤは半年に渡るアサド政権の包囲網により、数百人が飢えに苦しんでいます。首謀者はアサド政権と共闘するヒズボラです。住民は飢えをしのぐため、雑草や昆虫、猫さえも口にしてきました。新年を迎えた日、活動家のNasir Ibrahim(仮名)は家族に食事を与えるために手入れたのは僅か50gのライスだけでした。 続きを読む

ロシア空爆による犠牲者数

http://www.theguardian.com/world/2015/dec/30/russian-airstrikes-kill-2300-syria-human-rights-group

9月末から開始されたロシアの空爆は、この3カ月間で死者2371人、そのうち792人が一般市民であり、180人が子供であるとシリア人権監視団が報告しました。イスラム国の戦闘員が655人、その他の反体制派組織が924人になります。ロシアの空爆が人権団体や国際社会から批難を受けていますが、この数字を見れば、当たり前でしょう。一般市民の犠牲者数がイスラム国の戦闘員より多いとは意図的に一般市民を標的にしているとしか思えません。

アムネスティはロシアの空爆は戦争犯罪にも該当すると報告しています。アメリカのマーク・トナー副報道官は「ロシアの空爆は多くの民間人を殺害している。医療施設や学校やマーケットも空爆にさらされている」と強く批難しています。

僕もロシアが何を考えているのか理解できません。正気を失っているとしか思えない。救援物資の輸送車を油の密輸車両と言い張り、空爆したり、医療施設や食糧庫、インフラ設備も木っ端みじんです。クラスター爆弾をばらまいたり、空爆した箇所で救援活動を行う人々の上にさらに爆弾を落としたり。やっていることはアサド政権と同じですが、ロシアはシリア内戦をさらに悪化させています。

ロシア空爆の効果

http://www.theguardian.com/world/2015/dec/21/russias-airstrikes-on-syria-struggle-to-spur-progress-on-the-ground

シリアでのロシアの空爆は地上ではさほど効果がないように思える。

アサド政権を支援するために軍事介入に乗り出したロシアですが、三カ月近く経つロシアの空爆はアサド政権とシーア派民兵に少しばかりの勝利をもたらしたに過ぎません。一方でロシアの空爆で600人以上の一般市民が命を落としています。日曜日には70人が亡くなりました。

過去2週間でダマスカスとハマの反体制派支配地域ではインフラ設備や公共施設が標的にされました。「希望が見え始めたとケリーが主張する理性的なロシアはどこにいるんだ?アサドでさえロシアのようなやり口で空爆をしなかったし、ISISだってこのような手法で我々を攻撃しなかった」。そう語るのはイドリブの病院で働く医師です。

ロシアの空爆が成果を上げない中、アサド政権は地上軍を増強するため徴兵を行っています。ダマスカスでは人員を補給するため、2カ月前から予備役の募集をかけています。既に兵役を終えた若者たちをターゲットにして再び予備役として徴兵するのに必死です。 続きを読む

戦闘とは異なった形で殺されていく人々

https://www.hrw.org/news/2015/12/16/syria-stories-behind-photos-killed-detainees

国際的な人権NGO「Human Rights Watch」からの報告書です。シリアから極秘裏に持ち出された28000枚以上の遺体の写真を9カ月に渡り調査した結果を報告しています。彼らはアサド政権によって拘束され、拷問の末に亡くなった人々です。遺族やその友人、拘束、監禁された経験者、軍の病院、尋問、拷問施設で働いていた看守、離反兵などから聞き取りを行い、幾人かの身元が判明し、死因もいくつか明らかになりました。詳細な報告書は86ページあるらしいですが、さすがにそこまで目を通せませんので、時間がある方は上記のアドレスからダウンロードしてください。 続きを読む

Can anyone stop the killing in Syria?

シリアに足を運んで感じたのが、こんな世界が許されるんだという感情です。同時に、こんな世界にもこんな世界に合わせた秩序が生まれるんだという発見です。ただ、一般市民が無差別に殺戮されれば、その加害者を裁くのが常識です。そして事態が収束するように働きかけるのも常識です。ただ誰がそれを行うのか。

http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2015/09/stop-killing-syria-150917082817952.html

アサド大統領にその資格はあるのか。彼は自らの地位を犠牲にしてシリアを守るより、シリアを犠牲にして自らの地位を守る道を選びました。しかし、アサド政権だけでは民衆革命を収束できず、内戦に突入し、イランやヒズボラの手を借りました。それでも事態は収まらず、さらにロシアの介入を招いているのが現状です。そもそも、何十万人というシリア人を殺害している彼にシリアを正常化するための資格はないでしょう。 続きを読む

樽爆弾の脅威

アレッポに行くと、崩れ落ちた建物を至る所で目にします。樽爆弾の仕業です。アラビア語で「برميل متفجر」。その威力は甚大です。どれほど離れていたのか定かではありませんが、アレッポで投下された樽爆弾が地響きを上げて真っ青な空に向かって噴煙を巻き上げているのを目撃しました。それ以降、上空を旋回するヘリコプターの機影を見かける度に僕は不安な気持ちで眺めていたのですが、周りのムジャヒディーンは「ハロー!ハロー!」とヘリに向かって手を振っていました。マジで笑えなかった。

http://www.hrw.org/news/2015/02/24/syria-new-spate-barrel-bomb-attacks

今週の火曜日、24日にHuman Rights Watch(HRW)が樽爆弾についての詳細なレポートを公開しました。興味ある方はぜひ。少し文章が長いので、HRWの報告書に関する記事、アル・アラビヤを参考にしたいと思います。 続きを読む

ドゥーマでの虐殺-追加-

昨日、前回の取材でお世話になったムジャヒディーン軍の友人が2人、殉教しました。ムジャヒディーン軍との生活は僅か一か月、そのうち実際に従軍して前線に出掛けたのは2週間足らずです。たったの2週間ですが、死と隣り合わせの中で過ごす彼らとの生活は非常に中身が濃いものでした。特に僕は銃声の音を聞くだけで、ビクッと身体を揺らすほどの臆病者で、そんな僕のことをからかいながらも「俺たちが一緒にいるから大丈夫だ」と彼らは励ましてくれました。今も必死でアサド政府軍と戦火を交えています。

ドゥーマでの虐殺を書き記しました。日本の報道で今回のドゥーマでの市民への激しい空爆を報道してくれたメディアは皆無でしょう。なんて思っていたら、AFP、まあフランスの通信社ですが、一応、日本語でニュースになっていました。こちらになります。 続きを読む

ドゥーマでの虐殺

ドゥーマはダマスカスの中心地から車で30分ほどの距離にある大きな町です。2012年4月、僕は1ヶ月、この町で暮らしました。当時はダマスカスで唯一の反体制派、自由シリア軍が支配する町でした。毎夜、町の中心地であるジャーミア・カビール(大モスク)の広場で反政府デモが公然と行われていました。同時に政府軍、治安部隊、シャッビーハによる激しい攻撃を受け、部屋から一歩も出れない日もありました。

https://www.youtube.com/watch?v=ToagdK4e_fE

+18です。投稿した日付が2014年8月となっているので、少し古くなりますが、現在もこれと変わらない状況が続いています。アサドが「樽爆弾」を「cooking-pot」などと笑い飛ばしましたが、ミサイルや樽爆弾をドゥーマに投下させている本人の言葉とは思えません。タイトル冒頭に「مجزرة」とあります。辞書で調べると、「جزر」とあり、意味は「人参」。しかし、綴りが同じで別の意味もあります。動詞で「虐殺する」です。それに「م」が付いて、「مجزرة」は「虐殺すること」となります。 続きを読む

写真と共に綴られる激戦地-ドゥーマ-追加-

2月7日、シリア人権監視団が発表したシリアでの死者数は210060人。210000人を超えました。民衆蜂起から内戦に突入して4年近くが経過しようとしています。

http://www.investing.com/news/world-news/syria-death-toll-now-exceeds-210,000:-rights-group-327039

反体制派勢力が35827人、アサド政府軍が45385人、外国人武装勢力(ダーイッシュ、ヌスラ戦線など)が24989人、ヒズボラ640人を含めたシーア派武装勢力が3000人、子供が10664人、女性が6783人、計126648人。その他、85000人以上の死者を計上すると、211648人。シーア派と身元不明人がざっくりとしているので、より正確な数字として少なくとも210060人とシリア人権監視団は見積もっているのでしょう。 続きを読む